ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

子ども創作能~おおひと梅まつりで上演しました!(その1)

2011-02-13 23:58:48 | 能楽
こちらでは上演のご案内もとうとうし損なってしまいましたが、昨日伊豆で「子ども創作能」の上演が行われました。上演したのは「おおひと梅まつり」という、梅林を持つ神社のでの曲目は新作の創作舞台『伊豆の頼朝』! まずは子どもたちの勇姿をご覧あれ~!



画像は「道の駅・伊豆のへそブログ」より拝借させて頂きました~ m(__)m

『伊豆の頼朝』は ぬえと仲間の能楽師との共同作業で台本を作り上げた新作ですが、これで上演も3年目。そもそも子ども創作能は今年で12年目を迎える、いや~、実際、そんなにやってきたかなあ? と自分でも思いますが、それほど息の長い催しです。この『伊豆の頼朝』の前にも『城山の大蛇』『江間の小四郎』という作品を作って上演してきましたが、いずれも地元の民話や歴史的事件を題材にして作り上げた、能形式の新作の創作舞台で、この『伊豆の頼朝』も、平治の乱のあと伊豆の蛭が小島…それこそ当地なのですが、ここに流刑になった源頼朝が平家討伐のために挙兵した事件を舞台化した作品です。こうした題材の台本を、これまた地元の小学生ばかりで上演する、というのが子ども創作能の特徴なんですね~。

子ども創作能は、かつては薪能の前座のような形で上演していたのですが、去年から地元の神社のお祭りなどで上演するようになりました。仮設とはいえそれまでは薪能の本式の能舞台で上演してきたものが神社の神楽殿で上演することになったのは能楽師として少し残念にも思っていたのですが、実際に去年の11月に神社の秋祭りで上演してみて、その考えは一変しました。

なんせ、それまでの子ども能は有料の催しである薪能の中でしか上演されなかったので、それはつまり、市民であってもお金を払わなければ子ども創作能は見ることができなかったのです。ところが神社の祭礼での上演では、入場無料であるばかりか、能に興味のないお客さまの前で上演することで、市民に身近な子ども創作能になることができたと思います。

実際のところ、去年の夏にプレ公演のような上演をしてみたのですが(これも地区の「敬老会」なんて催しの中での上演でした)、お客さまの中からは「この子たちは…ずいぶん稽古を積んでいるようだな」なんて声が聞こえたそうですが、なんと今回も、上演の翌日にまだお祭りが続いている会場に行ってみたら…その日のお客さまの中で「今日は子ども創作能ってのはやらないのかな? 昨日見たけどあれは良かったなあ」とおっしゃっていた方があったそうです(!)

…こういう情報は、子ども創作能に出演している子どもたちのママたちから ぬえにすぐ連絡が入ります。(^◇^;) 子どもたちの保護者のみなさんとも ぬえは仲良くおつきあいさせて頂いておりますからね~

…というわけで今回は前置きばかりになってしまいましたが、本題の催しそのものについて、まずご報告させて頂きたいのは、今回の子どもたちの出来の素晴らしかったこと! 11月の秋祭りでの上演で、それまで11年指導を続けてきた ぬえにとっても過去最高の出来ばえなのではないか? と思わせたほどの充実度だったのですが、今回は明らかにそれを上回りました。これは…どういう事だろう?? 今回の上演にはいろいろと不利な条件も重なって、その中には事前にわかっていた問題もあったので、まあ、正直に言えば ぬえにとっては11月を「本公演」と捉えて、今回は「再演」という以上のものではなかったですし、なんと言うか、4月に子どもたちが新学年を迎えたところで子ども創作能も配役の世代交代をするつもりだったので、「卒業記念公演」程度にさえ考えていました。ところが…