今年もニセコクラシック140㎞にHCF-S2で参加させていただきました。
★リザルト:4:54:06 総合285位 年代別50歳以上15位 HCF-S2 16位
毎日天気予報を確認する度に気分は落ち込みました。
今年のニセコクラシックは「暑くなる」予報が続いていたからです。
しかも、コンディションの調整不良で、2週間前から咳が止まらず、寝不足が続き身体が重い状態での参戦でしたから、DNFも覚悟しての出走でした。
暑くなるのはしょうがないし、天気は選手全員に平等ですから腹をくくってできるだけの暑さ対策を施して乗り切る覚悟で4:00に起床し、5:00にホテルを出て会場入りしました。
■暑さ対策 その1 水分補給
大きなボトル(700ml)2本に、電解質パウダー、電解質タブレット、塩を投入。
水は喉の渇きを感じる前に意識的に摂取し続ける。
2か所の補給所では必ず2本ボトルを受け取る。(1本はスポドリ、1本は水)
スタート前にOS-1を1本飲み干す。
■暑さ対策 その2 エネルギー補給
暑さで体力の消耗が大きくなるため、走ることに夢中になってエネルギー補給をおろそかにしないよう注意。
マルトデキストリン300g、塩6g、電解質パウダー2本、クエン酸少々を水で溶かしたジェルをジェルフラスク2本に分け入れ、走行中に少なくとも30分に1回一口ずつ水と一緒に摂取する。
念のため、スタート1時間前に薄皮アンパン2個とBCAAを投入。万が一のエネルギー不足にそなえてエネルギージェルを2パックとミネラルタブレット5個を背中ポケットに。スーパーバームを飲むつもりでしたが、忘れましたw
■暑さ対策 その3 ウエア
インナーにMILLETのドライナミックメッシュアンダーウエア(ノースリーブ)を着用。
アームカバーで腕を日焼け防止し、脚、顔、首の露出部には汗に強い日焼け止めをたっぷり塗布。
■暑さ対策 その4 かけ水
補給所で受け取った「水」を脚、首筋、頭に少しずつかけながら走行し、体温の上昇を防止する。
■暑さ対策 その5 日陰
ウエアの8割りの面積が「黒色」なので、可能であれば、できるだけ日陰部分を走行し、直射日光で温められないようにする。
■暑さ対策 その6 ダイエット
軽ければ、登りの多いコースだけに体にかかる負担も減るだろうという目論見ですが、見事にダイエット失敗。67㎏を目標にしていましたが、大会2週間前から風邪をこじらせてしまい、薬の影響なのかまったく絞れず69㎏オーバーとなり、ニセコクラシック過去3大会と比較してもっとも重い体重となりました。
ごく当たり前の普通の対策ですが、「かけ水」はもっとも効果があったと感じました。
水のオフィシャル供給ボトルは「黒」なので、「かけ水」というよりは「かけ湯」なってしまったのですが、走行中は風で気化するため涼しさを感じることができ、精神的に楽になりましたし、実際に脚は楽になりました。
今回は140㎞コースの参加者数は約500名で3グループに分かれて時間差スタートとなりました。自分は50歳以上ですので、UCI表彰の枠外ということでスタートも最後尾グループでした。
スタートから2~3㎞はパレード走行です。片側通行のはずなのですが、対向車線も使って道幅一杯に広がっていました。オフィシャルからのお咎めもなく、対向車が来たら本来の走行車線に右から自転車が押し寄せて大クラッシュになるのではないかとドキドキしながら少しずつポジションを前に上げてゆきました。
リアルスタートが切られると少しスピードアップがあり、花園への登りに入ったら一気に集団は縦に伸び始めました。前の集団に付いてゆこうとするのですが、脚が重く、これ以上ペースを上げたらゴールまで走り切れないと危機感を感じながらもできるだけ頑張って前が見える位置でニセコヒルクライムのコースに出ました。
このあたりで知り合いのレース経験豊富なH本さんを近くに見つけ、H本さんから遅れないように走ることにしました。
(結局、最後までH本さんと一緒に走ることになり、ちぎれそうなときにも声をかけてくださり、とてもお世話になりました。H本さんと一緒に走れたから完走できたのだと思っています。感謝です。)
ここからは少し登りが続きますので、選手達は完全にばらけてしまっており集団走行のメリットはほとんどありませんでしたが、やはり単独走行になるとメンタル的にも厳しいので少し無理をしてでもできるだけ前の選手から遅れないように走りました。
右折して下りが始まるとペダルを踏まなくても70km/hくらいは出ていましたが、走り慣れた道ですので恐怖感はありませんでした。
途中のコーナーで何人もの選手たちがコースアウトして救護車のお世話になっていましたがチームメンバーが落車していないことだけ確認しながら落車ポイントを通過して下り続けました。
自分が走っている位置は選手の密度も低く高速で走行していても選手同士の接触で落車するような状況ではありませんでした。
長い下りを終えて道道に出たところでH本さんを含む小集団と合流し、第一関門である老古美駐車場に向けてアップダウンをこなしました。
暑さもあって登りの途中で小集団から遅れそうになりながらも、少し平坦区間が出てくるたびに追いつく繰り返しで、なんとか小集団のまま老古美駐車場まで到達しました。苦しんだ割には、ほぼ予定通りの到着時間で少しがっくりしました。
【スタート~老古美駐車場:1:06 平均239.1W】
老古美駐車場からはいよいよ15㎞の登り区間、通称「パノラマライン」が始まります。
距離は長いのですが、勾配は緩めなので登りの苦手な自分でもそれほど苦しむ区間ではありませんが、日影がないので暑さで消耗してしまうリスクを重視して、H本さんから遅れないようにペース配分をして登り続けました。
それだけペースを抑えていたにもかかわらず、既に足攣りの兆候が見え始めていましたので、補給を忘れないようにこまめにボトルとジェルを口に運びました。
【老古美駐車場~神仙沼:44:37 平均220.9W】
神仙沼の関門は予定どおりの通過時間でクリアしました。
山の上の方に来ても、思っていたよりも気温は下がっておらず熱がこもり始めた身体を冷やすことはできませんでした。
ここから多少のアップダウンを経て40分弱のダウンヒルです。
左に見える九十九折りの景色の美しさに声を上げながらダウンヒル開始ですが、吉国からの平坦でのローテーションにそなえて脚を溜めておこうと、ほとんど踏まずに下りました。ここの下り区間は集団ではなかったので速度はそれほど上がりませんでしたが、他の選手と絡む心配もなく安心して自分のラインで下ることができました。
【神仙沼~吉国補給所:38:55 平均159.5W】
下り終わって右折してから補給所までは落車を避けるため追いついてきた集団から先行して安全にボトルを2本受け取りました。
2本のうち1本はスポーツドリンクを希望しましたが、この時点で既に「スポーツドリンク」は出尽くしており「水」を2本受け取りました。
ボトルを受け取ってからは周りの選手に「まとまって行こう!」と声をかけて後続が落ち着くのを待ちました。
この時点でまとまりの悪さと、速度の遅さに違和感を感じながらも、前にも後ろにも他に集団がなかったので、この集団で平坦をこなすことを決めました。
しかし、この集団のスピードがとにかく遅くて、自分がいつものチームのトレーニングのように先頭を牽いたら後ろが誰も付いてこれず「速すぎる!」と文句を言われる始末。
ちょっとした登りでペースを維持しようとしたら、誰も粘ろうとせずに簡単に中切れ・・・。
それならと緩めに先頭を牽いてから下がろうと脚を緩めても、自分を追い越してゆく選手がおらず、たまらず脚を止めても自分より前に2,3人は上がってゆきますが、自分が最後尾まで下がることができず、何度も途中で中切れした選手の間に入ることになりました。
ローテーションに慣れていないのか、スピードを上げようという気がないのか、そもそも先頭を牽く気がないのか、サイクリングペースのまま豊国に到着しました。
ゴールしてから冷静になって考えると、蘭越の平坦をサイクリングペースで走ったからこそ日の出までの登りに脚を残せたのかもしれず、いつものように速いペースでローテーションしていたら、登りでタレてしまっていたのかもしれません。
【吉国補給所~豊国:31:42 平均164W】
※レース中の平坦での出力が「164W」とはびっくりです。
豊国から日の出交点までの登りは2段になっていて、新見温泉分岐までの登りは厳しいのですが、新見温泉分岐を右折してからは比較的緩やかな勾配ですので脚が残っていればペースを上げられる区間です。
豊国から登り始めてすぐに、見覚えのある「朝練ジャージ」の選手(E本さん)を見つけました。
ふざけて「こらー!なんでこんなところにいるんだ!!」と声をかけましたが、本人は反応も薄く、脚が攣っているとのことでペースを上げられなかったようです。
そのうち、またしても見覚えのある「パンダジャージ」の選手(T島さん)が辛そうに登っていましたが、こちらも脚を攣ってしまい苦しそうでした。
さらに日の出交点の少し手前で見覚えのある「MUUR ZEROジャージ」の選手(M田)さんを見つけ、声をかけましたがやはり脚を攣ってしまったようでした。
いつも自分よりも早くて強い選手たちが終盤に苦しんでいるのは、暑さもあったと思いますが、なによりも本州の強豪達に正面から挑んだ結果であろうと、自分にはないチャレンジ精神に感心しました。
この区間では、太腿の内側が半攣り状態でした。
ちょっと力を入れたら完全に釣ってしまいそうだったので、ペースを崩さずに一定の出力をこころがけて攣らないように登りました。
【豊国~日の出交点:35:24 平均213W】
日の出交点からパノラマラインに戻って黄金温泉まで下り続けます。
ジャージのジッパーを上げて空気抵抗を減らした方が良いのでしょうが、暑いのでジッパーを7割ほど開けたままで背中を空気でパラシュートのように膨らませながら下り続けました。
【日の出交点~黄金温泉:10:50 98.4W】
最後の補給処で水を2本受け取り脚や首筋に水をかけながら日陰の無い坂を登りました。この坂は終盤の疲労している脚には厳しい(たぶん、6%~7%くらい)登りで、多くの選手たちが坂の途中でバイクを降りて立ち止まっています。
自分も途中で左脚全体が完全に攣ってしまい、脚を動かすこともできなくなりましたが、右足だけでなんとか動き続けているうちに、攣りが軽くなったのでごまかしながら登り続けました。
2016年のツールド北海道では、道の脇を流れる用水路からボトルに水を汲んで頭から何度も浴びて身体を冷やしました。
今回はボトルのかけ水でなんとか生きながらえながら16分弱でニセコ駅方面への右折ポイントにたどり着きました。
【黄金温泉~343号右折ポイント:15:54 206.5W】
ここまで登ってくれば、あとは長い登りはありません。
ニセコ駅まで下り基調の道をほとんどペダルを踏まずに重力に任せて下りましたが、前にH本さんが見える以外は後ろにもほとんど選手は見当たりませんでした。
【343右折ポイント~ニセコ駅:7:26 137.1W】
ニセコ駅からは短いけどもキツイ登りでさらに脚を削られます。
このあたりでゴール前最後の関門時間が気になり、H本さんと「クリアできそうですね」と確認し合いながら走りました。
【ニセコ駅~343交差点:10:51 198.6W】
ニセコ駅からの坂を登り切って比羅夫まで通じる道に出るとパークゴルフ場前関門クリアです。ニセコ駅付近で関門時間を確認したときは余裕でゴール関門に間に合うようなイメージで走っていましたが、そんなに余裕もなさそうになってきましたので、H本さんと協調してゴールを目指しました。
途中でH本さんのチームメイトに応援していただき、気持ちがほぐれました。
そのまま二人でゴンドラ坂に入り「キツイ!」と言いながらじりじりと登り、比羅夫坂への中継路へ左折して比羅夫坂に差し掛かろうというところでチームのI藤さんが応援してくださりターボがかかりました。
比羅夫坂のゴール少し前に50歳代のゼッケンが見えましたので、これをまくろうと懸命に回してなんとか先着しました。身体は疲れてへとへとでしたが気分的にはすっきりとゴールすることができました。
ゴール後はチップを取り外し、OS-1を2本もらって一気に飲み干して生き返りました。
ゴール地点では知り合いたちと完走を称え合い、完走の余韻に浸りながら駐車場に移動しました。
駐車場でバイクを降りたとたんに脚のいろんなところが攣りそうになり、しばらく動けずに車に寄りかかっていました。給水も栄養補給も十分にとったつもりでしたが、暑さで消耗してしまったのだと感じました。取り急ぎ、プロテインをシェイクして飲み干し、食欲は無いけどもバナナを口にねじ込み水で飲み干しました。
駐車場に戻ってくる選手達と互いに労い合い、完走した実感に浸っていましたが、バイクを車に積んだり後片付けをしてからウエアを脱いでびっくりしました。ウエアが濡れてべちゃべちゃの状態で、しぼったら水がしたたり落ちてくるくらいでした。かけ水の影響もあるとは思いますが、汗の量もそうとうなものだったのだろうと感じました。それでもレース後にトイレに行ったら普通におしっこが出ましたので、脱水状態ではなかったようです。
しばらく冷房の効いた車内で身体を休めてから、サービスのマッサージを受けて、リザルトを確認してから会場を後にして、ミルク工房でお土産を買って札幌に戻りました。
レース前、レース中、レース直後の補給は以下のとおりです。
・レース前
・OS-1 1本
・レース中
・ドリンク 6本(約700ml×6=4.2L)
・補給食 自作ジェル(1,200kcal)
・レース直後
・OS-1 2本
・プロテイン 1食分(MYPROTEIN イチゴミルク味)
・バナナ 1本
・ミルク工房の飲むヨーグルト(500ml)
・セブンイレブンのアイスコーヒー
・モンスターエナジー カオス
レースから帰宅してしょっぱいものが食べたくて、銀波露で塩ラーメンを食べ、アイスを食べ、ホテルで朝食用に作ってくれたサンドイッチを食べ、オレンジジュースや炭酸水など水分をたくさん飲んでスナック菓子も食べて、翌朝の体重はレース前の体重マイナス1kgでした。
脂肪が減ったとは考えにくいので、汗と呼吸で失った水分は相当な量だったのでしょう。ドリンクを補給してくれた大会スタッフの皆さんに感謝です。
過酷な環境の下、2週間前から咳が止まらず十分に眠れなかった悪いコンディションでも無事に事故なく、身体にも不調なくレースを終えられたことに感謝しています。