伊藤和也さんのご活躍に心からの敬意を、ご遺族に心からのお悔やみを申し上げます。
「ペシャワール会」の伊藤和也さんがが拉致された事件は拉致現場近くで遺体となって発見されると言う最悪の事態になった。
これに関して、
反政府勢力タリバンの報道官は遺体発見後に共同通信の電話取材に応じ「日本人を殺害した。すべての外国人がアフガンを出るまで殺し続ける」と述べた。
報道官は「このNGOが住民の役に立っていたことは知っている。だが、住民に西洋文化を植え付けようとするスパイだ」と主張。「日本のように部隊を駐留していない国の援助団体でも、われわれは殺害する」と訴えた。 (産経新聞より)
そうだ。
報道によれば医師の中村哲さんに率いられた「ペシャワール会」はアフガニスタンで、 医療活動だけでなく、井戸堀り、用水路建設などの水源確保から農業支援まで拡がった。
伊藤和也さんはその内農業支援のため、米や大豆、茶などの普及にあたった。
その誠実な人柄と熱心さで住民からも信頼され、子供からは「近所にお兄ちゃん」のように慕われ、彼の後をぞろぞろくっついて廻っていたそうだ。
最初の拉致の報道で拉致グループは千人近くの住民から追い回されたとの報道に、何か様子が違うなと一瞬思ったが、それだけ伊藤さんが地域の人達から信頼され頼られていたのだろう。
[自己責任と政府責任]
今度の事件についてネット上で、一昔良く言われたペシャワール会と本人の「自己責任」だと言う言葉が散見される。
テレビではコメンテーターが「アフガンの支援にはこの様な現地支援こそ大切なのに、問題のある海上給油ばかりに固執している、政府は何をしているのだ」と怒鳴る。
「自己責任」の言葉はイラクで住民の支援に当たっていた高遠菜穂子さんと、なんとも知れない目的にくっついて行った二人の拉致問題を支援する一部の人達が、彼らの軽率な行動を棚にあげて、全て政府の責任と言わんばかりの自分勝手な発言(私たち周辺も憤慨していた)に、政府関係者が「自己責任」と言い出したのを、(二人のことは言わずに)高遠さんの例だけを挙げて自己責任と言うのはおかしいとマスコミが非難したのだ。
帰国後、高遠さんは(おそらくショックで)外部に一切顔を出さなかったが、残りの二人は講演活動(させる方もさせる方だが)や、イギリス留学などマスコミを賑わした。
その二人に比べると、ペシャワール会や伊藤さんの活動はもっと足に地が着いた、それこそアフガンのためになる立派な活動で、軽率な二人の活動とは全く別物だ。
それを彼らの「自己責任」で片づけるには、彼らの成果はケタ違いに大きいし、後に述べるように日本の立場を考えると余りにも大きな問題だ。
アフガンの現地活動支援の難しさ
コメンテーターの「あのような支援は政府がやるべきだ」と言う発言も全く現実を無視したものだ。
昔の軍国主義時代に軍隊を派遣するときと違って、政府が危険地域での援助に人員を派遣するには、その人達の安全を保障しなければならない。
そのために相手国か、そこに駐留する第三国の警察組織か軍隊にその安全を委託せねばならない。
然しその警察組織や軍隊自身が危険に晒されているときに、独立国の日本としてそれ以上頼めるだろうか。
日本は平和憲法を持っているので、攻撃して来る人を殺す事は出来ませんので、貴国でその代わりをして下さいなど言えるだろうか。
そうかと言って自衛隊の派遣は憲法上疑義がある。
それで小泉さんはイラクでは給水支援にある程度の装備を持つ自衛隊を派遣を決断したが、マスコミや野党は憲法違反だと攻撃した。
アフガンでも海上給油の対案として民主党が国内の支援を提案したが、党が多数を占める参議院でも審議さえされなかった。
その理由は民主党自身が同党の提案は安全問題から見て現実的でないと知っていたからだと思う。
[伊藤さんの遺族とアフガンの日本人NGOの支援]
伊藤さんはアフガンに出発のとき家族に「アフガンの土になってもいい」と言い残したそうだ。
日本政府が派遣者の安全確保の理由で二の足を踏んでいるときに、命の危険を冒してまで、アフガンのために貢献しているのが尊いのだ。
「このNGOが住民の役に立っていたことは知っているが、住民に西洋文化を植え付けようとするスパイだから、アフガンに部隊を駐留していない国の援助団体でも、われわれは殺害する」と言っているタリバンが本当にこの事件に関与したかどうかも判らないが(むしろ関与していない可能性が高いかも?)、いずれにしても、反政府組織は外国人によってアフガンをより良くなるのが許せないのだ。
だからアフガンでの現地支援は必要だが、その活動に対する安全性は反政府組織が倒れるまでは保障されない。
「ペシャワール会」を率いる中村哲さんは、日本人の撤退も考えているようだ。
然し、危ないからと言って会の日本人が撤退すれば、折角築いてきた同会に対する信頼が落ちるかも知れないことを考えれば、簡単には決心出来ない難しい立場に立つ事になる。
彼らのアフガンの活動は現地の人に対する人類愛に基づいたものだろうが、結果的には日本としはやりたいのに出来なかったことをしていること、その活動が日本に対する信頼をまし、日本の国際的地位を向上させているのは間違いのないことだ。
日本政府としては色々の難しい問題があると思うが、伊藤さんの遺族への支援は勿論、現地で活動している「ペシャワール会」を始めとするNGOの活動への協力と支援も考えて貰いたいものだ。
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よくわからないのですが、高遠さん達と伊藤さんの活動をどうやって区別できるのでしょうか?
高遠さんの活動は産経新聞もわざわざ一面に取り上げて賞賛していたぐらいです(信じられないかもしれませんが)現地の子供たちからも慕われていたようです。
どう違うのですか?地に着いた活動ではないというのはどういう根拠があってのことですか?
少なくとも高遠さんの活動を紹介した産経記者は、地に着いた活動だと思っていたのでしょうね。
その後叩いたのは彼女が左翼だとわかったから。
今回産経が伊藤さんを持ち上げたのは、皇室からの弔意の表明があったからでしょう(笑)
なんとも産経らしいですよ。ちなみにペシャワール会は「左翼」です。皇室の前には左翼叩きも控えるとは
あっぱれ。さすが愛国新聞ですね。
またいつもの私の悪文で誤解を与えたようで申し訳ありません。
私は高遠さんに同情してもを批判して居りません。
(高遠さん以外の)「その二人に比べると」----と書き「高遠さん」はとは書いて居りません。
多分、私の悪文で、或いは「二人を比べると」--(高遠さんと伊藤さんを比べると)と読み違えられたのではないかと恐縮しております。
なお「その二人に比べると」以下は私の意見で、引用した産経記事では「高遠さん」のことには触れていません。
ことによると、貴方のご意見を私がまた「読み違えて」いるような気もしますが、もし良ろしければ私の真意をご理解の上、もう一度文章を読み直していただけないでしょうか。
甘さが一原因であったと読む人も多数ではないか
と思います。単に崇高な行為であったと、賛美して
ばかりでは済まないことだと思います。まして賛美の声を高くして何かに利用しようとする動きは誠にいやらしく、危険でさえある。