8月になって、空は真っ青に晴れ上がり、ジリジリとした日差しがアスファルトを照らしていました。
やっと東京も夏らしくなってきた。
だけど、隅田川の花火も中止だし、江戸川の花火は延期です。
なんとなく悲しいですね。
東京都民は、バイキン扱いで(笑)どこにも行けません。
でもいいです。今日のテーマは美しい花火です。
花火というと、子供の頃に手に持った小さな線香花火を思い出します。
ちょうど夏休みの今頃だったかな。たんまり花火を買ってきて、みんなでワイワイ花火をしました。
みんな派手なドッカンドッカンという花火が好きだったけど、僕は意外に地味な線香花火が好きでした。
線香花火は、しっとりとして最高に美しい。
まず、火を付けると、静かに火薬の燃焼が始まる。
炎が小さい玉になり、生まれたてのこどものように、よちよちと上昇していく。
次第に、火花が飛び散り、危なっかしい少年のように音を立てて振動する。
しばらくすると、力強い生命が弾けるように、火花は松葉の形をして開いていく。
いよいよ花火は、青年期を迎える。
若い魂が、何かを求めて、バチバチと激しくエネルギーを放出している。
灼熱の暑い夏に、彼は激しい恋をしているのでしょう。
そして、だんだんと火の粉は小さくなり、穏やかな音を立て、小さく美しい円を描いて、落ち着いてくる。
まるで、激しさが消え、穏やかになった今の僕のようだ。
そこから数秒経つと、火花は飛ばなくなり、小さくなった火の玉だけが後に残される。
燃え尽きそうな魂のように。
そうです。花火の人生が、いよいよ終わりに近づいている。
なんとも切ない瞬間だ。しかし、最後に火の玉は妖艶な輝きを放っている。
消えそうになっている丸い火の玉が、おもむろにポタッと地面に落ちる。
そして、静かな暗闇がやってくる。
線香花火の中に、僕たちは人生を見ている。
儚くもあるが、美しい人生だ。
こんな感じで、最後まで輝き続けられるように、頑張って生きましょうね。