「いなごの佃煮」
主な伝承地域 県内全域
主な使用食材 いなご
歴史・由来・関連行事
南信地域の伊那谷には、古くから昆虫食文化が根付いており、いなご、蜂の子、かいこ、ざざむしなどを食べる習慣がある。こうした昆虫類は、以前は少ない動物性たんぱくをとるための栄養補給源として食べられていた。群馬県など海産物が少ない山間地で食用とする地域がある。戦時中や戦後の食糧難では、いなごを食べてお腹を満たし生きるのに必要な栄養をとっていた。クロスズメバチなどの幼虫「蜂の子」は、日本各地の山間地を中心に多く食されており、炊き込みごはんや甘露煮などにして食べられている。長野県では「蜂追い(すがれ追い)」といって、森林内にあらかじめ餌を仕掛けておびき寄せたクロスズメバチに細い赤い糸を付けた餌を持ち帰らせるという伝統的な捕獲方法を使って、地中にある蜂の巣を探し出していた。昔に比べいなごの数も減少しており、生活や食文化の変化により各家庭で調理されることは少なくなってきたものの、今もなお伊那谷では昆虫食文化が残っている。
食習の機会や時季
漢字で「稲子」と書くように、いなごは稲刈り時に収穫される。9月から10月にかけて稲刈りの時期になると、手拭いでできた袋を腰につけて、飛び跳ねるいなごを捕まえていた。
飲食方法
とってきたいなごを袋や容器に入れて一晩おき、お湯に通して洗う。洗ったいなごは、甘露煮や佃煮にすることが多い。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
以前に比べて、各家庭でつくられることは少なくなったが、伊那谷では今も田んぼでいなごをとって食べている。地元の道の駅や土産店で、昆虫類の瓶詰めや、惣菜コーナーなどで甘露煮や佃煮を手に入れることができる。諏訪では、「いなごの佃煮」が入った「バッタおやき」や、ソフトクリームに「いなごの佃煮」がトッピングされた「バッタソフト」、「バッタ飴」が売られている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/inagono_tsuku_dani_nagano.html より
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