日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

イタリア 首相辞意 国民投票敗北、既成政治に批判(2016.12.5)@毎日新聞

2016年12月06日 | イタリアのニュース

イタリア 首相辞意 国民投票敗北、既成政治に批判(2016.12.5)@毎日新聞



 【ローマ福島良典】国会改革を柱とする憲法改正を巡りイタリアで4日投票された国民投票は即日開票の結果、内務省の中間集計で反対が59.33%と賛成の40.67%を上回り、大差で改憲を否決した。

改革を進めてきたレンツィ首相(41)は敗北を認め、辞任を発表した。米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利で浮き彫りになった既成政治批判の高まりがイタリアでも明らかになった。

 国民投票はレンツィ氏に対する事実上の信任投票だった。レンツィ氏は5日未明、「反対派が圧勝した。責任を取る」と敗北宣言し、マッタレッラ大統領に辞表を提出すると述べた。
大統領が後継首相候補を指名するとみられるが、2018年2月予定の総選挙が来春に前倒しされる可能性が高まり、政局の流動化と経済の不安定化は必至だ。

イタリアでは上下両院が同等の権限を持ち、国と州で政策分野が重なるため、改革の阻害要因になってきた。改憲案の柱は(1)上院(定数320)の規模と権限を縮小し、非公選の地方代表者議会(定数100)に改編(2)国と州が権限を分担していたエネルギーや交通・運輸などを国の専権にする中央集権化--だった。

 レンツィ氏は改革によるコスト削減や国会・行政の効率化を訴えたが、反対派が「中央・政府への権力集中は非民主的」と主張。
欧州連合(EU)からの離脱を選んだ英国民投票やトランプ氏の勝利に象徴されるポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭が、既成政党批判を展開する新興政治団体「五つ星運動」ら反対派に「追い風」となった。

 改憲案は今年1月に上院、4月に下院が可決。憲法上、国民投票は必要なかったが、国政選挙の「洗礼」を受けていないレンツィ氏が改憲案可決による政権の正統性確保を目指した。

 レンツィ氏は14年2月に中部フィレンツェ市長から首相に就任。雇用創出や経済競争力の強化に努めたが、景気低迷や高い失業率に国民の不満が高まっていた。
 有権者数は在外投票分を含め約5070万人。投票率は66.01%

イタリア国民投票にかけられた憲法改正案の骨子
・下院(定数630)と同等の権限を持つ上院(定数320)の規模と権限を縮小し、地方代表者らによる諮問機関的な非公選議会(定数100)に改編。
・中央政府と州で権限を分担していたエネルギー、戦略的インフラ、交通・運輸、港湾・空港、対外貿易、保健などを国の専権にし、中央集権化を推進
・地方自治体のうち県を廃止し、州-大都市・市町村の2層構造に。

ニュースは こちら


     *       *       *


2016年12月6日(火)の毎日新聞論点「欧州の選択」より抜粋:

・イタリアでは政治家への不信が他の欧州諸国より強く 特権階級と見られている
・英国国民がEU離脱を選んだように イタリアでもグローバル化の中で忘れられたと感じる人々の不満が強いということだ
(今後も続く「再国民化」高橋進/龍谷大教授)

・オーストリアと同日に行われたイタリアの憲法改正国民投票から見えるのは、EU加盟で広がった国内経済の南北格差だろう 
あの改憲案は、地方の発言力が強い上院の影響力をそぐ意味もあったが、貧困地帯を抱える南部の地方が反発した 
・一方、改憲案に反対した右翼政党「北部同盟」は逆に、北部の豊かな税収を「怠けている」南部に投入されることへの不平を訴えた
・欧州の政治には理想に走りすぎるきらいがある。彼らの描く世界のイメージは複数の言語を操り国際社会で意思疎通できるエリートたちのものだ。だが足もとには、義務教育しか受けていない国民も大勢いる。ポピュリズムを「大衆迎合主義」と呼んでただ退けるのは誤りだ
(「迎合主義」単純な排除誤り 村松恵二/弘前大名誉教授)

・国民投票を見ていて感じたのは、レンツィ首相とキャメロン首相との類似性だ。選択しなくてもよかった国民投票という道を選び、自身の地位を失っただけでなく、国をも大きなリスクにさらした。
・今回の国民投票の結果は逆説的かつ皮肉的だと思っている。なぜなら、反対票を投じた多くのが「親EU派」だろうと推測しているからだ。親EU派の人々は政府の権限強化を望まず、反対票を投じた可能性がある。
改正案の拒否感とレンツィ氏への不人気が重なった結果、このような大差(6vs4割)がついたのではないか
だから、英国のEU離脱や米大統領選の影響がイタリアにも波及したとは考えていない。単純にポピュリズムの勝利と考えることには違和感がある
・この先、確定的なことは言えないが、イタリアはEU離脱の方向に向かわないのではないかと思う。五つ星運動が仮に連立政権に入ったとしてもどの程度影響力を持てるか不明だ
一方、国民投票の結果は短期的には経済へ、そして政治への何らかの影響はあると考えている。
(EUの将来、暗くはない ポール・ベーコン/早稲田大教授)


    *       *       *


Referendum, una valanga di no
Renzi: "Ho perso e mi dimetto"

国民投票、Noの雪崩
レンツィ、 "私は負けた、辞職する"

La Repubblica 12月6日(火)の記事
Renzi: resto fino al sì alla manovra, ma poi voglio subito il voto. "Non lascio questa arma a Grillo"
 こちら



ついでにドイツのDeutsce Welle 12月5日(月)のニュースは こちら


2016年6月のイギリスのEU離脱 11月の米大統領選挙 12月4日のイタリアの国民投票での憲法改正否決 同日のオーストリア大統領選での左派候補勝利 
続く2017年5月はフランス大統領選 秋にはドイツ総選挙と続きます... 欧州の情勢はめまぐるしいですね 






イタリア語 ブログランキングへ

にほんブログ村 外国語ブログ イタリア語へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする