ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

ドアの向こうに  黒川博行

2024-11-13 16:06:45 | 読んだ本の紹介



ドアの向こうに 黒川博行



黒川御大の昔の本を読み返してますが

今回は、密室殺人のミステリー



あらすじ



工事現場の杭孔から衣装ケースが見つかり、中からバラバラ死体の一部がでてくる。

それは、腐った頭部に干からびた足という変わった様相を示していた。

大阪府警のブンこと文田刑事と総長こと総田部長刑事、見習の五十嵐の3人が

事件を追う。

数日後、心中事件が発生する男は青酸カリで死に、おんなはマンションのベランダから

紐を垂らして縊死していた。

マンションは密室で無理心中かと思われたが、部屋の中から

バラバラ死体の記事の切り抜きが多数見つかり

事件との関連性が浮き出した。

バラバラ死体と心中事件の間にどんな関係があるのか?

ブンと総長が足で稼いだ情報でパズルを埋めていく。



とまあこんな感じ

ブンと総長に京都出身の五十嵐が加わり、ブンと京都対大阪の争いが面白い

京都と大阪は永遠に相いれないのだw



バラバラ死体の身元が判明し、捜査が進展するのですが

一つ一つの鍵をもとに推理を積み重ねていく過程が

面白いのですが、初期の作品だけあって

詳細が荒いですね

頭部が生で脚部がミイラっていうのは思白かったのですがねえ

そうくるかって

殺人の動機がそもそも乱暴ですしねえw

興味のある方は読んでみてください。













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煙霞   黒川博行

2024-10-30 10:26:37 | 読んだ本の紹介
煙霞 黒川博行



黒川御大の本を読みなおしてます

今回は「煙霞」2006年の作品ですね



あらすじから

私立高校の美術の講師熊谷は、正教員になることを希望しているが、雲行きが怪しい

音楽の教師である菜穂子も、ガラの悪い姉妹校への転勤がうわさされている

そんな2人に同僚である体育教師の小山田が、理事長酒井の弱みを握ったので

理事長に2人の身分を保証させるので拉致を手伝えと言ってくる。

切羽つまっていた2人は小山田と3人で酒井とその愛人朱美を拉致し監禁するが

熊谷も菜穂子も、こんな計画が小山田1人でできるわけがない

黒幕の存在を感じていたが、果たして2人の身分を保証してもらったところまでは

よかったが、そこへ現れた黒幕により事態が急展開となる。

黒幕の狙いは酒井が隠していた50KGの金塊であった

金塊をめぐって、大阪から和歌山にかけての追いかけあいが始まる

金塊を最後に手に入れるのは誰だ!?

とまあこんな感じ

学校法人の不正をバックに、欲の深い男女が二転三転する展開は、軽くてスピーディーです。

ページをめくる手が止まりません

黒川御大にしては初期の作品のためか、細部が大雑把ですが

それがまたいい感じです。

熊谷と菜穂子という男女のバディーもので、それも面白かったです

面白かったと思ったら、ドラマ化されてるんですね

次はぜひとも映画化してほしいです



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そらそうや  黒川博行新刊

2024-10-22 07:16:47 | 読んだ本の紹介

黒川博行 そらそうや



黒川御大の自伝的エッセー



久々の黒川御大の新刊ということで速攻で買いました

ちょっと体調を崩してて、リモート勤務と称して

休んでおりました

医者へ行く合間に本屋で購入し寝ながら読んでました



エッセイなのですぐ読めます

生まれてから、お父さんが持っていた船で生活し

高校生となってからは、自由奔放に麻雀、パチンコ

浪人して、京都の芸大へ、浪人中も在学中も麻雀三昧

就職からの教職へ

東淀川高校の美術教師をへて、作家へ

そんないきさつを。おもしろおかしく怒りを含めて描いてあります



日常の風景もおもしろい

金魚、メダカ、オカメインコ、を育てる日々

蛙が好きだそうで、ひきがえるを飼われているそうですな



藤原伊織さんとの交流も描かれてます

若くして亡くなった伊織さんとの交友録は胸に響きますね



あと麻雀関係は、身につまされる

将棋は実力の勝負

しかし麻雀は実力以外の運の要素もあるから

個々の勝負は時の運ですが

結局長い目でみると、強い人が勝つようになっている

運を読みとるのも実力のうちなんですね

ついてるときはどんどん乗っていき、ついてない時に被害を最小限に抑える

それができる人が強い

まさにその通り



あと、カジノは基本勝てない

席に座った時点で、てら銭を取られていることで

もう負けが確定していると

遊びですね

IRなんてそんなもん。パチンコも一緒でしょう





東野圭吾との対談もありましたが

黒川御大は1949年生まれ、私より一回り上ですね

東野圭吾は私より4つか5つ上のはず1957とか8でしょうか

そんな年回り

団塊の世代のつぎというところでしょうか

万博から高度成長、オイルショック、バブル景気、そんな感じ

まあ昭和世代ということで、吸ってた空気はにたようなもんでしょう

そんな空気を思い出させてくれる本でした。





唯一気になったのが、自分の作品を振り返る章があったのですが

その中で、疫病神シリーズのことが書いてありました

その中で、破門の項ですが

「出版社の編集者に桑原が無敵化ヒーロー化してきている」

と言われたので、桑原を追い込むように書いた

みたいな記述がありましたが

編集者の分際で作品に口を出すなって言いたいですわ

分をわきまえろと言いたいです













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狭小邸宅  新庄耕

2024-10-21 10:07:43 | 読んだ本の紹介

狭小邸宅 新庄耕



狭小住宅ではなく、狭小「邸宅」というのがみそ



あらすじから

一流とされる私大を出てさしたる目的もなく戸建不動産会社に就職した松尾。

そこは売上という結果以外、評価されない職場だった。

容赦ない上司からの暴力。過酷なノルマ。成果を上げることが出来ない日々が続き、

ある日突然、異動命令という戦力外通告を受ける。

異動先の営業所でも、有名大学出の売れない奴として周囲から冷ややかな態度を取られる。

そこでも課長から辞職を迫られるが、ある日様々な運も幸いして一つの物件が売れた。

そこから課長に営業のノウハウを叩き込まれ、売上も一変。

同時に服装、言動まで変わっている自分に気付かされ――。

やがてどれだけ売れても満たされない空虚に侵食されていく。



とまあこんな感じ



不動産の営業とはこんな感じか

正直不動産という漫画を読んでますが、似たような感じですね

売ってなんぼ。売ることが正義。

客にいかに買う気にさせるか?

そこに嘘、欺瞞はないのか?

そんな不動産業界を描いてますが

似たようなもんでしょうね



狭小住宅とは?

20坪程度の敷地に80平米以上の居住空間の建物

当然、上に延ばすしかなく3階建て以上となる

俗にいうペンシルハウス



何を隠そう私の家もペンシルハウスですw

よくもまあ、そんな狭い敷地に建てたもんだという家です

マンションを買ったほうがよかったのか

ペンシルハウスを買ったほうがよかったのか

悩みましたが

車があったので、駐車場料金を考えると

狭くても一軒家を買ったほうが結果的によかった気がします

家が古くても土地は残りますからね

狭い土地ですが土地をたたき売れば、老後の資金になるでしょう

そんなことはどうでもええんです



不動産屋ですね

まあいい不動産屋に当たるかどうかで

いろいろ変わってきますからね

家を買う前には「正直不動産」を読むことをお勧めします



あと、よく言われることですが

信用できる不動産屋かどうかを見極める1つの手段

不動産屋の免許証番号の横に()で書いてある数字

まるぺけ不動産 大阪府知事(3)第111111号

とあるはずです

3というのは、3回免許の更新を受けてるという証明

1回の更新は5年毎だそうですので(昔は3年)

その間まあつぶれずに営業しているので信用があるということ

ここ数字が(1)だったら、新参者ってことです



まあ参考まで






































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ニューカルマ  新庄耕

2024-10-16 06:30:17 | 読んだ本の紹介

ニューカルマ 新庄耕



「地面師たち」の新庄耕さんの作品



あらすじから

人生や社会を豊かにすると喧伝するネットワークビジネス。

ある日大学時代の友人から突然かかってきた電話で勧誘されたユウキ。

今、彼の勤める会社ではリストラが始まり不安な気持ちが膨らんできていた。

そんな状況の中、副業のつもりで入会し、順調に会員を増やしていき、次第にそのビジネスにのめり込んでいくものの、

周囲からは冷ややかな目で見られるように。

そして思ってもみない落とし穴に嵌まり―。



とまあこんな感じ

一流の大学をでて、一流企業の子会社に就職したユウキ。

入社した時期がわるかった、平成不況の真っただ中

業績が悪い会社は雰囲気も悪く、リストラの嵐が吹き荒れていました



年を取った先輩が九州工場へとばされて憂き目を見るのを

目の当たりにしたユウキ

ユウキ自身も仕事がうまく回っていない

そんなときに大学時代の友達から電話がかかってきた

どうもマルチ商法の勧誘らしい

最初は断っていたが、気の弱いユウキは断り切れずに

セミナーに参加してしまう

マルチとネットワークビジネスは違う

ネットワークビジネスは、優秀な商品に裏打ちされた根拠のある

正当なビジネス手法である

セミナーでのリーダーの甘言に踊らされて

ユウキも加入してしまう



とりあえず自分の子供会員を増やさないと

親であるユウキは儲からない

会社の同僚や友人、家族を巻き込んでいくが・・・





とまあこんな感じ

アムウ●イを彷彿とさせますね

わしも20年くらい昔、会社の同僚がアムウ●イをやっていて

洗剤や浄水器をすすめられたりしました

当時は若かったしそんなもんいらんって、平気で断ってたから

被害はなかったけど

会社では、アムウ●イの洗剤を会社の金で買ってる

お局がいたなあ



かとおもえば、同期の奴が

ハーバー●イフをやっていて、ことあるごとにサプリメントを

ほめてました。

年賀状では、ハーバー●イフのメンバーでハワイに行きましたとか

いう景気のいい話をしてましたなあ

いつの間にか、会社を辞めていなくなりましたが

わしにも買ってほしかったのかな

私は鈍感だから、まったく聞く耳を持ってませんでしたが



小説では、マルチにはまったユウキの姿を描いていますが

ラストは、考えさせられるシーンで終わってます

いったい、マルチビジネスとはなんなのか?

考えさせられます。



アムウ●イをやっていた、お局さんも金持ちになったという話は聞かないし

ハーバー●イフをやっていた同期の奴は、それなりの高位だったので

羽振りのいい話をしてましたが、

会社を辞めてからはどうなったか行方知れず

ひょっとしたら、芦屋の豪邸に住み、週末はクルージングしてるかも



いっちょやってみるかw













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地面師たち

2024-10-01 15:19:18 | 読んだ本の紹介

地面師たち 新庄耕



Tictocを開くとネットフリックスで配信されているドラマ「地面師たち」が

小間切れで映し出されます

なかなか興味深い映像で、ぜひ見てみたいのですが

ネットフリックスに加入せねばならず、悩ましい

ということで原作の小説を読んでみることに



まずはあらすじから

ある事件で母と妻子を亡くした辻本拓海は、大物地面師・ハリソン山中と出会い、彼のもとで不動産詐欺を行っていた。

ハリソン一味のメンバーは、元司法書士の後藤、土地の情報を集める図面師の竹下、

土地所有者の「なりすまし役」を手配する麗子の五人。

彼らはひと仕事を終え再集結し、ハリソンの提案で次に狙いをつけたのが泉岳寺駅至近にある広大な土地。

市場価格100億円という前代未聞の案件だった。

一方、定年を間近に控えた刑事の辰は、かつて逮捕したが不起訴に終わったハリソン山中を独自に追っていた。

次々と明らかになる地面師たちの素顔、今だかつてない綱渡りの詐欺取引、難航する辰の捜査。

そして、地面師の世界に足を踏み入れた拓海が知った衝撃の事実……。

それぞれの思惑が交錯した時、待ちうけていた結末とは――。

地面師たちの組織的犯罪を、圧倒的なリアリティーで描いた新時代のクライムノベル。



とまあこんな感じ

ネットフリックスの「地面師たち」のキャスティングが秀逸

拓海:綾野剛

ハリソン山中:豊川悦治

竹下:北村一樹

麗子:小池栄子

後藤:ピエール瀧

刑事辰:リリーフランキー

そして騙される側

真木:駿河太郎

青柳:山本耕司



小説とドラマではだいぶと展開が変わってますが

原作小説を読むにあたり、このキャストが頭に浮かび

非常にしっくりきます。

綾野剛さんの過去の影を引きずる誠実な若者。

一歩踏み外すと人生が大きく変わってくる。

異常さを押し殺した青年実業家風の豊川悦治さん。

人をだますことを生きがいに生きている。

猟奇的な一面がときおり現れる不気味さ。

チームの裏の部分を担う反社の竹下に北村一樹さん

いかにも反社。裏の仕事を引き受けるもののハリソンを面白くないと思っている

裏切るか裏切られるか・・

紅一点の小池栄子さんがいい役してます

用意していた女が急にキャンセル。自分が身代わりになることに



定年を迎える老刑事のリリーフランキー

小説ではいぶし銀の活躍ですがドラマでは・・



導入部分で地面師とは?を解説する事件での被害者

駿河太郎も面白いですが

本番の大手デベロッパーの重役、青木役山本耕司さんがすごい

人間、焦って欲をかくとコロッと騙されるのですね



ネットフリックスでドラマ化した脚本家の方が

あとがきで書いてましたが

この本を読んだ瞬間、映像化をおもいついて何人ものプロデューサーに
企画書をおくったが、どこも相手にしてくれなかったと
どこの映画会社もテレビ局も系列に不動産部門があるため
ためだしが出たそうです
そんななか、ネットフリックスが映像化したんですね
恐るべしネットフリックス









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分福茶釜

2024-09-25 15:16:00 | 読んだ本の紹介



文福茶釜 黒川博行





東淀川高校の美術教師という異色の経歴をお持ちになる黒川御大の

骨董品業界にまつわる短編集です。

面白かった



美術関係の出版社に勤める編集員をメインに繰り広げられる

海千山千の古美術商。

バブルで世間が浮かれていたとき

金の代わりに流通してたのが絵画。

本物かどうかわからない絵画を高額にて売買し現金に換えていた

マネーロンダリングですね

一流企業は絵画を買いあさりその金は政界や裏の世界に流れて行ったのでしょう

バブルがはじけ、絵画を始末しようとする企業役員

そのおこぼれにあずかろうと群がる有象無象

墨絵の掛け軸を2枚にはぐ相剥ぎ。

ギャラリーフェイクの中にもありましたね。

本物であり、本物でない。

お札も相剥ぎできるとか・・



田舎の素封家の蔵に眠る名品をだまして安く買いあげる連中

初蔵出しには、名品が出てくる可能性が高いとか

阪神淡路や東日本の震災時には欲に目がくらんだ連中が

弱みに付け込んで買いあさったとか

だまして奪った文福茶釜、奪われた素封家は仕返しをたくらむが・・



中堅クラスの彫刻家が急逝しその作品の処分を頼まれる

古美術商。作品の中に、有名作家の習作を発見。遺族は気づいていない

なんとかそれをだまし取ろうとするが・・



宗教法人は、美術品の売買も非課税か?

信者の浄財か?高額な古美術を集める教祖様

しかしその実態は?





面白いですわ

欲に目がくらんだ連中の裏をかいたつもりが

相手もさるもの海千山千の連中ばかり、簡単には金にならん



たとえ偽物かもしれない品でも、骨董屋に売るのは

まったく問題ない。良心も傷まない。

見抜けないほうが悪いのである。

しかし素人相手では、そうはいかない

相手が文句を言ってきたら売値で引き取るのが仁義。

でないと骨董屋なんかできはしない。

だそうです



あとがきに

有名な作家の作品は、ほとんどすべて在処が判っている

そんなものが出回るわけがない

骨董屋の甘言には騙されないこと



そう思えば、お宝鑑定団で高額査定が出るケースなんか

レア中のレアなんでしょうね



ぜひお読みください

















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お腹召しませ 浅田次郎

2024-09-13 15:03:55 | 読んだ本の紹介

お腹召しませ 浅田次郎



あとがきにも書かれてましたが

浅田さんの歴史小説は、時期が幕末のものばかりだそうです

そうしたほうが、時代背景を勉強する量が少なくて済むって。

200年以上続いていた徳川政権。いろいろな不都合が明るみにでて

いよいよほころびをみせ始める時代です。



6編の短編とそれに付随する、浅田氏の幼少時代祖父から受け継いだ

昔話をセットで書かれてます。

表題にもなった「お腹召しませ」は、

高津又兵衛の家督を譲った入り婿が、公金を横領し遊女と駆け落ちしてしまう。

お家を残すには腹を切るしかないと上司から説得される又兵衛。

妻や母も、しれっと「早くお腹を召しませ」とせっついてくる。

武士のたしなみとして、腹を切ることは怖くはない。

が、又兵衛の下した決断は?



安芸守様御難事

14代安芸守、茂勲は、老いた側役から「斜籠(はすかご)」というのを

練習させられる。それは庭に置かれた籠に飛び込み逃げる

というもの。なぜそんなことをするのかその理由は誰に聞いても教えてもらえない。

ある夜、老中の屋敷に呼ばれる安芸守。側用人が「今日こそ斜籠を披露するとき」と

言い出します。わけがわからない茂勲は・・・



とまあこのような話が6話続くのですが

なかなか面白い。

短い話なのですぐに読めますが、話の先がなかなか読めないw

どんでん返しというのもちょっと違うか?

幕末当時の時代背景、徳川の末期薩長の台頭の中で武士とは侍とはいったい何だったのか

を物悲しくもおかしく描いてますね。

お腹召しませの中で、腹を切るのは怖くない武士としてそう教育されてきたという

セリフがありましたが、武士とは侍とはそういうものなのか

いっぽう、幼友達に介錯を頼むと「人なんか切れるか!」と断られる

それも武士なのか

200年続いた武士道ですが、連綿とつづいているものもあり

時代をおって風化していくものもあるていうことでしょうか



まあ面白かったです

















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封印 黒川博行

2024-09-12 11:01:44 | 読んだ本の紹介



封印 黒川博行





黒川御大の本をよみなおしてますが

今回は「封印」1992年の作品。30年以上前の作品ですね





ストーリー



元プロボクサーの酒井は、日本ランカーまで行ったが網膜剥離で

ボクサーとしての将来をあきらめる。

腐っていた酒井だがパチンコ機器卸の津村に拾われ釘師として仕込まれる

そんな折、津村の取引先から津村との取引を断るという話が方々から巻き上がる

ある日やくざの伊島が現れ、酒井に「溝口から預かったものをだせ」と脅される

溝口は、かつての同僚だが数年前に辞めていて、数か月前に町で出会って

1回飲んだだけの間柄であった

意味が分からない酒井は、津村に相談する

津村は、心当たりに当たってみると言い残し失踪してしまう

酒井は、津村の身を案じ、独自で津村探し出そうとするが

伊島以外のやくざが現れ、危機に陥っていく

津村の娘や、大阪府警の不良刑事の助けを借りて

やくざ組織に立ち向かっていくのですが、そこには大きな陰謀が渦巻いるのでした。

果たして、酒井は津村を助けることができるのか!?



とまあこんな感じ

じわじわと脅しをかけるやくざの怖さに、腕っぷし一つで対抗する酒井

敵の敵は味方か?インテリやくざの伊島がいい感じの立ち回りを見せます

酒井が、ボクサーの封印を解いてやくざと立ち回るシーンは

迫力がありますね。

ラストの謎解きもいい感じ。一気に読ませました



















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迅雷

2024-08-30 08:51:08 | 読んだ本の紹介

最近、黒川御大の本を読みなおしてます

疫病神シリーズを全巻読んで、堀内・伊達の暴対コンビシリーズも

全部読み返しました。

しょうもない小説読むより、黒川節は面白い

ストレス発散にぴったりです。



そんな中、黒川御大の昔の作品も読み直してます

今回は「迅雷」

1995年の作品ということで約30年前の作品ですが

面白かったです



あらすじから

主人公、友永はダライコ屋という鉄くずの回収業を一本独鈷でやっていたが

事故にあい、入院する羽目に

トラックを失い、仕事にあぶれた友永に声をかけたのが

入院先で知り合った、稲垣。

稲垣からいい仕事があると持ち掛けられたのが

営利誘拐

それも、やくざを誘拐するという

やくざは、金回りもよく、警察に連絡することもない

誘拐にもってこいだという

友永はもっともだと思い、誘いにのる。

稲垣の連れという日本拳法の達人ケンと3人で事を起こす



最初の誘拐に成功し味をしめた3人は再度、やくざの組長を誘拐する

しかし敵もさるもの、身代金を受け取る際失敗し

ケンが拉致される



情報をあつめケンの居場所を突き止め、ケンを奪還するが

満身創痍のケンを連れ、大阪の街を激走する3人

はたして身代金を手に入れることができるのか?



とまあこんな感じですが

大学の理事長戦というアクセントもかませながら

テンポよく物語が展開します

やくざ相手の暴力沙汰にひやひやしながら

3人の無事を祈りながら読んでました

ラストがまたよかった

30年も前の小説とは思えません

面白かったです

さすが!













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記念日 anniversary 香納諒一

2024-06-06 06:54:55 | 読んだ本の紹介

記念日 anniversary 香納諒一



康太郎さんおすすめの香納諒一の本を探しましたが

見つからず、これを読んでみました



あらすじ

皆、嘘をついている。

記憶を無くした状態で、横浜中華街の安ホテルの一室で目覚めた男。

そばには、アンと名乗る女がいた。

男が車から投げ出されたところを偶然見かけ、助けたのだという。

俺はいったい誰なのか。

なぜ、そんな目に遭ったのか。

記憶を取り戻すべく男はアンを頼りに行動を起こすが、

得体の知れぬ複数の組織が男を陥れようと蠢き出す──。





結構分厚い本で読むのに時間がかかったw



自分が何者かわからない。名前も国籍もわからない

でも日本語をしゃべり中国語もわかる、英語も問題ない

いったい自分は何者なのか?



わからないまま、横浜の街を歩くと

日本の警察、中国マフィア、CIAが男を追う

必死で逃げながら、記憶の糸をたどるが・・・



とまあこんな感じのハードボイルド小説

登場人物が多すぎて場面が右往左往するし

そのくせ、男が騒動に巻き込まれる動機が弱すぎて

感情移入できない

追いつ追われつ、危機に遭遇するが

同じことの繰り返しでページを稼いでいる感はんぱない

その割に、うまいこと危機を脱する

あっそうっていう感じ



しかしラストの展開は面白かった

そう来るだろうなって思ってたら

思った通りになって、納得。



今度は康太郎さんのおすすめの本を読んでみたいです







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海の稜線 黒川博行著

2024-05-28 09:15:17 | 読んだ本の紹介

海の稜線



黒川御大の初期、1987年の発行作品。

携帯電話も監視カメラもない時代、足で事件解決する



大阪府警の文田刑事、通称ブンさん、総田部長刑事、通称総長

の凸凹コンビに東京から来たキャリアの萩原警部補。

この3人が難事件に挑む。



あらすじ

名神高速で、自動車の爆破事故がおきる。

乗車していた男女が黒焦げ死体となって見つかる。

身元の判明しない遺体。捜査は難航するが

ちょっとしたきっかけから、女の身元が判明する。

そこで事件が、ある海難事故に関係していることが

捜査線上にうかんできた。



船主、傭船主、造船主、荷主、日本の海運業の仕組みが

詳細に描かれています

あとがきでは、黒川御大の親父さんが一隻船長で

海運業の裏表を知り尽くしており

黒川御大も親父さんを手伝っていたそうです



現在の時代からは想像もできないバブル崩壊後の海運不況の

深刻さがリアルにしのばれる作品となってますね



東京から来たキャリアの萩原が年上のブンと

大阪と東京の文化の違いで角突き合わせるのもおもしろい

総長の美人の娘との恋のさや当てもいいアクセント。



足で稼ぐブンと総長、頭脳で謎を解く萩原、3人のでこぼこ

タッグが一歩ずつ真相に近づいていくのが小気味いいですぞ

それにラストがなんかいい感じです

ぜひお読みください。















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絵が殺した

2024-05-22 09:18:29 | 読んだ本の紹介

絵が殺した 黒川博行

黒川御大の本を読み返してますが
大阪府警の初期シリーズ。
切れ者吉永、昼行燈小沢コンビが難事件に挑みます。

時は1990年代 バブル終焉期
発端は、大阪南部の山林の竹やぶで白骨遺体が見つかり
大阪府警が捜査に乗り出す
去年福井の断崖で行方不明になった京都の画家であることがわかり
吉永と小沢の凸凹コンビが動き出す

画家の過去を洗ううちに、画家が過去の贋作事件に
かかわっていたことがわかる。
過去の関係者を当たるうちに、関係者と目される画商が金沢で死体みつかる
連続殺人かと捜査本部が色めき立つ中
吉永は風変りな画商矢野と出会う。
矢野は京都の日本画界隈の裏事情に通じており
なにかと、吉永に知恵を授ける。

いったい矢野は何者なのか?
目的は何か?

とまあこんな感じ
1990年代初頭、携帯電話もなく
まさに足で情報を集める時代
京都から、福井、山口と広域にわたる捜査がすすみます
連続殺人で、登場人物が限られる中
トリックとアリバイを崩していく吉永。
犯人を突き止めるのだが・・
さすがに初期の作品で粗削りですが
画商の矢野がとぼけた会話でいい味を出してます。

あとがきで黒川御大が書かれてました
当時は、バブルの終焉期
バブル時代は、まさに狂騒だったと
土地や株がうなぎ上りで上がっていく時代
日本画もその例にもれず、芸術品というより
資産として売買されていたという話。
黒川御大も、土地や日本画には手を出せなかったが
株はそれなりに買っていたと
それが一瞬にして消えてしまったという
それから、本腰を入れて作家活動に入ったというような話

なんか今の状況を反省せねば
オールカントリーとかで浮かれてる場合ちゃいますね
でも資産を増やさないと、老後が心配ですしねえ
おっとそんなことはどうでもいいんです

なかなか趣のある作品でした











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燻り 黒川博行

2024-05-16 15:05:29 | 読んだ本の紹介

燻り 黒川博行

黒川御大の本を読み直してます
今回は、短編集。
9編の短編です。

人生がうまくいかず、社会の底辺で燻っている人たちの話

警察が成績を上げるため暴力団に拳銃を差し出せとたのみ、
燻っている下っ端に拳銃をコインロッカーに入れるように言う幹部
しかし運の悪いことに・・

大企業の社長の娘の濡れ場のビデオを入手した、興信所の所長
金にしようと社長をゆするが・・

パチンコのデーター書き換えの証拠のCDROMを
盗み出し、オーナーをゆするが・・

成金が死に、集めた骨董品を遺品整理に出すが
遺品の中に値打ち物の大皿を見つけた骨董商は、安く買いたたく。
数日後、オークションに流れた大皿が実は地方で強盗致傷事件の際盗まれたものと判明。
皿の出先を追ううちに・・

美大の教授の妻が、テニス教室のコーチといるところを写真に撮られ
不倫を疑われるが、その犯人は意外な人物・・

寺の住職の頭蓋骨の白骨がみつかる。住職はバブルがはじけ多額の借金を背負っていた
住職には多額の保険金がかかっており、受取人は若い妻であった。
疑った警察が妻を監視するが妻の前に現れたのは意外な人物であった。

年老いて糖尿を患っている夫。足を切断するなど余命いくばくもない
若い後妻は面倒を見る気もなく、浮気相手に愚痴る。
浮気相手の男は、夫を自殺に見せかけて殺すのだが・・

空き巣の前科を持つ男。仮出所したが空き巣を繰り返していた。
ある日、男の前に刑事が現れ別の強盗殺人のアリバイをきかれるも
男は同時刻にべつの空き巣に入っていた。
答えに窮する男がとった行動は・・

とまあこんな感じ
燻りつつ、一発逆転をねらう輩たち
なかなかそう旨い話は転がっていない
結局は手痛いしっぺ返しを食らうのであった。




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切断 黒川博行

2024-05-15 05:23:24 | 読んだ本の紹介



切断 黒川博行



黒川御大の本を読み返してます

いつもの大阪府警シリーズや疫病神シリーズのように

バディもののミステリーではなく

どちらかというと、大藪晴彦を思わせるような

ハードボイルドな作品でした



冒頭、何者かにより入院中の男が惨殺されます

男の耳がそがれ、耳の中には小指がつっこまれていました。

小指の主は、沢木。取り込み詐欺の罪で服役後、出所して行方知れず。

小指の断面には生体反応がなく、沢木も死んでおり連続殺人となる。



物語は、謎の犯人の男の目線で進んでいきます

男は詐欺事件に絡む故買屋の男を殺し、舌を切り取ります

男は続いて詐欺事件の首謀者の暴力団組長を襲うが未遂に終わる

組長の娘を誘拐し、組長を誘い出し殺そうとするが、またも失敗

娘の局部に故買屋の舌を突っ込み解放する

警察は沢木の犯行を疑うが、切断された小指は沢木が死んでいることを示している

警察は沢木の妹のはるみを追ううちに、事件の真相にたどりつく



とまあこんな感じ

謎の男の視線で物語がすすみ

ハードボイルドに関係者を殺していきます。

道具の用意から始末まで詳細に描いてあり

リアリティがあります。



携帯電話もネットもない時代のクライムサスペンスですが

古臭くない

いつの間にか、犯人に感情移入してます

なかなか面白いですぞ













































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