キャツアイころがった 黒川博行
第4回サントリーミステリー大賞の受賞作です
緻密な取材で有名な黒川御大。
今回は宝石業界の裏幕を描いてます。
宝石として価値があるのは、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、キャッツアイだけだとか
そんな高価なキャッツアイを飲み込んだ顔なしの遺体が滋賀県の余呉湖であがります
顔はつぶされ、指先も切り取られ指紋もない。滋賀県警は威信をかけて捜査に取り組むが
身元すら判明しない。
そんな中、京都で美大生が死んでいるのが見つかる。
美大生の口の中にはキャッツアイ。
滋賀県警、京都府警は連続殺人と断定し、解決に向けて弾みがつくが
そんなおり、大阪の西成のドヤ街で浮浪者が凍死していました。
浮浪者の口からキャッツアイが転がり、大阪府警も入った広域連続殺人事件へと進展します。
美大生の同級生、啓子と弘美は死んだ美大生が殺される直前にインドへ
言っていたことを知っており、原因がインドにあるのではないかと考え、
好奇心からインドへ旅立つ。
滋賀の顔なし遺体と美大生と浮浪者、3人の殺人事件のカギを握るのがキャッツアイ。
キャッツアイの線から容疑者を絞り込もうとするが
宝石というものは正規のルートをもたず密輸入で入ってくるものが多く
有象無象のブローカーが跋扈しており
警察も手をこまねいていた。
インドにむかった啓子と弘美は美大生が描いたスケッチから一人の女性にたどり着く
そこから絡んだ糸がほぐれていきます
うまいこと作ってますね
警察の手が届かないインドでの捜索を女子大生にやらせる手法が上手いです。
まったく違和感なし。ミステリー大賞しかるべしです。
切った張ったの活劇はないですが、足で情報を積み上げる警察の地道な捜査が
まったく進展せず、空回りして読んでるほうも焦りが募ってきますが
インドでの女子大生の活躍が大きなホームランを放つ展開が小気味よいですぞ
ぜひ読んでみて。