ドイツ語圏文化セミナー「私は東ドイツに生まれた: 旧東ドイツの世界遺産/Weltkulturerbe」+「ドイツってどんな国?」を受けてきました(2017.3.24)@(財)日独協会
今年はドイツでは「ルター宗教改革500周年記念行事」が目白押しです!!グリムの町カッセルでは5年に一度の世界的現代美術展ドクメンタ(~9/17)が ベルリンでは10年に一度の国際園芸博覧会(~10/15)が 歴史古都ミュンスターでは 10年に一度の現代彫刻展(~10/1)が開催されています
ということもあって 私が実は若い頃在籍していた日独協会の講演会に時々行ってますが 今回は旧東ドイツ出身のリースナー先生によるセミナー「私は東ドイツに生まれた: 世界遺産/Weltkulturerbe」を受けてきました!
ついでにその後の留学セミナー「ドイツってどんな国?」も無料だったので(笑)参加しましたが 世界遺産セミナー(上級)の方は長年ドイツ語を学んだりドイツに住んでいた年齢も高めの人がメインでしたが こちらの留学セミナーの方は 「これからドイツ語を学ぼう 留学しよう!」と考えている若い方たちが大勢いらしてました♡
「旧東ドイツの世界遺産」:
ドイツには41の世界遺産(文化遺産38 自然遺産3)があり 世界では第5位 です
* このあと2017年7月に1件追加され 42件となりました! 詳しくは こちら
旧東ドイツ時代はあまり世界遺産は顧みられず(UNESCOに拠出金を払っていなかったこともあり) 旧東ドイツ時代 特に70年代はあまり「観光」は国の政策としては重要視されていなかったことも関係して登録された世界遺産はなく 1989年にユネスコに加盟(壁崩壊の年ですね) 1990年のドイツ統一後に世界遺産登録がようやく始まり 計12ヶ所が登録されました
この他に2004年に登録されたドレスデン・エルベの谷の文化的風景/Kulturlandschaft Dresdner Erbtalが (住民の生活のための)Waldschlößchenbrücke(橋)の建設により 2009年に世界遺産リストから抹消されました
詳しくは こちら
ドイツでは2005年より毎年7月の第一日曜日が「ユネスコ世界遺産の日/UNESCO-Welterbetag」として さまざまな催し物が開催されます
旧東ドイツで最初に登録された世界遺産は
Nr.17 ポツダムとベルリンの宮廷群と公園群/Schlösser und Parks von Patsdam und Berlin (1990年)です (ドイツ統一の年ですね)
このセミナーではその他にも
Nr. 18 ワルトブルク城/Wartburg (1999)
Nr. 33 アイスレーベンとヴィッテンベルクにあるルター記念建造物群/Luthergedenkstätten in Eisleben und Wittenberg (1996)
Nr. 34 ワイマールとデッサウのバウハウスと その関連遺産群/Bauhaus und seine Stätten in Weimar und Dessau(1996)
Nr. 35 古典主義の都ヴァイマール/Klassisches Weimar (1998)が取り上げられました
順番に取り上げます:
Nr.17 ポツダムとベルリンの宮廷群と公園群/Schlösser und Parks von Patsdam und Berlin (1990年):
フリードリヒⅡ世の夏の別荘(Sommerhaus) ロシアのSoldatenchor(兵士のコーラス) ポツダムのロシアコロニーは珍しいそうです
じゃがいものない頃は飢饉(Hungersnot)になりましたが フリードリヒⅡ世はじゃがいもの栽培を広めてGetreidefelde(穀物畑)が増え 天気にかかわらず収穫できるようになり 今でもフリードリヒⅡ世の墓の上には感謝のじゃがいもが捧げられるそうで じゃがいも祭り(Kartoffenfeste)も行われます
ツェツィーリエンホーフ宮殿(Schloss Cecilienhof)ではトルーマン等が集まり ポツダム会談が開かれました 1945年にソ連赤軍によって占領されました ロシアの占領の印でもある☆の形の植え込みがあります
詳しくは こちら
Nr.35 古典主義の都ワイマール/Klassisches Weimar (1998)
テューリンゲン(Türingen)州ワイマール(Weimar)は なんといっても ゲーテ シラー ヘルダー等で有名ですね
ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ公エルンスト・アウグスト2世の妃アンナ・アマーリア/Anna Amalia(1739-1807)は彼らをワイマールに招へいしました
その息子の公爵(Herzog)カール・アウグスト/Carl August(1757-1828)は 1816年に初の州の憲法(landesständische Verfassung)を制定し 報道の自由 意見の自由を保障しました: Als erstes deutsches Land erhielt Sachsen-Weimar-Eisenach 1816 eine landesständische Verfassung, die u. a. seinen Untertanen Pressefreiheit und das Recht der freien Meinungsäußerung gewährte.
ゲーテ/Goethe(1747-1832)とシラー/Schiller(1759-1805)は互いに良きライバルであり親友 墓も隣り合わせで 二人の像が建てられています(写真)
ゲーテの家もありますが シラーの家はゲーテと違って自分で買ったとのこと(買った3年後に死去...)
2人はドイツ文学におけるワイマール古典主義時代を確立してゆきました
ゲーテとシラーの像
かたや作家のヴィーラント/Wieland(1733-1813)は カール・アウグスト公爵の家庭教師を務めており ゲーテより年長で ゲーテからも尊敬されていました
またゲーテはアウグスト公からも兄のように慕われ 王妃からの信頼も厚かったとのこと
ヘルダー/Herder(1744-1803)は彼らよりも遠い存在で ギムナジウムの校長(Leiter)で文部省の役人なども務めました ヘルダーの泉 ヘルダーの像 ヘルダー教会 などもあります
詳しくは こちら
Nr. 33 アイスレーベンとヴィッテンベルクにあるルター記念建造物群/Luthergedenkstätten in Eisleben und Wittenberg (1996)
M.ルター/Martin Luther(1483-1546)が1517年10月31日に「95カ条の論題/95 Thesen)」を門扉に貼り出したシュロス教会/Schlosskircheがあります
この文書が突如として宗教改革を引き起こし カトリックとプロテスタントを分裂させた端緒になったというイメージは今も一般的で 10月31日は「宗教改革記念日/Reformationstag」となっています
1983年のルター生誕500年の年には記念切手が両ドイツで発行されました ルターの生家(火事で焼けたあと2007年に修復) 亡くなった家もあります
ルターについて ルターハウス(Lutherhaus)について詳しくお話してくださいました
ルターは宗教改革の中心人物となったことでプロテスタント教会の源流を作りました
聖書をキリスト教の唯一の源泉にしようというルターの呼びかけは プロテスタント諸教会のみならず 対抗改革を呼び起こしたという意味でカトリック教会にも大きな影響を与えました
ルターの友人の哲学者 メランヒトン(Melanchthon)の家もあります 彼はルターとは違って病気がちでやせており ルターは心配して妻帯させたそうです(長生きするようにと)
詳しくは こちら
Nr. 18 ワルトブルク城/Wartburg (1999)
ドイツでもっとも有名な城・城塞(Burg)が ワイマールにあるワルトブルク城です タンホイザーの舞台でもありました
ルートヴィヒ4世の妃としてハンガリーから輿入れした王女エリザベート(1207-1231)は 高貴な身分でありながら質素な生活を旨とし 病院を建設して貧しい人々や病人の救済に当たり 若くして亡くなりました
その行いをドイツの人々は深く尊敬し 彼女は1235年に 聖エリザベート/ Heilige Elisabeth(1190-1216)となりました
聖エリザベートのケメナテ(Kemenate)という婦人の部屋もあります(Kamin/暖炉の語源となった)
またこの城には ルターが聖書を書いた部屋もあります
1517年にM.ルターが「95カ条の論題」を書いた300年を記念して 1817年に学生の祭りが行われましたが 当時の大学生(Studente)の1割が参加したそうで その数は450人 つまり当時の大学生は4500人ってわけです!
ちなみに今年2017年はルターの宗教改革500年記念(Jubiläum)ですね!
詳しくは こちら
Nr. 34 ワイマールとデッサウのバウハウスと その関連遺産群/Bauhaus und seine Stätten in Weimar und Dessau(1996)
バウハウスとは 1919年にヴァイマルに設立された工芸・写真・デザイン等の美術と建築に関する総合的な教育を行った学校です
そのバウハウス(Bauhaus)を創立したW.グロピウス(Gropius)は左派であり 資金難に苦しみ のちにナチスから迫害され 1925年に ワイマールからデッサウに移転します
学校として存在し得たのはナチスにより1933年に閉校されるまでのわずか14年間であるが、その活動は現代美術に大きな影響を与えました
屋根にはガラスが張られ 太陽の光が入り明るいアトリエですね 柱がない また職員室はすべての先生の部屋から外(森)に出られるようになっています
詳しくは こちら
* * *
家でドイツのすべての世界遺産についてすっかり読んでおいたので とっさに何について話しているかわかり 自分の資料もチラチラ見ながら話を聞きました♪
さらに 帰り道に本屋さんで 3/18に出版されたばかりの世界遺産検定の3級テキストと問題集(最新版)を買って早速読んだら 先ほどのセミナーで取り上げられていた世界遺産が載っていました♡ かなり詳しく紹介してくれたので テキストの文の間からじわりと伝わるものがあり嬉しかった~
やっぱりただテキスト読むだけではなかなか定着しないので こうして写真と説明を聞きながら 辞書引き引き苦労して読むと 記憶に残りますね!!
ちなみに 1983年はルターの生誕500年の記念祭(Jubiläum)の年であり 東ドイツ政府では教会は敵であり保護されていなかったものの この時ばかりはルターハウスなども修復され始めたそうです
外国から人が来た時に荒れたままだと 貧しい国というイメージを持たれてしまうためとのこと
ドイツ初の世界遺産: アーヘン大聖堂/Aachener Dom (1978)は こちら
ドイツで2016年に認定された世界遺産: ヴァイセンホフ=ジードルングの住宅群
(ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-)
Das architektonische Werk Le Corbusiers – Zwei Häuser der Weißenhofsiedlung in Stuttgart(2016)は こちら ← 日本でも国立西洋美術館が認定されましたね♡
2017年に42番目に登録なった文化遺産は 「シュヴァーベン・ジュラにおける洞窟群と氷河時代の芸術(Caves and Ice Age Art in the Swabian Jura)」です!!
参考にしたサイト:
UNESCOの世界遺産リスト は こちら
これで地図を印刷して 説明してある世界遺産をひとつひとつ印をつけてゆきました
ドイツの世界遺産(Wikipedia)は こちら
「ドイツの世界遺産」は こちら
ひとつひとつの世界遺産について丁寧に写真と解説がついているので 上の世界遺産のドイツ語に日本語名を書いて 特徴をメモしてゆきました
ちなみに 上の記事のNr.はここにある番号です
旧東ドイツの世界遺産セミナーのお知らせは こちら
第2弾開催決定!! 2017年8月1日(火)午後です
詳しくは こちら
* * *
後半の留学セミナー「ドイツってどんな国?」は 若者向けのドイツの簡単な日本語での紹介とクイズでした♪
何歳からビールが飲めるか? クリスマスについて 大みそかやイースターについて 脱原発クイズ(!)←ドイツ人の4/3が脱原発に賛成とのこと ドイツの今の政治のこと(9月の総選挙が注目!!) スポーツ(サッカー) そして 最後はソーセージのことわざ(Sprichwörter) でした♡
Es geht um die Wurst! 一世一代の大事だ!
Das ist mir Wurst! 全くどうでもいい! (意味が真逆ですね~)
Die beleidigte Leberwurst spielen ちょっとしたことで機嫌を悪くする
Eine Extrawurst braten 特別扱いする
しかし若いドイツ人の方々はホント 日本語が上手な方が増えましたね~(*^^*)
留学セミナーのお知らせは こちら
ひさびさの日独協会のセミナー 本当に楽しめました ありがとうございました
追記: このあと 著者の鎌田タベアさんのサイン入りの「日本人が知りたい ドイツ人の当たり前」(三修社)というドイツ語リーディングの本を楽しく読ませていただきました♪ するとこの本の中に この「ドイツってどんな国?」で出たクイズの答えがいくつか見つかりました!(^^)! ← 先に読んどけばよかったかも?!
写真は Nr.18 ワルトブルク城
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