ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆でお花見~(*^。^*)

2010-04-10 01:03:21 | 能楽

ようやくお休みがとれました~。なんともいろんな事があったこの1ヶ月でした。

まずは車を買い換えたことですかね~。長年親しんだ車でしたが、ようやく限界を感じて買い換えを決断したのでした。「限界を感じて」というのが買い換えの理由とは、我ながらかなり物もちはよい方だと思いますが…(^◇^;) ところが周囲の能楽師に聞いてみると、おお~っ、ぬえより物もちの良い人があちらにも、こちらにも… いや、これには ぬえも意外でした。能楽師ってケチ…もとい、堅実な方が多いんですね~ もう、泣きそう。(;^_^A…

さてこの話題もすでに先週のことになってしまうのですが、伊豆にお花見に行って参りました~。あ、いや、お稽古に出かけたついでではありましたのですが、さすが温泉地で、毎年このお花見の季節には芸妓さんが舞を見せるステージまで組まれます。そこで ぬえも急遽、飛び入り参加させて頂きました~。

それにしても…山に桜が咲いている有様に、それを見慣れぬ ぬえは驚嘆させられました。



デジカメ画像ではあの美しさは表現できないですが…

それにしても、そもそも東京では桜というものは平地に規則正しく並んでいる、もしくは大きな公園の一角に「さくら広場」かなんかと名前をつけて押し込められて咲いているものでしょう(←極論)。ですから東京で ぬえが好きな桜の光景は、車で走り抜ける桜並木のトンネルや、駅に向かう道の間じゅう、ずっと桜吹雪の中を自転車で走ることだったりします。いや、桜も植物であれば山にたくさん生えている木々の中に桜が混じっていても不思議ではないですが、なんせ見慣れぬ光景でした。ぬえって「田舎」を持っていない人なのよねえ…(・_・、)

あれ…? この画像だけはどこかで見た記憶があるような…



しばし考えて、ようやく思い出しました。これは師家にあってよく舞台でも使われる「吉野竜田図」の鬘扇だ。春の吉野山を表面に、秋の紅葉の竜田山を裏面に描いた、なんというか季節に節操のない「お徳用」の扇でもあるわけですが、両面ともに淡い彩色で、かたや青い空に薄く白い山々、もう片面は紅葉に燃える山脈を、どちらも遠山の風情に描いた、とっても品の良い扇なのです。吉野山には及ばないまでも、青い空に桜の砂糖菓子をあちこちにちりばめたようなこの伊豆の風景は、そんな長閑で満ち足りた幸福感を ぬえに与えますね~。

さてお花見では前述のように地元の芸妓さんのステージや「よさこい」…最近これはどこででも見るなあ。それと伊豆太鼓と呼ばれる郷土芸能などが披露されました。へへ、ってんで、ぬえも急遽 仕舞で参戦することに~。

ををっ、ぬえの応援団の黄色い歓声まで投げかけられるではないかっ。応援団…と言っても地元の小学生たちなんですけどね~ (^_^;)v

ま、こういう訳ですから、ぬえは地元にも関係の深い曲『鵺』を仕舞に選びました。こういうことが契機になって能に興味を持ってくださる方が増えてくるのを期待もしたいし、また郷土愛をはぐくんだり、郷土の歴史に思いを持って頂ければありがたいですね。