昨日は二四節季の清明だった。百科事典を開いてみる。「暦便覧」に「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記され、万物がすがすがしく明るく、様々な花が咲き乱れ、お花見シーズンと出ている。
沖縄はいま、「うりずん」の響きもうるわしい若夏の時。しかし70年前のこの時期、悲惨な沖縄戦が始まっている。戦後、多くの土地が駐留してきた米軍に強制的に接収された。現在も全国の面積の0.6%に過ぎない沖縄県の74%に米軍専用施設が置かれている。まさに沖縄県は基地の町と化している。基地の負担の軽減を強く求める県民の気持ちが良く分かる。
先に行われた衆院選では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設工事に反対する野党勢力が与党候補を破り地方区議席を独占した。その後行われた知事選では、移設反対を鮮明にした翁長知事が当選した。この事実は、沖縄の民意が移設反対であることを如実にあらわしたものだ。
翁長知事は就任後何度も上京し、首相をはじめ政府関係閣僚に会談を申し入れている。ところが政府はそれを完全に無視し続け、その裏では移設の作業を着々と進めている。ここ数日、官房長官は「反対があろうとも法に基づき粛々と工事をすすめる」と、沖縄の民意をまったく踏みにじる発言に徹していた。
昨日、菅官房長官と翁長知事の会談がようやく実現した。“火”と“油”の意見の違いがあり、すぐに会談で良い結果が出るものではないだろう。官房長官は記者会見で「粛々と工事を進める」「この期に及んで」という言葉を繰りかえしたという。まさに知事のいう「上からの目線」にほかならない。
庶民の考えるところだが、対立があればあるほど、それぞれの考えを心を割って話し合うことが大切なことは論を待ちまい。必ず解決の糸口は見えてくる。
局面を打開するため、さらなる話し合いが必要。総理はそれでもまだ翁長知事と会う気持ちはなく、沖縄を訪れる気もないようだ。
最後に翁長知事が最近周囲に語った言葉から。
「本土に何を言ってもすぐ忘れる。ならば石を投げた方がましかも知れない。痛みは忘れないから。ウチナンチュ(沖縄の人)は、ずっとその痛みに耐えてきた」。
私は沖縄大好き。「ウチナンチュの痛み」国民みんなが我がことと考えることが大切なことではなかろうか。