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<経産大臣指定伝統的工芸品> 大阪 大阪泉州桐箪笥

2021-06-24 09:04:25 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「大阪泉州桐箪笥」

 Description / 特徴・産地

 大阪泉州桐箪笥とは?
 大阪泉州桐箪笥(おおさかせんしゅうきりたんす)は、大阪府岸和田市や堺市周辺で作られている木工品です。大阪泉州桐箪笥で原材料として使用されている桐は、防湿性が高く、さらに耐火性に優れた木材として知られています。そのため、そんな桐を使用した大阪泉州桐箪笥は長く使える家具として、古くから嫁入り道具として愛されてきました。
 大阪泉州桐箪笥の特徴は、厚みのある良質な桐を使った上品なつくりです。「矧ぎ加工(はぎかこう)」と言われる高度な技術を駆使して作られた大阪泉州桐箪笥は、日本でも数ある桐箪笥とは一線を期してきました。職人による繊細で優美なつくりを評して日本で最高峰の桐箪笥と言われることもあるほどです。ただ、高度な技術を駆使して作られた桐箪笥だからこそ、全国的にみると桐箪笥の生産量は少なめです。その少ない生産量が、大阪泉州桐箪笥の希少価値をさらに高めています。

 History / 歴史
 大阪泉州桐箪笥の正確な起源は明らかにされていませんが、300年以上前に書かれた「難波鶴」という文献に、箪笥仕立ての職人の名前が登場することから、既に江戸時代中期には箪笥づくりのベースができていたと推測されます。
 江戸時代において、大阪は日本のほぼ真ん中に立地していたということと、江戸幕府の政策で整備されたことで市街地が広がり、商業の中心地として「天下の台所」という異名を持っていました。この大阪での商業の著しい発展が、江戸後期における大阪泉州桐箪笥の製造に大きく関係したと考えられています。
 商業の地として発展した大阪において多くのものをしまうための箪笥が必要だったということと、近畿地方での農業の発展により財を蓄える農民が増え、財力を示すものとして桐箪笥の需要が増えたからです。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/osakasenshukiritansu/ より

 上品な顔立ち、堂々とした風格。それが大阪泉州桐箪笥の魅力
 日本の風土が育てた美しい素材である桐。淡い色調と美しい木目、そして光を抑えた金具。伝統工芸ならではの細かい手仕事が結集した桐箪笥は、優雅な雰囲気をもたらす。その柔らかな質感は思わず撫でてしまいたくなるほどだ。

 
 良質の桐材は会津から
 江戸時代中期に大阪で桐箪笥の製造技術が確立された。その後、桐箪笥は堺を経て和泉に広がり、泉州地域に産地が形成されたといわれる。その昔、文政2年に農家の副業として桐苗の植え付けが許されたため、桐の植樹が増加し、のちに桐箪笥の原材料となったというのだ。
かつて「女の子が産まれると庭に桐の木を植え、その子が嫁入りの時にはその木を切って桐の箪笥をこしらえた」といわれるよう、桐の成長は比較的早い。桐箪笥の材料となる桐は福島県の会津地方を中心に取り寄せられているが、近頃ではアメリカのバ-ジニア州、ペンシルバニア州等からの輸入材が入ってくる。中国でも人民公社が日本に輸出するために植林しているが、やはり、自然林と比べると年輪が大きくなってしまっている。その点ペンシルバニアなどは、緯度が会津地方に近いため、良質な材料が育っているのだ。


 桐箪笥は木目あわせが肝心
 大阪岸和田にある田中家具製作所を訪れた。作業場を取り囲むように切り材が並べられている。桐箪笥の伝統工芸士田中稔氏は、その一画で桐材の選別作業をしていた。「木目や長さによって箪笥のどの部位に使うか分けていたんです。そして木目を揃えて印を付け、矧(は)ぎの工程に渡します。私はこの工程が結構好きなんですよ。」木目の微妙な流れをよんでいるので、横に並べて矧いでも、全く継ぎ目が分からなくなる。さすが長年桐材を見ているだけある。そのすばらしい選考眼には驚かされた。彼が立ち上がったその後には、長年使っていると思われる座布団が残されていた。そしてそのまわりには長短様々な切り材が放射線状に並べられている。それはまるで座布団を花心とし、材木の花びらを持つ大きなひまわりのような光景だった。


 道具一つにも職人の個性が表れる
 田中製作所では、比較的多く、若い職人さんが腕を振るっている。伝統的工芸品の工房においては、少し珍しい光景だ。中には大学を出てサラリ-マンを経験したけれど「どうしても工芸の仕事がしたい」と高等職業学校に通ってこの世界に入った人もいる。田中氏はその若者が工房に来た時、「私は、『修行の世界は大変だよ。やっていけるかい?』と心配しました。でも彼が持っている道具を見てハッとしたんです。こんなに手入れの良い道具をもっている者なら大丈夫だ。きっとすばらしい職人になるだろうと確信したんです。」と、当時を振り返った。桐箪笥を作るのには、ノミやたがねなど色々な種類が必要だ。しかしそのひとつひとつが手に馴染み、使いこなしていくのには、5年以上の歳月が必要なのだ。素人目には分からないが、道具の手入れ方法にさえ、職人の個性が表れているという。


 箪笥作りを楽しむ職人たち
 大阪泉州桐箪笥は釘を使わずに「ほぞ」と「ほぞ」をはめ合わせることで、組み上げていく。そのために、「組み手加工」の工程では、寸分の狂いもなく「ほぞ」をくり抜かなければならない。その精密さはまるで寄木細工を見ているようだ。中でも田中氏が手がけ日本伝統工芸士作品展で受賞した貴重品箱付き衣裳箪笥は、隠し扉やからくり箱のような仕掛けがあり、扉を閉めていては分からない『遊びのような技巧』の部分が印象的だった。
 工房ではみんな黙々と仕事をしている。その姿はどこか、桐のたおやかな手触りを楽しみながら作業しているようにみえる。この製作所では、木取りから組み手、仕上げに到るまで一つの箪笥をつくりあげる全ての工程を、分業することなく一人の職人さんが担当している。工程を分業でしていない分、出来上がった箪笥は、職人さんにとって、自分の分身、あるいはかわいい子供のように思えてくるのではないだろうか。

*https://kougeihin.jp/craft/0622/ より


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