ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

分福茶釜

2024-09-25 15:16:00 | 読んだ本の紹介



文福茶釜 黒川博行





東淀川高校の美術教師という異色の経歴をお持ちになる黒川御大の

骨董品業界にまつわる短編集です。

面白かった



美術関係の出版社に勤める編集員をメインに繰り広げられる

海千山千の古美術商。

バブルで世間が浮かれていたとき

金の代わりに流通してたのが絵画。

本物かどうかわからない絵画を高額にて売買し現金に換えていた

マネーロンダリングですね

一流企業は絵画を買いあさりその金は政界や裏の世界に流れて行ったのでしょう

バブルがはじけ、絵画を始末しようとする企業役員

そのおこぼれにあずかろうと群がる有象無象

墨絵の掛け軸を2枚にはぐ相剥ぎ。

ギャラリーフェイクの中にもありましたね。

本物であり、本物でない。

お札も相剥ぎできるとか・・



田舎の素封家の蔵に眠る名品をだまして安く買いあげる連中

初蔵出しには、名品が出てくる可能性が高いとか

阪神淡路や東日本の震災時には欲に目がくらんだ連中が

弱みに付け込んで買いあさったとか

だまして奪った文福茶釜、奪われた素封家は仕返しをたくらむが・・



中堅クラスの彫刻家が急逝しその作品の処分を頼まれる

古美術商。作品の中に、有名作家の習作を発見。遺族は気づいていない

なんとかそれをだまし取ろうとするが・・



宗教法人は、美術品の売買も非課税か?

信者の浄財か?高額な古美術を集める教祖様

しかしその実態は?





面白いですわ

欲に目がくらんだ連中の裏をかいたつもりが

相手もさるもの海千山千の連中ばかり、簡単には金にならん



たとえ偽物かもしれない品でも、骨董屋に売るのは

まったく問題ない。良心も傷まない。

見抜けないほうが悪いのである。

しかし素人相手では、そうはいかない

相手が文句を言ってきたら売値で引き取るのが仁義。

でないと骨董屋なんかできはしない。

だそうです



あとがきに

有名な作家の作品は、ほとんどすべて在処が判っている

そんなものが出回るわけがない

骨董屋の甘言には騙されないこと



そう思えば、お宝鑑定団で高額査定が出るケースなんか

レア中のレアなんでしょうね



ぜひお読みください

















コメント (2)
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