こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

矛盾ではない

2010年09月20日 21時20分26秒 | Weblog
個々の生産者については、自分でお米を販売しているのであれば、自分で販売方法を考えなさいと言っていながらも、自分のプロジェクトであるSPRで作られたお米は、実は某問屋にお願いして、全国の米屋に対して販売をお願いしている。
これは、明らかに矛盾ではないかと思う人もいるだろう。

よく取材などを受けたときに、「自分がプロジェクトで生み出したブランド米を、一銭も貰わずに、平気で他の米屋での販売を認めてしまうなんて、あまりにも勿体ない」といわれることがあるが、これについては、プロジェクトを始める最初から、「お米が出来たときには他の米屋でも販売できるようにする」ことを考えられているからなのである。

なぜかというと、自分の店は小さくて、お客様の数も限られている。
また、自分の店にくる消費者は、本当にお米好きで、どんなお米であっても、必ず良さを見つけてくれる。
お米を販売している人たちから見れば、もっとも理想のお客様だろう。
しかし、ブランド化をしているときには、これが善し悪しとなってしまうのである。
つまり、悪い評価をしてもらえないのだ。

良いものは良い。悪いものは悪いと言ってもらわなければ、そのブランド米は、何処に利点があって、何処に欠点があるのか判らない。
また、育つ可能性があるのか、それとも無いのか等の判断も出来ない。
だから、SPRプロジェクトの内容については、ほとんど聞かされていないが、それでもこだわり米を販売してみたいと思っている他の米屋に、某米卸を通して販売してもらい、率直な反応を吸収して、そして分析して、それを産地に伝えて、ブランド化のための武器としてもらっているのだ。

データを取るためには、全国にまたがって販売している方が、より精度が良いデータが取れるし、地域性を超えて売れていくお米は、絶対に将来、ブランド米になる可能性をもっていることの、確かな証なのだ。
だから、SPRプロジェクト米は、ブランド化を初めた初年度から、全国的に販売されることが多いし、当然のことなのだ。

10年なんて、あっという間。
産地の1年は、消費地では3年にあたる。
産地が10年たったと思った時には、消費地では30年たっている。
つまり3倍のスピードで、消費地は動いているのだ。

だから1日たりとも、産地は時間を無駄にしてはいけない。
地域の衰退が早いか、元気を取り戻す方が早いか。

自分が口を酸っぱくしていったとしても、これのカギはね産地そのものが握っているのだから。
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直売しているということは同業者ということ

2010年09月20日 20時56分41秒 | Weblog
午前中に書いたブログを読んだ生産者から、「これからは、個人のお米は取り扱わないということですか」というメールが届いた。

自分が売りたいお米は、将来があるお米であって、今どんなに実力があったとしても、将来が見えないのなら、やはり売ったとしても意味が無いと考えていることから、基本的にはその通りで、一個人のお米の取り扱いは、今まで付き合っている生産者以外は、ほとんど無くなってしまう。

地域を助けたいというのなら、地域で頑張っている生産者を助けても同じではないかという考え方も、確かにあるのだが、1人だけを助けても、地域の将来が良くなっていくとは考えられない。

もしも、地域の将来をプラスに変えられるほどの生産者であるならば、自分が立ち上がって地域のために動けばよいのであって、わざわざ消費地にいる自分の協力を得なくても良いと思う。

それに、それほどの生産者であるのなら、当然、そうとう量のお米を、既に自分たちで販売していることだろう。
ということは、生産者という範囲ではなく、完全に米屋である。
その米屋が、米屋である自分に助けを求めるというのも、考えてみれば変な話である。
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生産者からの売り込みが始まった

2010年09月20日 11時27分50秒 | Weblog
メールで、販路を探している生産者から、「自分のお米を買ってもらえないだろうか」という、問い合わせが来るようになってきた。

毎年の事なので、とくに目新しいことではないのだが、メールを読むと気が重くなってしまうのが、正直いって辛い。

生産者・地域農協・全農(経済連)・普及センター・農試センター・市町村・県・米穀店とが一体となって、時代にあった新しいブランド化を目指していくことで、途切れてしまった農業の後継者を、もう一度育て上げていき、その結果、産地の活力を戻していこうと考えている独自のプロジェクトを持っていて、実際に数多くの地域をブランド化しているが、これは地域全体の将来がプラスになることが前提となっていて、つまり、生産者個人との付き合いではないということなのだ。

「地域の農協がだらしないから」「価格が安くて仕方ないから」「流通が見えないから」「こだわったお米だから」など、自分で販売するようになった理由は様々で、どれもこれも一概に否定することは出来ないのだが、だからこそ、「もうちょっと違う角度から見直してみれば」と言いたくなってしまう。

産地に講演に行ったときに、自分は必ず生産者に向かって「10年後に、この地域がどうなっているのかを考えろ。今よりも、さらに寂れているのか、それとも、若者が戻ってきていて、元気になっているのかを考えてみろ」といっている。

お米は1年に1回しかできない作物だから、10年たったとしても、新しく農業を始めた生産者は、たった10回しか勉強することが出来ない。
10回程度で、お米作りのプロになれないことぐらいは、お米を作っている人なら、誰でも判ること。
さらに温暖化の影響で、毎年同じものが作れないし、天候を読みながらの栽培で、全てが未経験の10年間だったはずである。
だったら、今自分たちが、どうすればよいのか、何をやるべきなのかは考えなくても判るだろう。

産地にとって必要なのは「後継者」。
それも産地を大切にしながらも、挑戦心と野心のある若いエネルギーなのだ。
そう、B級グルメで、必死になって地域を元気しようとしている若者たちと同じエネルギーなのだ。

つまり、お米の業界では、既に生産者が、個々で販売している時代ではなくなっていて、地域が一丸となって、一気にスピードを上げて、自分たちの地域を作り変えていかなければならない時代になっていると判ってほしいのだ。

だから、メールを読んでいて、生産者の真剣さは伝わってくるものの、全てお断りしてしまっている。

断るのは辛い。

でも、メールをくれた生産者でさえも、10年後は判らないのだ。
将来が見えないお米の、知名度を上げたとしても、意味は無い。

どうせ知名度を上げるのなら、将来の可能性がある地域のお米にしてあげたいと思う。
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