「山葵漬け」
主な伝承地域 中部地域(静岡市)、伊豆半島(伊豆市)、東部地域(御殿場市、小山町)
主な使用食材 わさび
歴史・由来・関連行事
山葵漬けは、わさびの刻んだ葉や茎、根を酒粕に漬けた料理。
わさびの発祥は、慶長年間(1596~1615年)に、それ以前から静岡市葵区の有東木地区の佛谷山(ぶっこくさん)に自生していた野生のわさびを、同地区の湧水源付近に植えたこととされる。その後、駿府城で晩年を過ごしていた徳川家康が同地区からわさびを持ち出すことを禁じ、長い年月、有東木地区から外へ出ることはなかった。しかし、18世紀半ばに伊豆地域へ栽培法が伝播し、その後、中伊豆地区で「畳石式」と呼ばれる栽培方式が開発されると、静岡県全域へ、さらには日本各地に普及していった。
静岡県のわさびは、多量の降雨や地質、年間を通して13℃前後の湧水がわさびの栽培に適しているため収量、品質とも日本一を誇る(※)。現在、湧水が湧く山間地に階段状のわさび田を作り、極力肥料を使用せずに栽培されており、「静岡水わさびの伝統栽培」は世界農業遺産と日本農業遺産に認定されている。
山葵漬けは、明治22年に開駅した静岡駅構内で販売したことが始まりといわれ、現在でも定番の静岡土産の一つであると同時に、家庭でも日常の食卓にあがることが多い。わさびのつんとくる辛みと酒粕の風味のため、主に大人に好まれる料理である。
※出典:静岡わさび農業遺産推進協議会
食習の機会や時季
一年を通して食されている。温かいご飯の上にのせたり、酒のつまみにしたり日常の食卓にあがる。
飲食方法
わさびの茎・根は細くきざみ、一晩、塩漬けにしておく。酒粕に砂糖・酒を入れてよくこね、滑らかになったら、塩漬けにしたわさびを布巾でよく絞り酒粕の中に入れる。よく馴染むようにかき混ぜる。密封容器に移し2~3日おくと辛みが出て食べ頃になる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
わさび漬けは、駅の土産物店のみならず、県内のスーパーや食品店で常時販売されている。「静岡水わさび」の魅力を広報し、他産地との差別化や伝統的な食文化の継承を図るため、「静岡水わさびの逸品」認定制度(静岡わさび農業遺産推進協議会)が設けられている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_3_shizuoka.html より
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