ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

「鵺ばらい祭」

2011-02-01 01:04:13 | 能楽
前回ご紹介した、「鵺ばらい祭」の冒頭に行われた弓道の試射ですが、なんでも的となった「ぬえ」の絵を ちぎって持ち帰ると厄よけになるらしい。ん~、どこに根拠が… そういえば会場では「鵺のお札」というものも売っていました。こちらも魔除けですが、聞いてみると ちゃんとご祈祷をして頂いたものなのだそうです。ははあ、それが根拠なんですね。やっと納得致しました。でも ぬえ、的も持ち帰らなかったしお札も買わなかったけど…(^_^;

さて弓道の試射のあと、ハイライトの「鵺おどり」が披露されます。「鵺ばらい祭」そのものも、なんと今年で46年目を数えるほど歴史の長いイベントです。この「鵺おどり」もかつては大人が勤めていたそうですが、10年以上前から中学生が勤めることになったそうです。

をを~っ、これが 鵺かあ。開演前になにやら打合せ中~



始まりました! まずは松明を持った村人が登場、遠くに化け物の姿を認めて(頼政に報告のために?)急いで退場します。



ん~、ぬえとしては どうしても装束に目が行くねえ。これ、かなりキチンとした水干…それも麻のようです。こんな良い装束がどこから…? あとで関係者から聞いた正解は、舞台衣装店からのレンタルなのだそうです。なるほどね~。しかし、それはある意味、自前で装束を持つよりも高額につくかも…長い伝統があるイベントだからこそ、そういう補助金などのバックアップ体制が出来上がっているのでしょうね~。子ども能も段々と協力者が増えていくといいなあ。

おっと! ついに鵺が登場です。たくさんいるのね~。なんでも大鵺1匹、中鵺2匹、小鵺4匹がいるらしい。(^◇^;)



なんだか楽しそうです。をっ、これが大鵺か~。これは中学生が二人で扮しているのですが、なかなか息の合った演技でした。



ここで頼政と猪早太ほかの郎党が登場。鵺と闘います。郎党はかなりシッカリした甲冑姿、頼政は狩衣に指貫のような袴です。どうしても装束に目が行きます。あ、頼政くん~、戦うのにタスキぐらいしないで大丈夫~?



ぬえの余計なおせっかいをよそに、鵺たちは退治されてしまいました。だって鵺ったら武器になるような牙も爪もなくて、徒手空拳で太刀に向かっていくんですもの。(×_×;) けなげ…。



でも、やはり伊豆では鵺は悪者では終わらないのでした。去年、「長岡商工会まつり」というイベントで見た「鵺」の紙芝居でも、やはり 鵺は良い人(?)に描かれていましたっけ。今日は巫女さん(?)が二人登場して鵺にお祓いをすると鵺は再生して…


こうして和気藹々と「鵺おどり」は終わりました。上演時間は約15分。子ども能の平均上演時間と同じですね。がんばりました、中学生! 子ども能でもこういう楽しそうなのをやってみようか!