サルデーニャの儀式のパンのセミナー&初めてのラウネッダス演奏&タロスでビュッフェランチ (2016.10.2)@日本サルデーニャ協会
今日は 生まれて初めてサルデーニャのイベントに参加した 大変貴重な一日でした!!
イタリア商工会議所に行ったのも初めて 日本サルデーニャ協会(Associazione Isola Sardegna-Giappone)(4周年を迎えます)のイベントに参加したのも初めて サルデーニャの儀式のパン(pane rituale)を見て Prof. Battista Saiu氏から直接そのお話を聞くのも ラウネッダス(launeddas)という循環呼吸奏法(fiatto continuo)の演奏をSalvatore氏から聞くのも生まれて初めて そして会場では 以前レッスンを取ったサルデーニャ出身のGiovanni Piliarvu先生等と再会でき NHKに出演されていらっしゃるM先生とも初めてお話できてラッキーでした♪
何もかも初めてづくしで勇気がいったけど 知っている人がいなくても えいっ!と一人で申し込んで行ってみたら なつかしい方々と出会えて やっぱり行ってよかった~(^^)/
* * *
サルデーニャに古くから伝わる儀式のパン il pane ritualeは 死者の弔いの時 結婚の時 復活祭や色々な記念日などの時に手作りで作られます 教会に奉納されるものは売り物ではダメです 特に殺された者に捧げるパンには様々な厳しいきまりごとがあります 結婚の時に作られるパン(coccoiなど)には 豊穣と多産を祝う様々な動植物がモチーフとなり ハサミで切り込みを入れて とても複雑な形にひとつひとつ仕上げてゆきます
これは前日にせっせと予習してきた パーネ・カラザウ(pane carasau)、carta da musicaとも呼ばれる丸く平たい薄いパン) pane frattau (羊飼いが日中外に持ち歩いたパーネ・カラザウの残りをトマトソースに浸して卵を乗せたサルデーニャの伝統料理) Malloreddus(サルデーニャのニョッキ) civraxiu(外の仕事に持ってゆく日常的な 丸くて硬い皮のパン)のようなサルデーニャで普及したパンではなく 儀式の時の特別なパンでした
たとえば coccoi a pitzus (突起のあるコッコ-イ)という種類の白いパンです
日本と同じ島国であるサルデーニャのパンの種類は実に多く 並外れた美味しさです
島国というのは 外からものが入って来やすく 出てゆきづらいため 固有の文化が保存されています
最初に 死者のパン(pane dei morti) 丸く平たい形をしており 「存在しない」パンと言われています
殺された(amazzato)遺体の場合(もちろんとてもレアなケースですが) 遺体が家にある時に 生地に十字を切り その家の主婦(massaia)が祈りながら生地をこねますが その際に金属(metallo)は使わず 爪や貝殻やわらの木などで模様をつけます できた最初のパンは貧しい人たちに分け 三か月後 一年後などにも作ります
もし死者のパンを作り忘れた時は 死者が夢の中にあらわれて 作るように促すそうです (ミステリアス...死者が夢に現れて何かを伝えるというのは ナポリ出身の戯曲家Eduardo De Filippoの作品にもありましたね!)
また 特別なことは 死者(defunti)が 和解したい(fare pace)人の夢の中に現れた時に作るというもの 死は公けのもので 誰かが殺された時には町中のかまど(forno)に火がつけられ 小麦ひと握りをかまどに投げ入れるそうです
また 日没に 死者のパンを携えてずきんを被った人がドアをたたくと ドアを開けなければならないきまりがあり これはパンをもらった人たちの中に 死者が和解をしたい人が誰かいるのだということで 死者がちゃんと死者となるために(成仏するためにという意味?)必要なのだそうです なのでドアに鍵をかけてはいけないそうです
なんともミステリアスですね~
死者のパン(殺されたのではない場合)は 牛(bue)の形をした(下半分に2か所の切り込みのある)sas cornonciasというパンを作ります 下に向いた角(corno)の形のパンは 紀元前7000年のサルデーニャの墓に描かれているのだそうです また ひっくり返した蝋燭の火は もうひとつの世界(あの世)を表しています
* * *
さて次は 婚礼のパン(il pane nuziale)に移ります
Sos Cicirilliosは 夫婦の家に運ばれるパンで 第一子のおしゃぶり(ciuccio)になります 湿気にもよりますが保存がきくそうです
Sa Pippiaは半月の形 Sa Reulaは十字の形 Su Siddiは宝物という意味のパン Su Mandàtiuは 中心に小さな穴のあいた婚約のパンで すべて白く 質の良い小麦粉で作ります
また 動物や植物のモチーフがよく使われます しっぽが首を通るように作ります
たとえば ざくろ(melograno)は 種が多いので豊穣(abbondanza) 肥沃(fertirità)を意味し たくさんの子どもが生まれることを祈るために使われます
ヤシ(palma)は 人間が最初に植えた聖なる木であり 実りの保証をするものです
パンの形もさまざまで ハート 閉じた円 開いた円 半円 くつの形(くつは「所有する」という意味があるそうです)
魚 小鳥 亀 バラ 馬 子ども 牛などの形もあります 復活祭(Pasqua)のパンは卵が包まれた形のパンです
材料は 硬質小麦粉 水 パン種/酵母(lievito madre)と塩で 仕上げにはさみなどで細かな切り込みを入れて 装飾豊かにひとつひとつ手で作られてゆきます
また 若い未婚の男性が亡くなった時には 母親が亡くなった息子の地下での再生を祈るため小麦をまき 皿を割ります(他の人が使えなくなり「あなただけに捧げる」という意味合い)
Pane de siafidrは王冠の形の婚礼のパン(pane nuziale a Corone) 男は太陽の光(raggi) 女は葉の冠です
祝うのは幸福な娘(両親が元気な娘のこと)でないとならず 苦しんでいる人は人を祝う役目を担えないとのこと
特徴的なのは 儀式のパンを作るのは主に女の担う仕事で 男もパンは作りますが儀式には使われないとのこと
売るためのパンは教会に捧げることはできず 聖なる意味は失われるそうです
時間のかかる儀式のパン作りは 一生に一度の結婚のために 手作りで作られ またこの日展示された45個の儀式のパンも それを作ってくださったサルデーニャの方たちにお見せするために 全員でパンを囲んで記念写真を写しました サルデーニャの国旗も飾って記念写真!!
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そして儀式のパンのお話のあとで バグパイプの祖先でもある管楽器ラウネッダス(launeddas)の生演奏を 生まれて初めて聞きました!!
これは本当に楽しみでした 3本の管のうち短いものは高い音 長い2本の管は高い音が出ますが 頬に空気をためて3本の笛を 息継ぎなしで吹き続ける循環呼吸奏法(fiatto continuo)という特殊技術なのですが これは演奏者によると「小さい頃から何十年も習ってきた」技術なのです (バグパイプの袋に空気をためますが こちらは頬の中にためるわけですね) 演奏者とお話をして お互いに感激してしまいました!!!
演奏(一部)は こちら (音が出ます)
そして 商工会議所近くからバスに乗り 何回か言った渋谷のサルデーニャ料理のお店 Tharrosに場所を移して ビュッフェ形式の貸し切りランチ♡
これが実にすごくて 生ハムやサラミ サラダ ゼッポリーニ(Seppolini) Carloforteのtonno(マグロ)などに続き 運ばれてきたインパナーダスという大きなパイには agnello(子羊)とpiselli(グリーンピース)が詰められています
ここでもまた儀式のパンの説明を受けたり launeddasの演奏や解説を聞いているうちに すっかり雰囲気に溶け込みました(^^)/
サルデーニャの人たちはとてもゆったりとしていて 日頃都会でギスギス忙しく暮らしている私には驚くことばかり 反省...(/_;)
それにレディーファーストが実に徹底しているのにも感心しました♡
イタリア関連のイベントには もう何年もあちこち出続けていた私ですが さすがに「サルデーニャ」のイベントは初めて!! 一気にサルデーニャに近づくことができて 私にとってはものすごい大きな一日でした!!
2ヶ月かけてアジア各国を回られていらした講演者・演奏者の皆様 本当にありがとうございました 日本サルデーニャ協会4周年 おめでとうございます!!
イベントは こちら
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