「イタリア料理のアイデンティティ(L'identità italiana in cucina)」の本の紹介セミナーの思い出(2017.11.24)@イタリア文化会館
世界イタリア料理週間での 翻訳者による「イタリア料理のアイデンティティ」の本の紹介セミナー!に行きました
著者はボローニャ大学文学部中世史講座専任講師 食科学大学教授のマッシモ・モンタナーリ氏 翻訳者は辻調の料理教育研究所研究員の正戸あゆみ氏です
セミナーの紹介:
本書はイタリア食文化史の第一人者による、まさに「イタリア料理ってなに?」に答えた1冊です
イタリアと呼ばれる大地、そしてそこに暮らす人々とその食文化の歴史をたどりながら、何をもってしてイタリア料理とするのか、あるいはイタリア料理の何がイタリアなのか イタリア料理を考える上でのポイントを提示しています
イタリアの食にまつわる歴史を振り返りながら、イタリア料理がどのようにして現在の形を取るに至ったか、訳者の正戸あゆみ(辻調グループ辻静雄料理研究所)が 様々な事例を引きつつ「美味しい」お話を致します。
* * *
本のタイトル『L'identità italiana in cucina』は直訳すると 「料理における イタリアのアイデンティティ」となります
これは ヨーロッパの食文化史を専門とされる著者が イタリアの歴史を振り返りつつ その歴史と食文化の流れをたどりながら イタリア料理の輪郭をたどる一冊で 古代ローマから現代イタリアまでの空白期間(中世 ルネサンス リソルジメントなど)を知ってから読むと ずっとわかりやすいとのことです
ローマ帝国滅亡後 800年頃にシチリアに来たアラブ民族が乾燥パスタや砂糖を持ち込み あるいは 1492年のコロンブスの新大陸発見により アメリカからトマト じゃがいも とうもろこし等が入ってきたという歴史がありますね トマトが1500年代に入ってから2~300年くらいかけて トマトソースができてきました
「イタリア料理というものはない あるのは郷土料理であり 地方料理の集合体がイタリア料理なのだ」との言葉がありますが イタリアの行政区域"regione"ごとの 20州に分けたイタリア料理の区分けは少々乱暴で 同じ州の中でも色々違っていますね
ほんとに イタリアはちょっと車で十数分のところに行けば もう言葉も料理も違ってしまうという カンパニリスモの国なのですよね~
第一次大戦前は食べ物が豊富にありましたが 第二次世界大戦前後は食糧難で代用品が色々出回りました
また 最近の傾向として 伝統を分解し再構築する動き 特に昨年「世界のベストレストランベスト50「The World's 50 Best Restaurants Awards 2016」で第1位を獲得した ミシュラン三ツ星レストラン「オステリア・フランチェスカーナ」のオーナーシェフ・マッシモ・ボットゥーラ氏に見られるような 新解釈の料理も出てきているのですね
tortellini in brodoは 北部の典型的な料理で コンソメスープの中にトルテリーニが浮かんでいるのですが これを今では トルテリーニの中にコンソメを詰めて ピスタチオクリームのソースを置くという 現代的解釈によって作り直されたレシピも写真を交えて示していただきました
ベネト州のバッカラ(干し鱈)とポレンタを合わせた baccalà mantecatoも パリパリの煎餅状にしたポレンタにバッカラを乗せていますね
さらにはカルボナーラを 卵のスプーマ(泡)のみ出して 横に中が空洞でパルミジャーノやグアンチャーレのパウダーを詰めた棒状のパスタを添えて出すという 「新解釈」のカルボナーラレシピも紹介していただきました
ここで私は 今年3月に来日された マッシモ・ボットゥーラ氏のクッキングショーを鮮明に思い出したのでした...
リポートは こちら
それに 会場のエキシビションホールにはちょうど折よく 未来派の「即興的昼食(pranzo improvvisato)」の展示がされており...これも ちょうど未来派のセミナーを聞いた後だったのでとても興味深かったです♡
このあとは質疑応答で イタリア人シェフがどれくらい和食の食材を取り入れているのか?(フランス料理では割と取り入れられている) たとえばUmami(旨味)等 について 翻訳の難しさについては 長文なので難しかったとのこと また どこまでをイタリア料理とするか?日本でのイタリア料理と イタリアでイタリア人が作るイタリア料理とどう違うのか等 これはカリフォルニアロールは寿司と認めるのか?と同じですよね
精神的なイタリア料理 つまり 顔の見える人の素材で作ったイタリア料理が大切ではないか と話はつきませんでした 原材料はどの国から来ているのか?(例えばイタリアのパスタの小麦はカナダ産) 何をもってイタリア料理と認めるのか? その国の歴史をたどれば 様々な国から色々な食材や料理法が入ってきて 今があるのですよね...
今ちょうど「ローマ歴史講座」を取っていて ローマ時代のワインや料理についても色々調べているところなので 料理の歴史を知るのにとても興味深い一冊でした♡
本は こちら
開催のお知らせは こちら
もうじき イタリアブックフェア(2019.3.23~30)ですね💛 イタリア料理の新刊も色々出ていることでしょう(^.^)
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世界イタリア料理週間での 翻訳者による「イタリア料理のアイデンティティ」の本の紹介セミナー!に行きました
著者はボローニャ大学文学部中世史講座専任講師 食科学大学教授のマッシモ・モンタナーリ氏 翻訳者は辻調の料理教育研究所研究員の正戸あゆみ氏です
セミナーの紹介:
本書はイタリア食文化史の第一人者による、まさに「イタリア料理ってなに?」に答えた1冊です
イタリアと呼ばれる大地、そしてそこに暮らす人々とその食文化の歴史をたどりながら、何をもってしてイタリア料理とするのか、あるいはイタリア料理の何がイタリアなのか イタリア料理を考える上でのポイントを提示しています
イタリアの食にまつわる歴史を振り返りながら、イタリア料理がどのようにして現在の形を取るに至ったか、訳者の正戸あゆみ(辻調グループ辻静雄料理研究所)が 様々な事例を引きつつ「美味しい」お話を致します。
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本のタイトル『L'identità italiana in cucina』は直訳すると 「料理における イタリアのアイデンティティ」となります
これは ヨーロッパの食文化史を専門とされる著者が イタリアの歴史を振り返りつつ その歴史と食文化の流れをたどりながら イタリア料理の輪郭をたどる一冊で 古代ローマから現代イタリアまでの空白期間(中世 ルネサンス リソルジメントなど)を知ってから読むと ずっとわかりやすいとのことです
ローマ帝国滅亡後 800年頃にシチリアに来たアラブ民族が乾燥パスタや砂糖を持ち込み あるいは 1492年のコロンブスの新大陸発見により アメリカからトマト じゃがいも とうもろこし等が入ってきたという歴史がありますね トマトが1500年代に入ってから2~300年くらいかけて トマトソースができてきました
「イタリア料理というものはない あるのは郷土料理であり 地方料理の集合体がイタリア料理なのだ」との言葉がありますが イタリアの行政区域"regione"ごとの 20州に分けたイタリア料理の区分けは少々乱暴で 同じ州の中でも色々違っていますね
ほんとに イタリアはちょっと車で十数分のところに行けば もう言葉も料理も違ってしまうという カンパニリスモの国なのですよね~
第一次大戦前は食べ物が豊富にありましたが 第二次世界大戦前後は食糧難で代用品が色々出回りました
また 最近の傾向として 伝統を分解し再構築する動き 特に昨年「世界のベストレストランベスト50「The World's 50 Best Restaurants Awards 2016」で第1位を獲得した ミシュラン三ツ星レストラン「オステリア・フランチェスカーナ」のオーナーシェフ・マッシモ・ボットゥーラ氏に見られるような 新解釈の料理も出てきているのですね
tortellini in brodoは 北部の典型的な料理で コンソメスープの中にトルテリーニが浮かんでいるのですが これを今では トルテリーニの中にコンソメを詰めて ピスタチオクリームのソースを置くという 現代的解釈によって作り直されたレシピも写真を交えて示していただきました
ベネト州のバッカラ(干し鱈)とポレンタを合わせた baccalà mantecatoも パリパリの煎餅状にしたポレンタにバッカラを乗せていますね
さらにはカルボナーラを 卵のスプーマ(泡)のみ出して 横に中が空洞でパルミジャーノやグアンチャーレのパウダーを詰めた棒状のパスタを添えて出すという 「新解釈」のカルボナーラレシピも紹介していただきました
ここで私は 今年3月に来日された マッシモ・ボットゥーラ氏のクッキングショーを鮮明に思い出したのでした...
リポートは こちら
それに 会場のエキシビションホールにはちょうど折よく 未来派の「即興的昼食(pranzo improvvisato)」の展示がされており...これも ちょうど未来派のセミナーを聞いた後だったのでとても興味深かったです♡
このあとは質疑応答で イタリア人シェフがどれくらい和食の食材を取り入れているのか?(フランス料理では割と取り入れられている) たとえばUmami(旨味)等 について 翻訳の難しさについては 長文なので難しかったとのこと また どこまでをイタリア料理とするか?日本でのイタリア料理と イタリアでイタリア人が作るイタリア料理とどう違うのか等 これはカリフォルニアロールは寿司と認めるのか?と同じですよね
精神的なイタリア料理 つまり 顔の見える人の素材で作ったイタリア料理が大切ではないか と話はつきませんでした 原材料はどの国から来ているのか?(例えばイタリアのパスタの小麦はカナダ産) 何をもってイタリア料理と認めるのか? その国の歴史をたどれば 様々な国から色々な食材や料理法が入ってきて 今があるのですよね...
今ちょうど「ローマ歴史講座」を取っていて ローマ時代のワインや料理についても色々調べているところなので 料理の歴史を知るのにとても興味深い一冊でした♡
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もうじき イタリアブックフェア(2019.3.23~30)ですね💛 イタリア料理の新刊も色々出ていることでしょう(^.^)
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