こないだの日経春秋から
転載バカボン
その桐(きり)の小箱は、家でいちばん大切なものをしまうタンスに収められていた。
子どもたちが生まれたときのへその緒である。
なにかの折に、母親がめいめいの箱のふたを開けて見せてくれたことがある。
脱脂綿にくるまれたそれは茶色に干からび、不思議な匂いがした。
▼同じような思い出を持つ方はたくさんいるに違いない。
へその緒を大切に取っておく風習はきわめて日本的だという。
親子のきずなや、生命力の象徴なのだろう。
習わしは根強く残り、今風の入れ物も登場している。
そんな親心にも通じていようか、わが子の臍帯血(さいたいけつ)を
民間バンクに預けて将来の備えにする親は少なくない。
▼白血病治療に使われ、再生医療の新たな可能性を秘めるのが臍帯血だ。
患者らに提供する血液の受け入れや冷凍保存は公的バンクが担っている。
かたや民間バンクはあくまで本人や家族のための存在だが、
預けたはずの臍帯血が業者の手に渡り、若返りなどの「治療」に使われる事件が起きた。
逮捕者には医師も含まれる。
▼1回の費用は300万円以上。
少量の臍帯血がカネのなる木に化けたわけだ。
しかし高額なのをいとわぬ需要もまた、ずいぶんあったという。
ため息が出る話だが、こういう問題を放っておくときちんとした再生医療への信頼を損ねてしまう。
そしてなにより、へその緒に宿る人間の尊厳をないがしろにするばかりである。
転載ここまで
私の実家にも、桐の小箱ありました
中には、塩からのひからびたようなものが入ってました
うちの子のは、プラスティックの箱に入ってます
文字通りの母親と子供をつなぐ「絆」ですね
昔、臍帯血にかかわる仕事をしてたことがあったのですけど
主に白血病の治療につかっているとのことでした
だれの臍帯血でもいいわけではなく
型が合わないとだめなんですよね
なもんで、検体は多ければ多いほどいいはずです
こんな事件で、無駄にならないようにしてほしいですね。
医は仁術といいますけど、医は算術という御仁がおられるようですね
そういう御仁は、ブラックジャックを読んでほしいなあ。
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