LCIイタリアxカルチャースタジオ吉祥寺「イタリア映画セミナー第1回ネオリアリスモ(il Neorealismo Italiano)」に行ってきました(2015.3.8)@LCIイタリアxカルチャースタジオ吉祥寺
この日はたまたま3月8日 そう イタリアでは「女性の日」でした! 私はこの日初めて 新規オープンとなった吉祥寺のLCIイタリアxカルチャースタジオの「バール・イタリアーノと食材屋」(part 1)に行ってきました 吉祥寺駅からまっすぐ歩けばいいので楽です(^_^)
参加者の皆さんからだんだんと顔を覚えていただき嬉しかったです(文化セミナーは年2回ですがほとんど参加してます)
今年は新しい先生も加わり後半を担当されました 皆さん日本語上手ですね(*^^)v 今回のセミナーはイタリア映画がテーマとあり 私も何本かDVDを見て予習しておいたのでよくわかり イタリア語もほとんどわかったのがとても嬉しかった~(^^)/
* * *
第1回はネオ・リアリスモがテーマでした:
「Neorealismo」とは 1940年~1950年代の第二次世界大戦後に盛んとなったイタリア文学、美術、映画界における新しい風潮を『ネオレアリズモ』と呼びます
「ネオ」とは「新」 「レアリズモ」は「真実」を意味します
戦時中のファシズム政権による弾圧を経て 戦後 反ファシズムの動きが活発となり 政治に影響力のある内容の映画作りへと発展していったこの時代 映画はイタリアの市民が苦しい生活の中で かすかな希望を抱く拠り所であり 楽しみのひとつとなっていきました
発端は小説で ベリズモ(Verismo/真実主義)というイタリア文学運動から 映画界へと発展していきました
たとえば "I Malavoglia"(不本意という意味)という小説が原作となって ヴィスコンティによって"Ossessione「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1942)"(原題ossesioneは「妄執」)が作られます
ロッセリーニ ヴィスコンティ デ・シーカなどは「ネオレアリズモ」の時代において活躍した有名な監督たちです:
・ヴィットリオ・デ・シーカ(Vittorio De Sica): 自転車泥棒(Ladri di biciclette) 靴磨き(Sciuscia') 終着駅(Stazione Termini) ふたりの女(La Ciociara) 昨日、今日、明日(Ieri,oggi,domani) あぁ結婚(Matrimonio all'italiana) 旅路(Il Viaggio) ひまわり(I Girasoli)
・ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti): 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)(原題ossesioneは「妄執」) 揺れる大地(La terra trema/1948) ベリッシマ(Bellissima)
・ロベルト・ロッセリーニ(Roberto Rossellini): 無防備都市(Roma citta' aperta) ドイツ零年(Germania anno zero) イタリア旅行 戦火のかなた(Paisa')
ネオリアリズモのそのキーワードとなる ファシズム 反ファシズム レジスタンス またその映画理論について説明を聞いたあとで アクティビティとして 「映画の中の子供たち」についていくつかのシーンを見ながら考えました
当時の子供たちは親もない子も多く 生き延びるためにまるで大人のように 働いたり時には悪事に手を染めたりしなければならず その身なりや言葉使い 仕草について見てゆきました そういえばネオリアリズムの映画には子供たちがよく出てきますよね...子供が子供らしく生きられない状況でした
さらに 映画の中で話される言葉は 方言(diaretto) そして占領下にあったため英語やドイツ語でした 言葉がなかなか通じないのが普通の状況であり それがそのまま映画(ここでは「無防備都市」や「戦火のかなた」)に反映されていること そして市井の市民たちが登場していること(もちろん俳優も演じていますが)などが紹介されました
* * *
こちらのカフェにおいてあるパネットーネとカフェをふるまってくださったpausaをはさんで講師が交代され 第2部は かの有名なデ・シーカ監督の『自転車泥棒(Ladri di biciclette)』(1948)のいくつかのシーンについて見てゆきました
チネチッタは当時占領下にあり使えなかったため 壊れた街の中や家の中 郊外や田舎等で撮影されたこと 「郵便配達~」はムッソリーニが見たかったため 1週間だけ上映が許可されたというエピソードを聞きました
社会批判 特に 貧困(poverta') 失業(disoccupazione) 犯罪(criminalita')などがテーマとして扱われており 「靴磨き(Sciuscia')」の少年二人が逮捕されてしまったり あるいは「無防備都市」でナチスに捕えられた婚約者の後を追って撃たれる女性(『ベリッシマ/Bellissima」の母親役も演じた アンナ・マニャーニ/Anna Magnani)の 最も有名で印象的なシーンが紹介されました
「にがい米(Riso amaro)」(1949、ジョゼッペ・デ・サンティス監督)のシルヴァーナ・マンガーノ/Silvana Manganoの迫力ある演技... 彼女美しいですね~(#^.^#)
「自転車泥棒」のそれぞれのシーン 職探しやシーツを売って質に入れた自転車を買い戻す あるいはぐるになった3人の男に仕事の初日に自転車盗まれる 盗品市を探しまわる 見つからず店に入り親子でピザを食べ 裕福な家族の子と目を合わすシーン 犯人を見つけるもまわりがかばい何もできない そしてとうとう自分も逡巡の末 自転車を盗もうとするも捕まり...そのやるせなさが 特にセリフを用いず表情でもって伝わってくるのですね...
そしてのちに続く作品群「青春群像(I Vittelloni)」(1951) 「道(La strada)」(1954) 「甘い生活(La dolce vita)」(1960) 「アマルコルド(Amarcord)」(1973)等が紹介されました
* * *
さて このイタリア映画セミナー第2回は「イタリア食文化と映画」というテーマで6月28日(日)に開催されます 南北の食事 フェラゴストなどの行事の食事 ヌテッラ そして映画の中の食事の役割を イタリア人の目線で見てゆくとのこと
詳しくは こちら
楽しいひとときを過ごしたあと シチリアのパン「パーネ・カラザウ」を買って帰りました まだ見ていない映画もあるので 次のセミナーまでにぜひ見たい!!と思った次第です
開催のお知らせは こちら
* 追伸 イタリア人の先生にこの話をしたところ ピエトロ・ジェルミ(Pietro Germi)監督作品も勧めていただきました 「鉄道員(il Ferroviere)」「わらの男(L'uomo di paglia)」などですが 「鉄道員」は見たことがありますが やはり子供が出てきて 鉄道員の父が不遇の目に逢う映画で ネオリアリスモの映画でした よかったですよ~
* この話をイタリア人にする時に 「映画のタイトルをイタリア語で言えるようにしておくこと」が大切だなぁと感じました!! あぁその映画ね!! とすぐに反応してくれるんです(*^^)v
映画(全般) ブログランキングへ
にほんブログ村