「現在アメリカ人が直面している人種問題は、極めて錯綜したものとなっている。例えば、現在の統合参謀本部議長コリン・パウエルは、黒人である。」「アメリカ以外のどの国が、これほど重要な職務を、マイノリティーに属する人間に与えているだろうか。」
言われれば、その通りです。軍人組織のトップに、黒人を置いているアメリカは、人種差別の国とはとても思えません。しかしそれでもアメリカは、黒人差別の国と言われています。考えてみますと、日本も似たような状況にあります。戦前の軍人のトップに、何人の朝鮮人がいたかを調べてみました。
日本軍にはこれだけの朝鮮人の将軍がいて、朝鮮兵だけでなく、日本兵も統率していました。戦前の日本人の多くが、朝鮮人を蔑視していたことを否定しませんが、軍がそれをしなかったと事実も残しておきたいと思います。
ここには、アメリカの軍隊と似た状況があります。違っているのは、コリン・パウエル氏のことは、アメリカ人の全てが知っていますが、朝鮮人の将軍の存在について、ほとんどの日本人が知らないというところです。
日本の敗戦後、将軍たちの多くは日本への協力者として処刑されていますが、こうした事実も、私たちは知らず、ネットの情報でやっと発見するだけです。この問題も、ブログの本題でありませんから、横道へ入らず氏の書評へ戻ります。
「また、アメリカの一般家庭で、一番人気のあるコメディアンは、やはり黒人のビル・コスビーである。彼はここ10年ほどの間、ゴールデンタイムのテレビ番組で、最も人気があるタレントという地位を守り続けている。」
「今トークショーの司会者として、一番人気があるのも、オーブラ・ウィンフリーという黒人女性だ。彼女はいかにもアメリカ的な、心優しい黒人のおばさんというイメージを体現する存在であり、その肥満との戦いと親切そうな外見とによって、年に四千万ドルを稼ぎ出している。」
「さらにこの35年間というもの、アメリカのトップクラスのスポーツ選手は、大部分が黒人である。」「とりわけバスケット界のスターである、マイケル・ジョーダンや、マジック・ジョンソンは圧倒的な人気を誇っており、その商業的価値は白人選手よりも高い。」
こうして氏は、テレビやスポーツで活躍する黒人の例を挙げていきます。大衆音楽の分野でも、黒人歌手や演奏家たちが多くの人を魅了しています。
「このような状況にあるアメリカは、一体どういう国家なのだろう。徹底した人種差別主義の国なのか。それとも他のどの国より人種間の相違を率直に認め、スポーツ選手、俳優、ミュージシャン、知識人から、政治家にいたるまで、たとえ人種は違っても、才能ある人々を積極的に受け入れようとする、人種問題に関しては公正な国なのか。」「はたまた、人種問題に対するアメリカ人の姿勢は、ただ混乱と、矛盾に満ちたものでしかないのか。」
自問自答する氏を見ていますと、私も自分たちのことを考えます。在日朝鮮・韓国人に対し、私たちはこのような思索を真面目にしたことがあったか、という点です。在日韓国・朝鮮人が、芸能界に数多くいることを知っていますが、誰がそうなのか、正確には知りません。というのも彼や彼女たちは、本名を使わず、通名と呼ばれる日本名を名乗っているからです。
日本名でなくては、受け入れられなかったから出自を隠し、韓国・朝鮮人は常に通名で通しました。日本人を騙しているという人もいますが、それは大きな間違いで、差別をした日本人が多かったという証明だと、私は考えています。
これも書評と関係のない横道ですが、人種差別のテーマが出てくると、私は自分も含め、日本人の狭量さを恥じずにおれなくなります。
この点に関する限り、日本はまだアメリカに劣らない韓国・朝鮮人への差別社会です。昨今は、差別の象徴だった通名を逆手に取り、彼らが税金逃れに利用していると聞きますから、単純な話でなくなっています。
横道をせず書評へ戻りますが、黒人問題が語られる限り、私の頭からは在日韓国・朝鮮人への差別が離れな口なります。散漫な書評になりそうですから、関心のない方は、スルーしてください。
息子たちは我慢して、あとからついてきてください。