普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

イラク空輸違憲判決について

2008-04-24 16:28:57 | 憲法

 天木 直人さんのブログで名古屋高裁のイラク空輸違憲判断に関連して、護憲勢力が沈黙していることを嘆かれていた。
 私も9条で国が護れるのか
で書いたように、イラクで戦闘に従事している米軍の兵士や機材の輸送は完全な戦争行為だと思う。
 また政府関係者の言うように、バクダット空港の治安が保たれているからそこへ空輸するのは戦争行為ではないと言うが、これは正に小泉さんが言っていた{平和地域への派遣は戦争}ではないと言うのと同じ論理だ。

 然しこの判決についての報道や天木さんのコメントについては首を捻る事が幾つかある。

[高裁判決で考えされられる事]
・他の幾つかのブログでも書かれているが、名古屋高裁が政府側の勝訴として、憲法違反行為かも知れないと言う重要な事項についての最高裁の判断の余地を閉ざしてしまったことは大変残念だ。
・改憲反対者は、自衛隊派遣のときは、戦争に参加するものだと反対していたのに、改憲論議になると9条が日本を平和にさせてくれた と言う。
 明らかな矛盾であり論議のすり替えだ。
・天木さんはこんどの結果から、9条護持の持論進めているが、私は先にかいた「9条で国が護れるのか」を以下に簡単に纏めたように全く反対の憲法の改正が必要だと考えている。

[私の考える戦争行為の例]
・湾岸戦争のときの連合国側へのみへの資金提供
 (戦後の機雷除去は戦争行為ではない。)
・アフガニスタン、イラク戦争の時の自衛隊の後方支援
・イラク戦争の時の自衛隊派遣
 特に現在も続いている米軍用物資などの空輸は完全な戦争行為で当時から首を捻る人達が多かったと思う。
 これは敵方から言えば戦争行為だが、圧倒的な力を持つ連合軍や米軍への支援だから、幸い一人の死者を出さずに済んだだけに過ぎない。

[もし日本が日本独自で護れる軍隊を持っていたら]
 米軍のイラク戦争突入にたいしては、日本国民の大多数は反対していたし、小泉さんも同じ日本人だから、米国が困った事をしてくれたものだと思ったに違いない。
 然し、自目の前に迫っている北朝鮮の脅威に対して米国の協力を確実に得る為に苦渋の決断をした。
 もし日本が日本独自で護れる軍隊を持っていたら、そしてもし下記のように周囲の環境がストレス一杯の国ばかりで無ければ、同じ敗戦国であるドイツのようにもっと違った選択もあったかもしれないし、自衛隊派遣という憲法にも抵触しかねない行為に、国連憲章まで引っ張りだしてまでして、米軍の支援と言う戦争行為をしなくても済んだのだ。
 つまり9条の制約で日本が国を護れるだけの軍隊が無かった為に、心ならずも参戦しなければならなかったのだ。

[戦争行為とはなにか]
 私は中東の一連の自衛隊派遣を戦争行為だと書いたが間違っているかも知れないし、今後、同じ様な事態を起こるかも知れぬ事を考えると、戦争行為とはなにかをはっきり定義して置く必要がある。
 何が戦争行為かはっきりしていなければ、9条の論議など全く意味が無くなってしまう。

[憲法解釈で自衛隊派遣して良いか]
 憲法や国連憲章の解釈で戦争行為に加担することになるかも知れない自衛隊を派遣できるのか。
 今まで日本は、自衛隊の派遣に際しては、度々憲法の解釈を変えてきた。
 そしてそれでも派遣の理由がたたないときは、国連憲章まで持ち出してきた。
 平和憲法を戴く日本が、戦争行為に加担することになるかも知れない自衛隊の派遣をこんなあやふやなことで、決定して良いのか。
 私は、このような重大な問題こそ政権が変わる毎に適当に解釈されないように、憲法にしっかり明記して歯止めをして置くべきだと思う。
 まして、日本の重大な方針を決定するのに、憲法にないからといって国連憲章まで持ち出すなど、独立国として恥ずかしい事だ。

[如何にして日本を護るのか]
 9条問題の基本となる前文には、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
 とあるが、現実は、
・拉致事件と言う国家犯罪を犯したり、武力による恫喝外交をするするなど、公正と信義に信頼出来ない国、
・敗戦のどさくさに紛れて、日本領土を侵犯したままの国、
・基本政策に反日を掲げている国。
・一党独裁党による政治手法、多民族、格差問題など多くのストレスを抱えた国。
など周辺には日本の安全を脅かしそうな国が多くある。

 これは憲法前文で想定した前提と明らかに違っている。
 平和主義は私も賛成だが、憲法で想定していなかった、このような国が出てきた時の日本の対応も憲法で示して置く必要はないだろうか。

[武力行使より外交?]
 護憲論者は外国とのトラブルは外交で全てを解決すべきだという。
 正論だ。
 もし仮に日本が自分で国を護れる武力を持っていたとしても、それは私の言う様に日本が戦争に巻き込まれないための武力であり、紛争は先ずそして最後まで外交に頼るべきだ。
 そして日本はその外交の武器を持っているのだろうか。
 護憲論者はその具体策を提示しなければ国民を納得させられない。
 拉致問題で米国から梯子を外された日本が、今後どのような外交政策を取れと言う現実問題に対する護憲論者の提案を待ちたいものだ。
 またひたすら北朝鮮に謝り倒せと言うのだろうか。

[私の提案]
 私は、憲法は9条を含めて、基本的に現実に合わせて変えた方が良いと思う。
 9条や国防の問題に限って言えば、日本の存亡に関わる深刻な問題だし、日本の政策の持続または変化は米国や周辺国への影響も大きいので、超党派のシンクタンクを設置し、
・本当の意味での戦争に巻き込まれないための武力の強化ほかの手段。
・情報機関の整備などによる外交力の強化
・日本独自のビジョンや理念
などあらゆるケースについて時間をかけて十分に討議し、その結果を国民に周知した後、討議決定すべきだと考えている。


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2 コメント

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Unknown (サトシ)
2008-04-25 07:46:28
また拝見させていただきました。
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改憲に躊躇 (田村:群馬)
2008-10-27 01:05:12
 必要悪というものがあり、武力はその矛盾の典型でしょう。暴力のない状態を維持するために、選りすぐりの暴力を準備するわけですから。
 さて地方の民主党議員にこの点を伺ったところ、議員は明確に再軍備を唱えました。
 驚いて自分の考えを述べました。戦争を開始した政権は勝ち負けによらず国民に対し戦争責任を負う。
戦争終結に当たり、あらためて特別な権限を持つ議会により、事実に対し審判を受けるべきであり、再軍備には、戦争開始した政権の特別な審問の場もあわせて準備しなければいけないと。
 地方議員はこう返しました。選挙により選ばれた議会により開始された戦争であり、その限りであると。
 代議員制は、あくまでも代議員により政治を行うことを付託するものであります。代議制が働く以上、外交により戦争回避へ努力すべきです。
 国民が命を賭して、他国から国益を護ろうという状態は、代議員制度を逸脱して、外交の場を越えて、直接国民がその血により解決しようという形です。代議制を放棄せざるを得なかった無力の議会が、平時の到来により説明を求められるのは、また、その結果責任を負う政治家が必要なのは言うまでもないことでしょう。
 中央大学の橋本公旦先生のように、まさか自分も9条維持から改正派に変わるとは思いませんでしたが、具体的には躊躇します。それは無責任な政治家と、それを許す国民にあります。
 先の戦争の始末、日本人による戦争の責任追及がなされていたら、9条の改正はすでに終了していたと思います。それを妨げるのは、この一年のうちに起きた二度の政権放棄に見られるような、政治家の無責任に国民が密かに感じることがあり、これが9条の役割を過大に評価する影の力になっていると思うのです。
 自分は、あるいみ国粋主義に近づいているかと思うこともあります。それは、以上の理由により、日本には戦犯と呼ばわる国政関与者はかつて存在しないと。 これは余計なことですが。国民に説明を果たさない嫌疑をもった何人かがあり、そうした人々を、未決のまま靖国へ祭ることは、戦争に薨じた御霊に対して明らかに不敬であり、合祀したことは大きな誤りで、これを犯した宮司がいるとつよく考えます。
 9条改正を妨げる未決の亡霊があることを感じます。この亡霊は、かつて戦争を開始し、いま又、日本が、自力で国権を保持する力を回復する妨げになっているとも思うのです。
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