普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

田母神論文と政治家の責任

2008-12-10 17:16:49 | 政策、社会情勢

 昨夜のNHKの「クローズアップ現代」の「空幕長論文はこうして発表された」で、田母神前航空幕僚長が政府と異なる見解を発表した論文がなぜ発表されたのか、関係者の証言を元にその背景を伝えていた。
 その論旨は今まで報道されてきた他のマスコミと殆ど同様で、自衛隊の幹部が政治の問題に口出しする問題から、何故それが次の問題に繋がるかは説明なしに、武力を持つ自衛隊が昭和初期のように暴走することの危うさ、そのための文民統制の重大さだった。

[田母神さんの提起した基本問題を避けるNHK]
 今後の自衛隊の傾向を正す動きとして、防衛大学校校長の五百旗頭真(いおきべ まこと)さんの学校内での学生に直接向き合って、彼らに広い知識とバランス感覚を持つ事を説いている様子を報道していた。
 ここでもNHKは他のマスコミと同様に、田母神さんの提起した基本問題、如何にして自衛隊員に生命を賭けて戦って貰うために如何にして愛国心を持って貰うか、そのために今のような歴史の内容で良いのか、その歴史の見直しをどうすれば良いのかなど、その主張に都合の悪いことは全く触れられなかった。

[政治に口出しする防衛大学校校長]
 NHKから自衛隊の将来に期待するとして担ぎだされた、五百旗頭さんでさえ小泉さんのメルマガで政治のことに色々言っていることには全く触れられなかった。
防衛大学校長、小泉メルマガで靖国参拝批判
(朝日新聞)
 五百旗頭・防衛大学校長が、2006年9月7日朝に配信された「小泉内閣メールマガジン」の中で、「靖国参拝一つで、どれほどアジア外交を麻痺させ、日本が営々として築いてきた建設的な対外関係を悪化させたことか」、「積み立てられた信用という対外資産は、小泉首相が靖国参拝にこだわったことによって、大きく損なわれた」も批判し、「しかし小泉首相のあり余る魅力と国民的人気が、アジア外交への批判を封じている」と分析した。

 また読売新聞は、五百旗頭さんへのインタビューで、
 
北海道洞爺湖サミットへの期待、食料・エネルギー問題、北朝鮮問題、福田首相への注文など彼の意見を報じている。

 ネット上では、五百旗頭さんを例によって左翼だ決めつけている人もいるようだが、私は田母神さんと同様に、自衛隊の実際行動に移るとき文民統制を堅守する限りは、政治のことに口出ししても良いと思う。
 五百旗頭さんの小泉さんのメルマガでの小泉さんの靖国参拝批判と、個人的な雑誌での田母神さんの自虐史観批判の投稿とどれたけの差があるだろうか。
 違いはただ一つ、前者はマスコミの気に入り、後者は気に入らない事だけだ。

 今のように言論の自由の時代に、自衛隊員が政治に付いて一切の口を封じて、彼らの士気が保てるだろうか、彼らの政治に対するストレスが増して5・15事件、2・26事件のように暴発することは無いのだろうか。

[ロボット扱いの自衛隊員で戦えるか]
 今の日本は非正規従業員問題と同様に人をロボット扱いにしている傾向があるようだ。
 企業はロボットなら要らないときは放り出すが、倉庫にぶち込んでおけば済む。
 然し人間である非正規従業員の問題は、そのままでは行かないから国は膨大な借金の中からなんとか対策を講じようとする。
 自衛隊員も人としての発言の機会を封じられたロボットのようにして戦えと言うのか。

[自衛隊員が今の政治家に服従の誇りを持てるか]
 私は五百旗頭さんが政治的発言をするのには賛成の立場だが、一つだけ気に入らない事がある。
 彼が防衛大学校で学生たちに「服従の誇り」を持てと言う教えだ。
 勿論、彼は文民統制の大切さを言っているのだろうが、文民の代表である今の政治家にに服従することに対して誇りを持てるだろうか。
・百年に一度という金融・経済的な危機に足元の定まらない麻生さん
・自民党政権の危機と言うのに何故か郵政改革堅持の集会をする人達
・明らかなバラマキの定額給付金を提案しながらその批判にたいして他人事のような顔をする公明党
・麻生さんの支持率の低下のお蔭で支持率が上がったとはいえ、元々は15%近くの支持率しかない次期首相と目されている小沢さん。
 皆さん、もし貴方が自衛隊の隊員としたら国民の代表とは言え政治家に対する「服従の誇り」を持てますか、そしてその誇りを持って生命を賭けて戦えますか?
 答えははっきりしている。
 自衛隊員が生命を賭けて戦うのは、政治家のためではなく日本と日本人を護るためだ。
 日本と日本人を愛しているからだ。
 誇りと言えば「日本人としての誇り」だ。
 そこを田母神さんが言いたいのだが、マスコミは彼の立場での発言や論文の瑕疵ばかりつつき、自衛隊の戦いの基本的な問題を全く無視し、自衛隊員をロボット扱いにして、(政治家が何をやっても)文民の言う通りに戦えばよいと言っている。
 
[政治家の責任]
・「服従の誇り」を持つ自衛隊員に応えるためには、政治家が国民から尊敬を受けるように努めること
・政治家やマスコミが田母神論文の深読みをして、自衛隊の反乱の可能性を言うのなら、今の状態がまさに5.15事件が起きたと時殆ど全く同じと言って良い状態だと言う事だ。
 未曽有の経済危機、政治の停滞、非正規従業員の解雇にともなう社会不安などなど、自衛隊員は(ロボットではない)我々と同じ
日本のことを心配している人間だ。
 政治家は彼らが暴走しないためにも、もっと危機感を持つべきだと思う。
・それといつも言う事だが、政治家は田母神論文のような瑕疵の多い意見が自衛隊から出ない様に、日本の良い事は良い、悪い事は悪いをはっきりさせた、公平で正確な歴史の資料の編纂に向けて動く事だ。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
賛成 (菱海孫)
2008-12-10 17:39:37
全くその通りです。
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同感 (ろっし)
2008-12-10 21:17:08
 同感です。ただ、マスコミにネット、ブログも入っています。従って、既存の古いマスメディアが正しい表記でしょう。

 田母神さんは、ネットから支持されています。ネットは、自民党、テレビ、新聞、雑誌にとって脅威です。特にブログを企業取り込みの様相を呈しています。たぶん、アフリエイとでなく、スポンサー契約、ブログ運営会社が、絡む時代になりつつあります。

 一種の思想、趣味的な分野はいいのですが、公平性を求めたり、口コミ関係は、純粋な個人運営が一番でしょうね。
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日本人としての誇り (emem)
2008-12-10 23:17:22
おっしゃる通りです。すべては「日本人の誇り」の問題です。
政治家も官僚も既存のマスメディアも、「日本人としての誇り」という言葉に、なぜこうも卑屈になるのか?
堂々と「日本人としての誇り」を口に出来ない現在の、日本を取り巻く社会に堪らない閉塞感を覚えます。
このような社会を守るために命をかけることなど出来ないでしょう。
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Unknown (本山)
2008-12-11 09:53:44
サンプリングが偏っていることと重複投票をチェックできないことです。
名無しさん、これ間違ってますよ。
PCが詳しい方はわかっています。
私はPCの会社の役員ですがなんだったら教えましょうか。
詳しい説明は1万字ぐらいになってしまうんですよ。
もしよろしければメールを教えてください。
間違いを詳しく説明します。
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バカが多くて困る (あい)
2008-12-12 02:09:50
そもそもヤフーの意識調査を世論調査とは言わない。

サンプリングが偏っていることを間違っていると主張する本山氏。
ヤフーの意識調査は自由投票なんだけど。
それが必ず男女比半々になるか?
PCが詳しければわかるんだ~。アホ丸出し。
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