第218回 2019年3月19日 「モダンで斬新!異素材との融合~長野 木曽漆器」リサーチャー:南沢奈央
番組内容
表面に赤い漆を塗ったカップが今、大人気。実は木ではなくガラスに漆を施したもので、中は色とりどりの線で彩られ「まるで万華鏡のよう」と評判だ。これは椀や盆などの生活雑器で有名な長野の木曽漆器。近年では異素材との融合を図り、新たな境地を切り開いている。使うほどに艶が増していく漆塗りの革財布や、最先端のハイテク技術を駆使して生まれた酒器など。伝統とアイデアを融合させたものづくりに、女優の南沢奈央が迫る。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201903191930001301000 より
長野県の木曽平沢は長野県の伝統的な工芸品「木曽漆器」の産地で、工房の数は90以上あります。
その「木曽漆器」は、今、思わぬ進化を遂げています。
1.百色-hyakushiki-「蕾盃」(丸嘉小坂漆器店)
ガラスに赤一色の漆で塗られた器。
中には色とりどりの線があり、まるで万華鏡のようです。
これは、「丸嘉小坂漆器店まるよしこさかしっきてん」の「百色-hyakushiki-」というブランドの「蕾盃つぼみさかづき」です。
「百色-hyakushiki-」というブランド名は、万華鏡の別名「百色眼鏡」から名付けられました。
ガラスに漆を塗るきっかけとなったのは、木工職人の小坂玲央さんが、先代の作ったガラス天板をはめた卓袱台に漆を塗ったのが始まりです。
ガラスに漆を塗っても剥がれてしまいますが、そうならないように長野県工業技術試験場とともに研究を進め、平成6(1994)年に漆とガラスのマッチングに成功。
「すいとうよ」の販売を始めました。
更に共同研究を重ねて、ドリンク用途だけでなく、より幅広い用途で使用出来る耐久性を達成して生まれたのが
「百色-hyakushiki-」です。
「百色-hyakushiki-」はこれまでの漆器とは違い、金属製のカトラリーを使用することが出来ます。
また油物も気軽に盛りつけることが出来ます。
中性洗剤を使用したスポンジ洗いも問題ありません。
丸嘉小坂漆器店 長野県塩尻市木曽平沢1817-1
2.漆塗りの革財布「漆-URUSHI-」(未空うるし工芸)
長野県塩尻氏木曽川に工房を構える「未空みそらうるし工芸」は漆塗り製品を製造している工房です。
「木曽漆器」の伝統技術を受け継ぐとともに、新たな漆の可能性を探求して、「jaCHRO」(ジャックロ)というブランドを立ち上げ、様々な素材との融合により、新しい漆塗り製品を生み出しています。
「jaCHRO」(ジャックロ)とは、世界から「japan」と表現されてきた「漆・漆器」と、「色彩論」を意味する「chromatics」を合わせ、漆の持つ様々な彩りと可能性を新しい形で世に発信することで、「漆塗り製品を知らなかった世代にも興味を持って欲しい」という強い思いから誕生したブランドです。
そんな「未空うるし工芸」のブランド「jaCHROじゃっくろ」が紳士用高級革製品ブランド「キプリス(CYPRIS)」とコラボして出来上がった「漆-URUSHI-」(「jaCHRO leather」)は、革と漆とのコラボレーションで生まれた財布です。
未空うるし工芸が独自に考案した技法を用いて、幾重にも塗り重ねられた漆の深みのある独特の色合いと
さりげなく散りばめられた細かなラメにより、光の当たり方でその表情を変えます。
また、革素材の経年変化と漆の経年変化を同時に楽しむことも出来ます。
飲み物の温かさを程良く伝えることの出来る厚さの漆塗り「CUP SLEEVE」(コーヒースリーブ)もあります。
未空うるし工芸 長野県塩尻市木曽平沢1905-7
3.「TOSO」(山加荻村漆器店)
創業明治45(1912)年の「山加荻村漆器店」は、中山道の「贄川宿」(にえかわじゅく)と「奈良井宿」(ならいじゅく)の間には、木曽平沢の「漆の郷」(うるしのさと)と呼ばれるエリアにあります。
屠蘇器とそき「TOSO」は、人気の料理研究家・宮澤奈々さんとのコラボレーションから生まれたオリジナル商品です。
他に、お盆「BON TEMAE」「SUZU bon」があります。
艶消ししたマットな風合いの黒い屠蘇器の「TOSO」は、3Dプリンターで作られました。
そして食器洗浄機で洗えるように、「漆」を敢えて使わず、ウレタン加工が施されています。
山加荻村漆器店(本店・蔵ギャラリー) 長野県塩尻市木曽平沢1766
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Nagano/Kisoshikki-2 より
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