記念公演:イタリア精神障害者当事者による演劇「マラー/サド」を見に行きスタンディング・オベーションに鳴りやまぬ拍手!!(2018.10.13)@イタリア文化会館
イタリアからものすごい劇団がやってきた!! 最後の歌では涙が止まらず困ってしまった
イタリアにいてもなかなか見られないものが見られるイタリア文化会館って すごすぎ!!
この場にいられたことを 心より感謝いたします...
前日には板橋区役所に「バザーリア法の結実」の展示を見に行きましたが 今日はなんと会場には ボローニャ市長代理 そして(私の地元の) 板橋区長も見にいらしてました!(^^)!
1階のエキシビション・ホールで開催されている「イタリア現代アートの日 ロバート・ボシシオ&ミケーラ・ペドロン二人展」を見ながらB2階のアニェッリホールへと...
* * *
平成30年度 世界精神保健デー 普及啓発事業
イタリア精神保健法(バザーリア法)制定40周年記念プログラム
記念公演:イタリア精神障害者当事者による演劇
「マラー/サド マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者によって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」
エミリア・ロマーニャ州立ボローニャ地域保健連合機構精神保健局の患者たちによる プロフェッショナルな劇団である非営利団体「アルテ・エ・サルーテ(Arte e Salute Onlus)が エミリア・ロマーニャ演劇財団と協同で制作した舞台作品
ペーター・ヴァイスによる戯曲は1964年に初演され 1967年にはピーター・ブルックにより映画化されています
ストーリー: フランスのシャラントン精神病院に収監されているマルキ・ド・サド侯爵が 患者たちを使い フランス革命指導者であり 後にシャルロット・コルデーにより浴槽で刺殺されるジャン=ポール・マラーのドラマを描くという設定の劇中劇
実際に精神障害や社会からの疎外を経験した俳優たちが 芸術的な感性と巧みな演技力で革命 そして人間としての自由を表現します
イタリア国内のみならず 中国やスペインでの海外公演でも高い評価を得ています
* * *
この劇の来日公演は バザーリア法制定40周年を記念して 東京ソテリアとのコラボレーションで 東京・愛知・浜松での公演を企画し実現したことが この日買ったパンフレット(募金を兼ねて)でわかりました
イタリア文化会館館長 ボローニャ市長代理 ボローニャ精神保健局局長 WHOの医官によるご挨拶のあと 社会でプロの俳優として活躍できることを知らせるべく ボローニャの劇団アルテ・エ・サルーテの 精神障がいや社会からの疎外を経験した俳優たちが演じます 今日もアニェッリホールは満席です
← ホワイエの展示
この「マラー/サド」はフランス革命の史実をもとにした劇で パンフレットによると 日本でいえば忠臣蔵のようなものだそうです
フランス革命の指導者のマラーは今や満身創痍ですが その彼を3度も訪ね とうとうナイフでとどめを刺すのがシャルロット・コルディという女性 とても美しい歌声でしたが その歌では ギロチンにかけられたあとの首はまだ生きていて...と生々しかった
日本語字幕が舞台上のスペースに映るのですが セリフや効果音やBGMが 寸分違わず揃っていて じつに完璧です ノックの音 ドアを開ける音もそろっていました
貴族の処刑のシーンでは 貴族がギロチンで処刑されるものすごい音を再現しつつ それよりも何倍もの民衆の血が流されたことを歌うのですね
そしてとうとうマラーが浴槽でコルディに刺殺された後に ラストシーンでは全員が歌うのですが それが心に直接響いてきて... なぜか知らず知らずのうちに 涙が出てきて止まらなくなってしまいました 何年も泣いたことってなかったと思うのに...
私たちは話せるし 歌えるし 期待することもできる 私たちは完全な自由(livertà)が欲しい!! それが私たちの革命だ! というような歌詞のリフレインですね 字幕を読みながら 歌を聞きながら 何度も何度もリフレインし 最後はスタンディングオベーションとなりすごかったです
今までこの公演の実現に向けて尽力されてきた方々 そして同じ立場の方々...まさに会場が狭く感じる程の ものすごい感動のエネルギーが ここアニェッリホールを包んだ瞬間を見ました
私自身も 長い間自分を縛っていた鎖(catena)がほどけた瞬間 よろいかぶとを脱いだ瞬間でした
* * *
そして その後の「会場との対話の時間」では (30分といえど通訳が入るのでとても短い) 東京ソテリア代表の野口氏の司会によりイヴォンヌ・ドネガーニ 前ボローニャ精神保健局局長(東京ソテリアと繋がりこの公演を立案した方) ナンニ・ガレッラ監督が舞台に上がり 会場の観客との対話が始まりました
まずは感動の言葉 そして ステージを囲んでいた檻が最後は開かれるのかと思ったが 最後までそのままだったことに違和感があった との問いかけがなされました
監督からはまず 観客がたいへん素晴らしい!とほめていただきました(#^.^#)
「他の人(の自由)を助けてこそ 初めて彼らは自由を見つけられる」 そして「彼らは (健常者とは)違うビジョンや異なる視点 予期せぬ考え方でもって 世界を見ることができる」との言葉に考えさせられました
「障がいはあるけど奴隷じゃない」「自由」それらの垂れ幕のかかった舞台に作られた 柵の向こう側とこちら側との境界を壊してゆくこと そして 実際に壊すと観客席に倒れて危ないかもしれない柵を壊すかわりに 最後の歌でもって柵を壊したとの監督の言葉
そして「弱い者の世界を変えようとした時の手段」としての政治(politica)もテーマのひとつであるとの言葉を ひとつひとつを噛み締めました
「仲間たちがいるから 障がいがあってもなんとか困らずに生きている」との出演者の言葉に 彼らのとても仲の良い助け合っている強い絆を感じて 思わず 健常者の方がいじめや差別があるのではないだろうか と感じたのです
切磋琢磨してゆくだけではない生き方 思う存分に動けなくてもなお こうして全力で新しい世界を開いて 生きていっているその姿に触れることができて本当に良かった
そのあとは出演者の皆さんが 着替えを済ませて舞台に再び上がり 感想を述べてくださいました
日本は初めて マラー/サドの舞台も初めて との感動 そして感謝の言葉 唯一の信じられない体験だとの言葉...
日本人はとても親切で色々助けてくれたし 何よりも夢が実現できたことが嬉しいとの言葉に続き とうとう最後は即興で イタリア大使に感謝の歌を ほんとに即興で皆さん歌ってくださいました!!
これを書いていても涙が出てきてしまいそうです... 忘れられない舞台をありがとう
マラー/サドは こちら
* 素晴らしい公演を開催してくださいました関係者の皆様に 心よりお礼申し上げます
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