朝の散歩には思いがけない発見がある。
終日、自動車の絶えることのない国道沿いの住宅の庭に、国道にはみ出すように枇杷の実がふさふさと実っているのを見つけた。
ずいぶん以前の話しだが、食糧難の時代、学校帰りに枇杷の実をみつけると、みんなが競ってそれを食べたものだ。その味を懐かしく思い出した。だが、庭に実った枇杷など、今は見向く人もいない。その枇杷いずれ朽ち果てることだろう。
サラリーマン時代は転勤族九州各地を転々としたものだ。古い話だが47歳の時には長崎にいた。情緒あふれる古い歴史の街、楽しい想い出の町でもあった。
長崎市の中心部にある銅座は長崎きっての繁華街、歴史に残る遊郭丸山もすぐそば。おりを見ては銅座でよく遊んだものだ。遊んだと言っても居酒屋や、あまり流行らない小さなスナックで憂さを晴らすのが精いっぱい。
梅雨の時期だった。狭い銅座の路地脇の果物やに“枇杷の箱”がならべてあった。1箱1キロ5000円。だいたい1粒が350円程度に当たる。その値段の高いのには驚いた。その日は酔っていたのだろう、酔った勢いで“うちの奥さま”のお土産にその枇杷を買った。
後で知ったが「茂木枇杷」は全国的にも名を知られた高級果物だという。枇杷ゼリーも長崎土産としてとても人気。散歩の途中の国道沿いにふさふさと実った恵まれぬ枇杷を見て、茂木の枇杷を思い出した。
茂木びわは今が最盛期。さぞかし美味しいことだろう。楽天のオークションを開いたところ、価格1キロ5900円、最低価格は1790円と出た。思わずキイをたたいた。1890円で入札。さて、その結果は明日のお楽しみに。