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<経産大臣指定伝統的工芸品> 京都 京表具

2021-06-21 09:21:33 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「京表具」

 Description / 特徴・産地 

 京表具とは?
 京表具(きょうひょうぐ)は、京都府内で作られている表具です。鑑賞や保存を目的として書・絵画などを紙や布で補強し、装飾を施して仕立てる伝統技術を「表具(ひょうぐ)」または「表装(ひょうそう)」と呼びます。
 京表具には、代表的な掛軸(かけじく)のほかにも額装(がくそう)・屏風(びょうぶ)・巻物(まきもの)・襖(ふすま)・衝立(ついたて)などがあります。掛軸や額装は和室の装飾に使われ、屏風や襖、衝立は部屋の仕切りや目隠し用などに使われることが一般的です。
 京表具の特徴は、京都の長い歴史の中で成熟してきた上品な趣です。都として栄えた京都には、宮中をはじめ茶道の各家元や寺社など表具の需要が多く、上質な材料を調達できる環境にも恵まれていました。また、美意識の高い多くの文化人たちの目に育まれて、その芸術性が洗練されたといわれています。
 機能性にも優れており、掛軸などは巻いて保存ができるため、場所を取ることもなく持ち歩きにも便利です。襖や屏風は鑑賞のみならず、防風や防寒のために利用できるため実用性にも長けています。

 History / 歴史
 京表具(きょうひょうぐ)の歴史は古く、始まりは平安時代といわれています。中国から仏教の伝来とともに伝わったため、当時は経文を書いた巻物である経巻(きょうかん)に施されました。また、仏教の普及にともない、仏画像を礼拝するために始められたものが掛軸(かけじく)などの原形とされています。
 表具(ひょうぐ)は表装(ひょうそう)とも呼ばれ、政治や文化の中心であり宗教も盛んであった京都の歴史とともに発展してきました。高湿度で寒暖の差が激しく風が少ない京都の風土が、京表具の製作に適していたこともその発展を促進したといわれています。
 床の間ができて絵画が普及したことにより、書画に合わせて表装が施されるようになりました。室町時代から江戸時代にかけては茶道が盛んになり、特有の品格が備わった表具が生み出されます。
 その後、洗練された趣をもつ高級表具としてその名が知られるようになり、1997年(平成9年)には「伝統的工芸品」に指定されました。現在も実用品、美術工芸品、そして古美術の修復分野に至るまで、腕利きの職人が伝統的で優れた技を発揮しています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyohyogu/ より

 洗練された美意識で作品の魅力を引き立たせる
 本紙(作品)の持ち味を引き出し、しかも表具が目立ちすぎず…。高度な技術と繊細な美意識を特徴とする京表具は、日本一の洗練された表具と言われる。そこには、京都ならではの文化や歴史的変遷が深くかかわっている。

 
 日常生活の中に溶けこみ発展した京表具
 表具は仏教とともに中国から伝来し、経巻(きょうかん)を仕立てることから始まった。やがて仏画像を礼拝用に製作するようになり、これが現在の表装(掛軸・軸装)の基となる。中世平安時代以降の書院造りによって床の間が生まれ、室町末期から桃山・江戸時代にかけて茶道が興隆し、絵画が普及すると、それぞれ生活様式や書画・美術品の形状や内容にあわせた表装が施されるようになる。日本一洗練された表装と言われる京表具は、永く政治や文化の中心であった京都の、この歴史的変遷によって生み出されてきた。「茶人や文人・画家との間で、繰り返しその仕様について論じられ鍛えられた。そうして、独特の上品さが培われてきたんだと思います」そう語るのは、現在、京表具協同組合連合会の理事長を務める山本之夫さん。

 技術とセンス、そして審美的感性が織りなす総合美術
 表具師は、本紙といわれる「書」や「絵画」の美術品を介し、それぞれの時代の文化人や雅人と共に生きてきた。それ故、表具師には、彼ら雅人の厳しい審美眼を納得させるだけの、茶道や華道の専門的な知識が要求された。「本紙の意味を理解し、その意図や背景を汲んだ取り合わせで表装を完成させていく。そういう繊細な技術とセンス、そして審美的感性が要求されてきたんです」と山本さん。表具師の家に生まれ、自らもこの道50年の職人として生きてきた。「目立ちすぎず、しかも長く見ていて飽きのこないもの」。それがいつの間にか心の中に浸み込んだ。「“いいな”と思うものは、その対象を問わずこの一点に集約されます」。

 どんなものでも、本紙に向かう気持ちは同じ
 表具師にとって、お預かりしたそれぞれの家の宝(本紙)に向き合う気持ちは、その書画自体の評価にかかわらず、同じだと言う。どんなものでも、本紙を表具屋に預ける人の気持ちは一緒だと。京表具は、本紙の背景にある世界を汲み本紙の魅力を最大限に引き出すこと。その心は脈々と現在の表具師の心に受継がれている。

 ものづくりの夢を1000年の伝統に賭ける
 表具は「より良いものを目指して、新しい取合せをしようと挑戦しても、下手に触ればもともとあった伝統的な手法の方がずっとよかったという世界」。それほど難しいのだと言う。日本古来の住宅から、洋風化された住宅へと人々の住環境が大きく変化している現在。「和室」や「床の間」が消えゆく中で、掛軸・襖(ふすま)・額・屏風(びょうぶ)・巻物(まきもの)・画帳(がちょう)へと、書画を作り上げてきた表具師たちも又、新たな活路を模索している。こういう時代だからこそ「展示会に京表具を出しても、デザインも技術もセンスもそう簡単に盗まれんような、レベルの高いものを提供していきたい。それを見て、“ああ、こういうものが日本にはあったんだなあ。これが「京表具」だ”と感じてもらえるものを1つでも作っていきたいと思い、組合の皆さんにも“そうしていこう”と言うてるんです。この1000年を越す京表具の伝統も、守ろうとするだけでは守りきれない」。守りに入るのではなく、もっと先、まだ先を目指して挑戦して初めて現状が維持できるのだと、山本さんの言葉は熱い。 「自分の思っていることを人に伝える、というのは難しいこと」。これからは「職人が、自ら作り手の思いを伝えることも大事なこと」だと考える。だから「必ず自分の勉強になるから」と、表具展示会などで表具師自身が“自分の作品の意図や説明をする場”を設けるようにしているという。人とものを結びつける、理事長としての山本さんの課題だと言う。

 職人プロフィール

 山本之夫 (やまもとゆきお)

 S10年2月27日生。京表具師。
 現在、
 京表具協同組合連合会理事長
 京表具伝統工芸士審査委員長
 京表具伝統工芸士会顧問を務める。


 こぼれ話

 飽きのこない落ち着きある趣き

 生活様式の変化に伴い、和室や床の間は住宅から減ってきています。
 その半面で、インテリアに「和」の味わいを求める人が増えているのも確かです。本来は「床の間」に飾られていた「掛軸」も、フローリングの客間に“季節を感じさせるインテリア”としてコンソールの上などに掛けられています。
 飽きのこない、しっとりした趣をもつ京表具には、この新しい生活空間にも溶け込む不思議な魅力があります。

*https://kougeihin.jp/craft/1413/ より


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