日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

『ドイツの家と町並み図鑑』(久保田由希・チカ・キーツマン著/㈱エクスナレッジ発行)を読みました

2024年09月20日 | ドイツ語・独検
『ドイツの家と町並み図鑑』(久保田由希・チカ・キーツマン著/㈱エクスナレッジ発行)を読みました

学生時代にドイツ語を学び始めた頃に テキストに写真のあった「木組みの家」をFachwerkhäuserというのだと知り その頃からドイツの家並みが大好きになりました🏡


本の紹介文より:

「普通の家」から見えてくる、新しいドイツの魅力

絵本から抜け出てきたような中世の木組みの家、茅葺き屋根の古民家、世界遺産にもなっているモダニズム建築の団地……。
まだまだ日本人には知られていないドイツ各地の個性豊かな建物を、独自の視点でたっぷり紹介。さまざまなスタイルの家がどうして生まれたか、その背景にある風土や歴史も合わせて読み解きます。

・装飾豊かなファサードが魅力の中世商人の家「ギーベルハウス」
・ブルーノ・タウト設計のカラフルでモダンな団地
・マンガやアニメにも登場する、中世都市を囲む「市壁」が今も残る町
……などなど、お城やバウハウスだけではない、驚くほど多様なドイツの家と町を発見できます。
ヨーロッパの風景をリアルに描きたい創作者のための資料としてもどうぞ。 

    *     *      *

あとがきには 「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」を著者のお2人が結成し 地元の給水塔の本を自費出版されたことがきっかけで ドイツ全国の身近な建築を幅広く取り上げた一般向けの本がこれまでなかったことから 専門家ではないものの建築好きな著者のお二人がこの本を作る運びとなったとのこと とてもわかりやすく美しい写真満載で 楽しく読ませていただきました📖 ← ドイツの給水塔は 観光資源としても使われていたことを 今回初めて知りました😲


第1章 ドイツの家の基礎知識  Basiswissen deutsche Wohnhäuser

木組みの家(Fachwerkhäuser)の組み方の紹介が興味深かったです 
私が若い頃に語学留学で滞在した ボッバルト(Boppard am Rhein)にもたくさんありました🏡

茅葺きの家(Reethäusr)は 2014年に無形文化遺産となりました

ギーベルハウス(Giebelhaus)は 中世都市の妻入りの家です 室内が暗いため のちに平入りに建替えられることもあったとのこと
 ギーベルハウス Giebelhaus 

アルトバウ(Altbau)は 「古い建築」という意味ですが 労働者のための大都市にできた集合建築で 建築様式は歴史主義とのこと  
ドイツ在住の友人の家もこんな感じでした 中庭があって…

レフォルム建築と田園都市(Reformarchitektur und Gartenstädte)は レーベンスレフォルム(生活改革運動)の広がりの中で 郊外に緑あふれる田園都市が作られてゆきました

モダニズムジードルンク(Siedlung der Moderne) 大戦後に生まれ 直線的でシンプルな建築です Siedlungは 集落、団地という意味です
ベルリンにはブルーノ・タウトの設計のものがあり 世界遺産にもなっています

スターリン建築(Stalinistische Architektur) 社会主義的要素を取り入れた新古典主義建築で 装飾が多く 砂糖菓子職人建築とも呼ばれたそうです 

東ドイツではプラッテンバウ(Plattenbau)という大量生産のプレハブ住宅も作られました (旧東ドイツでは 結婚するカップルには家🏡が与えられたそうです😲) 

クラインガルテン(Kleingarten)は 「小さな庭」の意味で 賃貸性の市民農園ですが 週末に自然に親しみ 自給自足にも役立ちました 


第2. 一軒家 (Häuser)

木組みの家(Fachwerkhäuser) 南ドイツ フロイデンベルク ツェレなど各地の木組みの家が紹介されています

環状村落(Rundlingsdörfer) ルントリンクという村落形態は 古くはスラブ人の集落にさかのぼるとのこと

ヴィークハウス(Wiekhäuser)は もともとは防御施設でした 
市壁(Stadtmauer)で囲まれた中世都市 市壁は街を囲む防御施設でした 

ロシア民家風ログハウス(Blockhäuser)  ポツダムにあるロシア人コロニー・アレクサンドロフカで 今は美術館となっています

ウムゲビンデハウス(Umgebindehausザクセン州にあるメルヘンチックな様式で 丸太と木組みでできています 

スレート葺きの家(Schieferhäuser) 「黒い鱗の家」はスレートでできています

中世の職人の家(Häuser im Schnoorviertel) ブレーメンの職人の家の「シュノーア地区」は13世紀からあったそうです 狭い街並みと切妻屋根の家々は観光スポットになっています
 中世の職人の家  (Häuser im Schnoorviertel)

茅葺き屋根の家(Reethäusr)は ワッデン海のズィルト島が有名で 昔は家畜と一緒に住んでおり 維持も大変でした ユネスコの無形文化遺産です 日本の飛騨高山の茅葺き屋根の家も世界遺産ですね

ギーベルハウス(Giebelhäuser)は ハンザ都市が有名ですね 色々な形のファサードが楽しめます

氷河で運ばれた石でできた家(Feldsteinhäuser) これは氷河によって運ばれてきた野石を積み上げてできた石で 「オーバーバーニム野石鉄道」という観光街道もあります

ユーゲントシュティール建築(Jugendstil-Architektur) これはダルムシュタットの「マチルダの丘が有名です

海岸保養地建築(Bäderarchitektur) これはリューゲン島のリゾート地が知られていますね


第3章  集合住宅 (Wohnungen)

ウルムにある 市壁上のテラスハウス(Grabenhäusle)は 堀の家という意味のテラスハウスです

ベルリンのアルトバウ(Altbau)は外壁に装飾が多い集合住宅です ほんとにベルリンの街を歩くとアルトバウの住宅がよく見られますよね
  アルトバウ Altbau

田園都市マルガレーテンヘーエ(Gartenstadt Margaretenhöhe) ルール地方にあり、クルップ社の3代目当主未亡人が作った市民と社員のための住宅です😲

ドイツ最古の田園都市ヘレラウ(Gartenstadt Hellerau) ドレスデンの市街地にある田園都市ですが ドレスデン郊外の友人宅に行った時にこんな感じの明るいテラスハウスの家々を見ました🏡

公務員住宅アム・シュラーゲン(Am Schragen) ポツダムにある おとぎの国のような公務員住宅の団地です

グロースジードルング・ブリッツ(Großsiedlung Blitz) こちらはベルリンにある馬蹄型の労働者用住宅ですね

ジードルング・ツェッぺリンシュトラーセ(Siedlung Zeppelinstraße) ベルリンにある20世紀の表現主義建築で 奇抜なデザインが目をひきます

ジードルング・パッデンプール(Siedlung Paddenpuhl)  ベルリン郊外にある おとぎの国のようなジードルンクです

ジードルング・ブルフフェルトシュトラーセ(Siedlung Burffeldstraße) フランクフルトにあるジグザグハウスと呼ばれるモダニズム・ジードルンクです ジグザクなのでよく日が当たります☀

ヴァイセンホーフジードルンク(Weissenhofsieldungシュトゥットガルト郊外にあり、ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエ、W.グロピウス等のモダニズムの建築家が展覧会のために作りました 

グロースジードルンク・ジーメンスシュタット(Großsiedlung Siemensstadt) ベルリンにある 健康的で衛生的な住居という住居コンセプトによって6人の建築家によって造られたジードルンクです

ニーベルンゲン・ジードルンク(Nibelungensiedlung)  環状の基地のような大規模ジードルンクで ロッジァの位置がまちまちとのこと

スターリン建築(Stalinistische Architektur)は 東ベルリンにある 社会主義の国の権威を示す建築です

プラッテンバウ(Plattenbau) スターリン主義建築の後に訪れた 東ベルリンの安くて速い集合住宅です


ドイツの街並みのそれぞれの様式と その成り立ち等がわかり 興味深い 写真満載の1冊です💕

『ドイツの家と町並み図鑑』の本は こちら



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