ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

秦野市のお蕎麦屋さんで結婚式のお手伝い

2010-12-11 01:51:44 | 能楽
先週の日曜日、学校公演が終わって1ヶ月ぶりの休みをはさんで、神奈川県の秦野市で結婚式に出演してまいりました。

挙式コーディネーターは例によって八千代ウェディングさん。ところがなんと今回の挙式会場は「お蕎麦屋さん」なのだそうです。(O.O;) こりゃまたどうしてそういう場所で…

行ってみました。ところが、これがまたすごい古民家を改装してお蕎麦屋さんにした店でして、その佇まいは見事と言うほかない。



そうして、このお蕎麦屋さんの若きご主人が、今回の新郎さんだったのです。新郎さんは手打ち蕎麦の職人さんで、鎌倉の方で修行を積まれた後に当地で開業された方だそうです。こだわりを持って独力で夢を拓いて来られた方なのですね。それならば職人さんの聖域たるお店での結婚式は、絵に描いたような、祝言挙式のあるべき姿でしょう。例によって ぬえは三三九度の場面で謡を謡ったり、祝言舞として仕舞を舞うことでこの挙式のお手伝いをさせて頂きました。



この古民家は新郎さんのおじいさんのご実家で、昔はここを母屋として、道に面した表で駄菓子屋を営まれておられたそうです。こんな母屋があるなんて、なんて贅沢な駄菓子屋さんでしょう。伺えば両隣りのおうちもそれぞれ個性的で、造り酒屋さんと、和傘の職人さんのお家なのだそう。和傘は家の向かいにある竹林から竹を伐ってきて作るのだそうで、タイトル画像は興味をもった ぬえが踏み行った竹林の様子です。

さて結婚式もお開きとなって、会場は新しいご夫婦の家でもあるわけですから、手分けしてみんなで掃除を致しました。そうしたら、せっかくですから、と新郎さんのご好意で、お蕎麦や、それだけではない いろいろな料理を振る舞って頂きました。いやこれが! おいしいのなんの。

そういえば今日のご披露宴のお食事は折り詰めのお弁当で、なんだか不思議に思っていたのですが、なんと! そのお弁当はすべて新郎さんの手作りだったのだそうで(!)。う~ん、お蕎麦屋さんにしておくのは勿体ないような… (;^_^A

ぬえたちが頂いたお料理も、見た目では想像できないような、ちょっと意表を突いたようなお味のものも多く…ものによっては新郎さんに「これ、なんですか?」と聞いても「あ、それは小麦粉と味噌と…」という具合で、材料の名前は言えても料理そのものの名前はないようなものもありました。まさに創作料理ですね。このお料理も結局名前は分からずじまいでしたが「…と、シナモンです」ですって。シナモン…(^_^;)

とにかく おいしいものをたくさん頂いて、予想外のシアワセでした。秦野に行かれるおついでがありましたら、ぜひお立ち寄りになることをお勧め致します。

…とはいえ、このお店は「お蕎麦屋さん」ですのでお間違いなきよう… 上記のほとんどのお料理はメニューにはありませぬ。でもまたお蕎麦がおいしいですから、やはりお出かけされては如何でしょうか~ (^^)V

手打そば くりはら