・原発事故対応も石油化学コンビナート事故と同様に前向き且つシステム的な対応を・原発現場の人か全く見えない事故対応で良いのか
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16日のNHKの「クローズアップ現代」で「コンビナート クライシス」と言う、
この10年で10倍に急増している“コンビナート事故”。笹子トンネルの事故などインフラの老朽化が指摘される中、同じく高度経済成長期に作られ、産業基盤として日本経済を下支えしてきたコンビナートも設備の経年劣化が懸念されている。さらに、効率化の中で進められた分業が技術継承を阻み、競争力維持のために高度・複雑化した製造方法にヒトの技術力が追いついていない現状も浮かび上がってきた。対応に模索する現場を見つめ、これからの安全のあり方について考える。 (番組案内より)と言う番組が放送されました。
予てから原発事故の原因と対策を追求している元保全技術・管理者の私としては色々考えさせられるテーマでした。
それでNHKの番組表を調べている内にその放送内容をテキスト化したものが発表されていました。(NHKは色々批判されて居ますがこれは評価しても良い事だと思います。) それでその概要を取り上げて、原発の問題も考えて見たいと思います。 (それで訪問者の方もこれが原発ならと言う眼で見て頂ければ幸いです。なお括弧内は私の注釈または意見です。)
コンビナート クライシス
・全国75か所に広がるコンビナート。高度経済成長期から、プラスチックや合成繊維の素材などを生産。しかし今、想定以上に進む深刻な老朽化(に伴う事故)に直面しいる。
・なぜ重大な事故につながる老朽化が見過ごされたのか。 (福島第一は日本最古の原発だ。)
コンビナートの安全管理は、高圧ガス保安法など4つの法律で規制され、定期的な検査が義務づけられている。事故を起こした企業も、法律に基づく検査を行っていたが、異常は見つからなかつた。検査が求められていたのは圧力が高い所など、特に傷みやすい場所に限られてた。
そのほかの部分は企業の自主的な管理に任されていて、そこで事故が起きてしまったのだ。 (原発の場合原子力規制委員会が安全基準を作ってるが、全てを網羅するの無理があり結局は原発現場に依存するしかない。詰まり原発の運転・保全のシステム・体制を整備するしかない。)
・業界団体も危機感を募らせている。
日本化学工業協会 高橋恭平会長:「40年50年経過しているのは事実ですので、今後さらに経年をしていくことを強く受け止め、対策を協議していく。」
(原発の場合も業界団体があり技術的な検討もしている筈だが全く報道されていない。)
・企業が対策に十分な費用をかけていない。
大手企業技術者:「この配管全てを取り替えなければいけまと予算を作った場合に、当然お金としては膨らむ方向なので、本当に全て取り替える必要があるのかという話になって、いかに優先順位をつけて絞り込むかと言う議論は毎年必ず行われる。」
・コンビナートの安全を所管する経済産業省は法律は最低限の要件を示したもので安全管理はあくまでも、企業の責任だとして、企業が設備の更新だとか補修だとか、そういうところの投資を惜しまないようにするように言っている。 (福島第一の場合、第二は緊急電源装置を水密性の高い原子炉建屋に入れた、貞観地震を考慮すべきと言う話が出たとき、女川ではそれを考慮してして高い台地に原発を設置した話が出たときに、第一にも何らかの考慮をべきだとの提案が本社にも上がっていた筈、結果論から言えば本社の対応が拙かったことになる。)
・急増コンビナート事故の原因は老朽化だけではなま技術力の低下は、どのコンビナートでも課題になっている。
山口県のコンビナートで、去年4月に起きた爆発事故の会社の事故調査委員会の報告は爆発の原因は技術者の知識不足にあり、ベテランの技術者なら事故は起こらなかったとい言っている。
これまで安全を支えてきたのは知識や経験が豊富な創業時の技術者だったが、石油ショックやバブル崩壊で採用者が少ない時代もあり、技術の継承は思うように進みまなかつた>。(日本最古の福島第一の場合技術の継承と言うよりも、他社の原発を含めて技術の進歩に遅れないように絶えざる技術の向上が必要だった。)
・進み続ける老朽化と技術力の低下
三宅淳巳さん(横浜国立大学大学院教授):法的な要求でもってチェックをしなければいけない項目以外の部分は、企業が自主的に管理をしなければいけない。 (前記)
・現場でいろいろとトラブルやあるいはいろいろな情報を、上司に上げているはずだ。
どこの会社でも問題になっているのが、会社の中での風通しというか、いろんなコミュニケーションが円滑にいってるかどうかだ。 (私は政府・国会の事故調査委員会は(後記の日本プラントメンテナンス協会を通じて)現場と本社の関係が問題になるので、運転・保全管理に詳しい人を入れるべきと言ったが、その不足でこのような重用な報告が疎かになった。)
情報が上がってきたときに、誰がどういうタイミングで、最終的な判断を下すかというところがきちんと決められているかどうかというのが、大きなポイントになる。
・安全に対する権限や予算それは恐らく本社、各事業部、あるいは工場といったところで、それぞれ予算と、いろいろな権限というのがどういう形で移譲されているかというのが、会社のいろいろな特徴にもなっている。 (事故調査委員会の人選の問題で明らかにされていないが東電の場合は余りにも本社に権限が集中し過ぎている?)
・四日市コンビナートに入っている大手企業が出資して作る団体は、これまで企業が独自に抱えていた事故のデータなどを集めて老朽化の研究をしている。 (原発の場合企業間の競合がないこと、設備が酷似していること、然も危険な施設であることからも、当然に原発同志の連携があるのは当たり前と思うのだが報道される範囲では動いているのは規制委員会だけなのは何故)
プラントメンテナンス協会では、今まで企業はオープンにしなかった石油精製と石油化学の7つの会社から寄せられた1,800余りのデータをもとに、どんな場所で老朽化が進みやすいか調べている。 (前にも書いたが何故政府も国会も同協会を利用しないのか?なお東京電力も同協会に入ってTPM(全員参加の生産保全)の取り組みに就いて論文を発表している。前記とダブルがTPMは改善活動の一種なので、改善の提案が本社にも出た筈だが本社はどう処理したのか?)
・ベテラン技術者の技術の伝承
・日本プラントメンテナンス協会では、“ベテランの知識”で事故を防げ一方、事故の原因となっている技術力の低下についても対策が始まっている。
ベテラン技術者の経験と知識をデータ化して若い世代に伝えようというのだ。
ことが起こったとき、例えば発熱の量が増えたのか冷却が足りないのか確認→冷却が足りなければ次に想定される4つの選択肢を提示→さらにに4つの選択肢と安全に冷却できるまで作業員を導いて行く。 (これは保全で言う「エキスパート」と言うシステムで、成熟期の日本の設備は故障が少ないので、故障へ対処の機会が少ない新人教育と保全技術の伝承のために作られたものです。)
ただ一つ、懸念としてはあくまでもベテランの経験したことの点の羅列になっているので、何のためにそれは設定されているのかという、いわゆるノウホワイというところの理解に必ず必要になってくる。
・事故情報の共有化とデータベース化は、多大な損害を払って得た貴重な情報源で、これを生かさない手はない。
それでこれまでの生産技術、プロセス技術に、こういった負のいわゆる失敗事例、事故情報、こういったものを合わせて、きちんとした形のシステムに作り上げていくということ、そして、それは集めるだけではなくて、いかに有効に使うかということを考えるべきだ。 (福島第一と言う大事故を起こした原発に必要なのはこの「事故情報の共有化とデータベース化」だが原発同志で行われているのか?報道だけでは動いているのは原発の本当のことは判らない規制委員会だけ。それで良いのか?)
・今後、プラント輸出などでは安全、防災などは非常に大きな付加価値となる。
それで安全、リスク管理システムに組み込み、そして例えば建設、運転、維持管理、それからプラントの最後の廃棄に至るまで、トータルのライフサイクルで考えたプラントのリスクというものを、パッケージングすること言う大きな付加価値を持った技術システムをうまく輸出していくことで、日本のブランド力、あるいは安全に対する信頼度の高いこういった技術を海外に展開する非常にいい取り組みだ。 (これも原発に就いて考えるべき問題だ。何故なら日本が仮に原発を止めても中国・韓国の原発が故障すれば、偏西風や日本海流に乗って汚染物質が日本にやってくるのは間違いない。それと日本が得た貴重な体験・ノウハウを活かさない手はないからだ。)
これは多くの危険な高圧ガス設備を持つ石油精製、石油化学設備のメンテナンスの状況とその対策を書いた非常に間前向きな提案です。
しかし危険性のレベルは違いますが、「クローズアップ現代」の提案はのまま原子力発電所の運転・保全に就いても適用できる前向きの提案です。
原子力規制委員会は原発の現場にもって眼を向けて現場の人達や「日本プラントメンテナンス協会の意見ももっと訊くべきです。
然し現実は反原発の空気の中では後ろ向きの話ばかり。
NHKの放送と同じ日に読売は社説のドイツ「脱原発」再生エネ普及に高いハードル と脱原発の問題点を指摘しています。
いずれかは原発ゼロになるにしても、読売の言うように時間がかかるとしたら原発にも前向きの対策を立てて安全に運転すべきと思うのですが。
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日本の新幹線が、走り出してから約50年、その安全性の高さは、世界に類を見ません。その安全を担っているのが正に、日頃の技術の研鑽、伝承の賜物であることは紛れもない事実です。
大型コンビナートにはそれが欠けてき始めている現れが、最近のコンビナートの事故の多発に起因していることは、皆様が述べられているように明らかです。
真の利益を追求するのであれば人(技術)を最重要視するのが、製造業(物づくり)の原点の筈です。家電業界の不振は、目先の利益に捉われ一番大切な技術、人を大切にしなかったことが原因です。他の製造業にも言えることです。
原点に帰り、技術大国「日本」の再生に期待したいです。
まだ、優秀な技術者(職人)は減ってきているとは言え、各分野にそれなりに残っている筈です。その技術を伝承する最後のチャンスです。
みすみす外国に優秀な技術が流失するのを見逃している事に気が付かないボンクラ経営者が多いのは困りものです。経営者に目を覚まして欲しいものです。
貴重なコメント、アドバイスをいただき有り難うございました。
私もコンビナートの元保全・管理技術者としてご指摘の問題は良く判ります。
私は下請けの管理は会社側の責任だと思っています。
問題は下請けの工事を管理・監督するスタッフが育たないのが事故多発の原因だと思っています。
これは私の現役時代からの古くて新しい問題です。
筆者のあなたは一度、期間労働者として石油コンビナートの定期点検修理の現状を視察される事をお勧めします。
実状を知らなければ何も語る資格はありません。あなたがプラントエンジニアの経験者であるならば失礼なコメントとして謝罪致します。
技術について、ワタシはこう考える。技術は熟成するのに半世紀、あるいは、それ以上かかる。医学においても、熟成しているのは、抗生物質、点滴、切除手術など。抗がん剤などは未熟。癌細胞を殺す前に、副作用で人を死なせる可能性あり。
原発はキュリーによる核分裂の発見以来、相当、経っているが、依然として未熟。
原発というハードの問題より、原発を運営する人間のレベルが問題。三歳児にマッチを与えるのと同じような間違いをしていないか?
貞観地震以来の巨大地震の中でも、冷温停止という偉業を成し遂げるチャンスを見逃した。三歳児がマッチを擦ったら、火事になったようなものではないか?
これはちょうど、一人のファンドマネージャーに余りにも巨額のマネーを運用させて、世界的な金融のメルトダウンを招いたのと似ている。
ど真ん中の玉を見逃し三振するような人材しかいない日本の電力会社に原発は運営できるのか?
原発事故は火遊びするには、あまりにも、影響が大きい。
やはり、縮小だろう。自然エネルギーでは代替できないだろうから、石炭火力が適切だろう。ただ、技術の伝承、保護、発展のため、いくらかは残しても良いとも思う。