小林秀雄の言葉です。
「花の美しさというものはない。美しい花があるだけだ」と。
ちょっと分かったような分からないような禅問答みたいな言葉ですね。
僕はこういうことだと思います。
いま、目の前にある美しい花から、抽象的な「美しさ」だけを取り出そうとしても、それはできない。
美しさは、具体的ものと切り離せないからです。
美しさだけ、空を舞っていることはない。花があってはじめて「美しさ」が存在できます。
「イケメンの男性」と言ったとき、必ず誰か具体的な人物を思い浮かべるはずです。
「イケメン」だけ想像することは不可能ですよね。
つまりですね。
美しさを表現したいときは、具体的なものに着目しなさい、ということです。
もっと言うと、
何かを表現したいときは、抽象的な言葉ではなく、具体的に描写しなさいということです。
たとえば、
「好き」→「一人でいるとき、あなたの声が無性に聞きたくなる、そんな気分」
「つまらない」→「修学旅行のとき、みんなが先に寝てしまったときのような気持ち」
「赤」→「スペインのトマト祭りでトマトを投げあっているときのような燃えるような赤」
こんな感じですかね。
僕は抽象的な概念は好きなんですが、具体的なものについてはあんまり思い浮かばない方です。
いろいろ考え事ばかりしていて、地に足がついていないからかもしれません。
その点、周りの細かいことに敏感で、生活に密着している女性は、具体的にことに気づきやすい。
だから、文章についての細かい表現は女性の方がうまいですね。
ただ、抽象的なものが、必要ないかと言えばそうでもありません。
文章の構成や骨組みを考えるためには、抽象的な思考を必要とします。
細かいことをどんどん書いていける人は、細部にこだわり過ぎて、何が言いたいのか分からなくなりがちです。
だから、先に大まかな構成を決めてから、書き始めるといい。
僕みたいに、抽象的な話が好きなタイプは、抽象的な言葉ではなく、具体例をあげて文章を構成する。
タイプによって注意する点は異なります。
今日は、真面目に書いてみました。