罪の轍 奥田英朗
まずはあらすじから
昭和38年、私が生まれたころの話です
世は、39年の東京オリンピックに向けてなにかと
浮足立った時代でした
北海道の礼文島という最果ての地で、コンブ漁の手伝いをしている
宇野寛治20歳。脳に障害があるのかすぐ物を忘れるため
手伝いしかできない。
周りのみんなから馬鹿にされ虐げられる日々。
手癖が悪く、島のあちこちで窃盗を繰り返すうちに
大きな事件を起こし島にいられなくなる。
なんとか島を脱出した寛治は
窃盗を繰り返しながら東京へ向かい、チンピラの明男と知り合う
寛治は空き巣を繰り返すうちに、殺人事件に巻き込まれる
明男と明男の姉や労働組合の協力でねぐらを転々とし、警察の目から逃れる寛治。
そんなある日、下町の豆腐屋の末っ子吉夫ちゃんが誘拐される。
犯人の要求は50万円
誘拐事件を追う落合刑事は、吉夫ちゃんが北海道なまりの若い男と
歩いていたという情報を得る。
先に起こった殺人事件に絡んでいた空き巣と風貌と北海道なまりが
一致し、警察は総力をあげて寛治を追う
寛治を追ううちに、寛治の生まれてからの経緯を追う落合刑事
なぜ寛治は脳に障害を抱えるようになったのか
その壮絶な過去が明らかになる
身代金受け渡しのチャンスに警察はミスを重ね
犯人を逃してしまう。
いったい、犯人は寛治なのか?
なかなか面白い小説でした
800ページを超える大作。
前半は、礼文島での事件
中盤は、東京での殺人事件
ここまで長かったですが
ここまで我慢出来たら、あとは一気です
吉夫ちゃん誘拐からは、息をつかさぬ怒涛の展開です
威信をかけて吉夫ちゃんの救出に全力をかける警察に
ヤクザ、労働組合、新聞記者が入り乱れながら寛治を追います。
最後の200ページは目を離せませんでしたね。
昭和38年の事件を題材にということですが
先入観ないほうが面白いと思います
当時の、社会環境が垣間見えて面白かった
労働争議の絶えない山谷という土地柄や
電話の逆探知なんかできない時代。
新幹線すら走っていない。
懐かしいにおいを感じながら読んでました
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