「えび大根」
主な伝承地域 栃木県南部
主な使用食材 だいこん、川エビ
歴史・由来・関連行事
寒くなると川エビが獲れる県南地域で、霜の便りを聞く頃に作る冬の料理。親戚や家を出ている子供たちも集まり一緒に祝いをする水神祭の席には、えび大根のほか、赤飯やけんちん汁、きんぴらごぼうなどが作られていた。
小山市南西部の生井地区・白鳥地区周辺では、たくさん捕れた川エビは行商に回っていた。エビは炊くと赤くなり、だいこんの白と合わさり、縁起物として祝いの席の一品として添えられたと伝わる。
えび大根に使われる川エビは「笹エビ」とも呼ばれる。川の岸辺の草が枯れて寒くなる頃に、エビが寒さをしのぐ場所がなくなる。枯れた草の代わりに笹を束ねて縄で縛り、エビが近寄るよう岸辺に1mくらい縄の端をつけ固定する。その笹に身を寄せてきたエビを網ですくい獲る。川エビと冬が旬のだいこんとを、とろけるほど柔らかく煮付ける「えび大根」はごちそうの一品だった。「川エビ」は、テナガエビ、ヌマエビなど淡水の河川や湖沼にいるエビの総称で、天ぷらや佃煮、煮付けなどでも食べられる。現在では川エビの代わりに、桜エビが用いられることも多い。
食習の機会や時季
元来、舟の安全や川が穏やかであるよう祈願する水神祭のほか、行事や祝い事のごちそうとして作られた。一般家庭で日常的な惣菜として食卓に並ぶが、現在では桜エビが代用されることが多い。
飲食方法
だいこんは皮をむき2cmくらいの輪切りまたは半月切りにしてから下ゆでする。その際米のとぎ汁があればそれで下ゆでをしておく。鍋に下ゆでしただいこんと、川エビ、水、砂糖、酒、しょうゆを加えてだいこんがやわらかくなるまで煮る。味がよくしみこむよう弱火でゆっくりと煮ると良い。川エビがない場合は、桜エビ(素干し)でも代用できる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
栃木県教育委員会は学校給食を活用した食育推進事業「学校給食レシピ集」で、郷土料理等を家庭向けにアレンジした学校給食献立を県ホームページに掲載し、普及を行っている。その中で「えび大根」も取り上げられている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/31_23_tochigi.html より
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