『天女之舞』はツレ天女専用の舞なので、五段構成ではなく必ず三段で演奏されます。テンポがよい舞なので10分も掛からない「天女之舞」ですが、笛の唱歌を覚えて、その譜を実際に聞きながら舞うのは小学生にとっては ちょっと難しいかも。。今回 チビぬえは「狩野川薪能」で『嵐山』の後ツレ(子方)の一人・子守明神を勤めて、この役も「天女之舞」を舞うので、春から稽古は始めていました。
しかし稽古当初から問題はありまして、笛の譜を聞きながら舞う舞は型と笛の譜だけを覚えただけでは舞えないのです。吹く笛の譜は同じでも笛方によってその音色には個性があります。これが、初めて笛を聞きながら舞う者にとっては混乱を招くのです。
稽古では以前の公演のときに記録用に録音しておいたストックから選び出して、これを再生しながら稽古するようにしていますのですが、何度も舞を舞っている能楽師から見ると、同じ流儀の笛方の演奏ならば、どなたの録音でも譜は一緒だから、演奏のテンポなどを考慮して音源を選ぶようにします。ところが初めて譜を聞きながら稽古を受ける者にとっては、じつは笛を吹く演者の「個性」によって、同じ譜でもまったく違うものに聞こえてしまうのです。つまり、ある演者の演奏の録音ばかりを使って譜に慣れさせても、本番の公演で吹く方の演奏を聞くと、その譜がまったく耳に入ってこない、という事があるのです。
そこで、今回は薪能の『嵐山』と、能楽堂での『氷室』について、それぞれ本役の笛方にお願いして、本人が吹いている「天女之舞」の録音を送って頂きました。この録音に ぬえが謡う笛の唱歌を重ねた録音を新しく作り、まずこの音源を覚え込ませます。笛のメロディと、唱歌を同時に覚えさせるわけですね。ほどなく譜は覚えたようだったので、ようやく笛の演奏だけが入った録音を渡して、これで再度 笛のメロディを覚えさせます。こうすれば、笛の演奏を聞いただけで、唱歌が自然に頭の中に浮かんでくるようになるのです。
「狩野川薪能」の『嵐山』で チビぬえとともにもう一人の後ツレ(子方)を勤めた 伊豆の国市の小学生の綸子ちゃんにも同じ方法で「天女之舞」を覚えさせたのですが、チビぬえの場合は薪能の3週間後に東京で『氷室』の天女を勤めなければならないので、事情はちょっと違っていました。今回の『嵐山』と『氷室』は偶然にも出演する笛方のお流儀が同じでしたので、笛の譜こそ1種類を覚えさせればよいのですが、問題はこの笛の演者による「個性」。
このため、今回は笛の譜がだいたい チビぬえの頭に入ったところで、わざと同じ流儀のいろいろな演者の「天女之舞」の演奏の音源を使って稽古しました。同じ「天女之舞」であっても、演者の個性によって受ける印象が違ってきたり、曲や状況、演者によって微妙に演奏速度なども異なってきます。こうして いろいろな音源で稽古することで、「天女之舞」を大きく捉えさせることができるのです。
そのうえ今回は、『嵐山』が薪能での上演だったので「天女之舞」を少し短く詰めて上演しました。これに対して来週上演の『氷室』はフルバージョンでの上演になりますので、チビぬえはその二つの舞い方の違いを混同する可能性もあって、稽古ではこれにも神経をつかいましたですね~。最初は短くした『嵐山』の「天女之舞」の稽古から始めて、しばらくしたらそれと平行して『氷室』の「天女之舞」の稽古もはじめます。またこれが。。『嵐山』と『氷室』の「天女之舞」では掛かりとトメの型が微妙に違うんですよね。この違いもキチンと区別がつくようにして、それで薪能が近づいてきたら『嵐山』ばかりを稽古する。薪能が終わったら頭を切り換えさせて『氷室』の稽古一辺倒。
こうして、なんとか「天女之舞」は覚えられたようです。
しかし稽古当初から問題はありまして、笛の譜を聞きながら舞う舞は型と笛の譜だけを覚えただけでは舞えないのです。吹く笛の譜は同じでも笛方によってその音色には個性があります。これが、初めて笛を聞きながら舞う者にとっては混乱を招くのです。
稽古では以前の公演のときに記録用に録音しておいたストックから選び出して、これを再生しながら稽古するようにしていますのですが、何度も舞を舞っている能楽師から見ると、同じ流儀の笛方の演奏ならば、どなたの録音でも譜は一緒だから、演奏のテンポなどを考慮して音源を選ぶようにします。ところが初めて譜を聞きながら稽古を受ける者にとっては、じつは笛を吹く演者の「個性」によって、同じ譜でもまったく違うものに聞こえてしまうのです。つまり、ある演者の演奏の録音ばかりを使って譜に慣れさせても、本番の公演で吹く方の演奏を聞くと、その譜がまったく耳に入ってこない、という事があるのです。
そこで、今回は薪能の『嵐山』と、能楽堂での『氷室』について、それぞれ本役の笛方にお願いして、本人が吹いている「天女之舞」の録音を送って頂きました。この録音に ぬえが謡う笛の唱歌を重ねた録音を新しく作り、まずこの音源を覚え込ませます。笛のメロディと、唱歌を同時に覚えさせるわけですね。ほどなく譜は覚えたようだったので、ようやく笛の演奏だけが入った録音を渡して、これで再度 笛のメロディを覚えさせます。こうすれば、笛の演奏を聞いただけで、唱歌が自然に頭の中に浮かんでくるようになるのです。
「狩野川薪能」の『嵐山』で チビぬえとともにもう一人の後ツレ(子方)を勤めた 伊豆の国市の小学生の綸子ちゃんにも同じ方法で「天女之舞」を覚えさせたのですが、チビぬえの場合は薪能の3週間後に東京で『氷室』の天女を勤めなければならないので、事情はちょっと違っていました。今回の『嵐山』と『氷室』は偶然にも出演する笛方のお流儀が同じでしたので、笛の譜こそ1種類を覚えさせればよいのですが、問題はこの笛の演者による「個性」。
このため、今回は笛の譜がだいたい チビぬえの頭に入ったところで、わざと同じ流儀のいろいろな演者の「天女之舞」の演奏の音源を使って稽古しました。同じ「天女之舞」であっても、演者の個性によって受ける印象が違ってきたり、曲や状況、演者によって微妙に演奏速度なども異なってきます。こうして いろいろな音源で稽古することで、「天女之舞」を大きく捉えさせることができるのです。
そのうえ今回は、『嵐山』が薪能での上演だったので「天女之舞」を少し短く詰めて上演しました。これに対して来週上演の『氷室』はフルバージョンでの上演になりますので、チビぬえはその二つの舞い方の違いを混同する可能性もあって、稽古ではこれにも神経をつかいましたですね~。最初は短くした『嵐山』の「天女之舞」の稽古から始めて、しばらくしたらそれと平行して『氷室』の「天女之舞」の稽古もはじめます。またこれが。。『嵐山』と『氷室』の「天女之舞」では掛かりとトメの型が微妙に違うんですよね。この違いもキチンと区別がつくようにして、それで薪能が近づいてきたら『嵐山』ばかりを稽古する。薪能が終わったら頭を切り換えさせて『氷室』の稽古一辺倒。
こうして、なんとか「天女之舞」は覚えられたようです。