季節だろうか訃報が相次ぐ。現役時代にお世話になった会社のOBで作る退職者の会から受け取るメール。
退職してから23年経過し、お互いに歳を取ってきた。わが身にもいつかはやってくる最後の大仕事。訃報を知っても、なんとなくあの人にもその時が来たのだと冷静に受け止める時もある。
だが、昨日の朝の新聞に掲載された訃報には驚いた。
10数年前に十二指腸潰瘍で大出血し、三途の川のほとりを彷徨ったおりに処置してくださったお医者さん。
私にとっては大恩人。その先生のお名前が載っているではないか。享年五十二歳。あまりにもお若い。私が今あるのも先生のお陰といってよい。
その先生いつも「身体を大切にしなさい。薬はかがさず飲みなさい。年に1度は内視鏡の検査を受けなさい」と、いつまでも私のからだを心配していてくださった。先生の訃報を見て気が動転した。
普段、健康でいると病気で苦しんだ時のことは忘れてしまう。最近では大恩人の先生にはご無沙汰ばかり、ご病気だとは思いもつかなかった。心からお悔やみ申し上げます。
ときどきメールで届く退職者の方々の訃報。私よりも必ずとは言えないがお歳をめしていらしゃる方が多い。自分にもいつかはその時がやってくる。そう思うと、訃報を知っても気が動転することはない。心苦しいが、あの人もその時が来たなとあきらめの気持ちが先立つこともある。
クリニックは「金太郎クリニック」。先生は消化器外科と整形外科が専門だった。特技として催眠術については全国的な権威であったとお聞きしている。私はただただ、ご冥福をお祈りするばかり。 合掌。