夏の初めから何回か蝉の姿を撮ろうとカメラを構えたがそのたび逃げられていた。爽やかな風に乗ってきたのか網戸に止まった。掃除の手をとめカメラをかまえる。
ちょっと遠くから、もう少し近くと3回シャッターを押したが逃げない。心配になって顔を近づけても動かない。でも生きている。吹く風は陽射しに似合わない秋の風、しばし行く季節を網戸の蝉と共有する。空はあくまでも高く澄んでいる月曜の午前中、これからは家の周りはススキが揺れ、夜は虫の声も賑やかに、窓からもれる灯かりが家路を急がせる、そんな季節の足音がすぐそこまで来ているように感じられる。日暮れも早くなった。

ちょっと遠くから、もう少し近くと3回シャッターを押したが逃げない。心配になって顔を近づけても動かない。でも生きている。吹く風は陽射しに似合わない秋の風、しばし行く季節を網戸の蝉と共有する。空はあくまでも高く澄んでいる月曜の午前中、これからは家の周りはススキが揺れ、夜は虫の声も賑やかに、窓からもれる灯かりが家路を急がせる、そんな季節の足音がすぐそこまで来ているように感じられる。日暮れも早くなった。


