ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『幻想の超大国』 - 15 ( 米国は昔から南北分断国家だった )

2020-01-26 20:23:18 | 徒然の記

 アメリカの特殊性について、昨日からの続きです。

 「独立後の1世紀の間、アメリカでは半分の州が奴隷制を認め、半数が認めていなかった。リンカーンの言葉を借りれば、アメリカは二つに仕切られた家だった。」「やがてアメリカは、南北戦争という悲惨な戦争を経ることで、国内の分裂と奴隷制に終止符を打った。」「しかし南部が再び古い秩序に回帰し、新たな奴隷制度を築き始めるのにそう長い時間はかからなかった。」

 私は学校で、南北戦争後のアメリカからは、奴隷制度がなくなったと教えられましたが、違っていたのです。

 「奴隷制度は法律で禁じられたものの、南部では相変わらず黒人は二級国民とされ、白人と同じ学校へ通うことも、同じ建物に住むことも、同じレストランで食事をすることさえ州法によって禁じられていた。」「黒人たちは奴隷でこそなかったが、公民権も投票権も認めない政治システムによって、白人たちの支配下に置かれていた。」

 これはそっくり、ついこの間までの南アフリカ連邦です。黒人差別のアパルトヘイトの原点は、南部アメリカにあったのです。ここでもまた私は国連人権委員会での、日本の差別問題を糾弾する、外国人委員たちの言葉を思い出します。何年か前のブログで取り上げましたが、再度紹介いたします。 

 1. マーク・ボシュイ ( ベルギー ) 男性

 「反レイシスト協会からの報告によると、植民地時代から日本に住んでいる40万人の朝鮮人には、選挙権もなく、公職にもつけないという。」

「またここに人権教育啓発推進センターからの、興味深いレポートがある。日本に住む外国人4000人対するアンケートだ。」「回答者のうち、40%が居住を断られ、30%が人種差別的発言を受けたという。」

 「また海外からの報告によると、外国籍または外国人に見える人たちには、日本人以外はお断りという、看板がホテルやレストランで、」「よく目にするという。」

 2. ニコラス・マルガン ( スペイン ) 男性

 「罰則のない、日本のヘイトスピーチ法には意味があるのか。被害者は、耐え忍ぶしかないのか。」「韓国人たちが、恐怖なしで暮らせるようにヘイトスピーチをなくすことが、できるのか。」「日本には、どのくらい韓国系の裁判官、校長先生、警察官がいるのか。」

 3. ゲイ・マクドカール ( アメリカ ) 女性

 「韓国人に対するヘイトスピーチを、政府は罰することを行わず、野放しにしている。この根本には、慰安婦問題がある。」

 4. リタ・イザック  ( ハンガリー ) 女性

 「日弁連の招待で、日本を訪れた。」「2015年の法務省の統計で、1152回以上のヘイトデモがあった。」「2013年から2015の間で、特に増えている。日本政府は、もっと踏み込んだ対策をすべきではないか。」

 5. ホセ・フランシスコ ( ガテマラ ) 男性

 「ほとんどの在日韓国人は、日本で生まれ育ち、日本人同様の義務を果たしている。それなのに、役所などの公的な仕事に就けない。」「ある朝鮮人教師が、教頭になれなかったのは、日本の制度がそれを許していないからだ。朝鮮人に対する制度を、改めてもらいたい。」

 6. リ・エントアン   ( 中  国 ) 女性

 「ヘイトデモと、オンラインによるヘイトスビーチは、アジアの国、特に中国と韓国に対してである。」「政治的な党や、差別的グループも結成されている。」

 7. チョン・ジンソン  ( 韓  国 ) 女性

 「強調したいのは、オンラインでのヘイトスピーチだ。偽の情報をもとに、組織された人間が、拡散している。ネトウヨと呼ばれる、人間たちです。」「韓国を含め、世界中に拡散されるから大きな影響がある。」「先月だけでも200以上のヘイトスピーチが、ユーチューブの動画でブロックされた。」「日本政府は、どのように対応をするのか。」

 日本を敵視し、自国政府の支援を受け国連で活動している中国と韓国の委員を除けば、他の委員は日本を知らない外国人です。彼らが知っているのは、おそらくアメリカや南ア連邦での人種差別で、そのレベルでの日本批判です。

 私が衝撃を受けたのは委員たちの放言だけでなく、彼らに資料を提供している団体の名前を知ったからでした。参考のため、過去のブログから再転記します。
 
   1. 日弁連    ( 会長 菊地裕太郎 )
   2. 人種差別撤廃NGOネットワーク ( 共同代表理事 武者小路公秀 )   
   3. 琉球先住民族協会   ( 会長 宮里護佐丸 )
   4. 女たちの戦争と平和資料館 ( 理事長 東海林路得子 )
   5. 民 団
   6. 韓国・民弁
   7.   韓国挺身隊問題対策協議会
 
  韓国内の団体である、6と7を除くと、残りは日本国内の団体でした。これらの反日のNPO団体は、南アやアメリカでの差別と日本での差別が混同されるのを狙い、意識的な資料作りをしています。
 
 日本の反日左翼団体が国連を利用し、日本攻撃をしていることと、彼らを支援しているのが、共産党など反日野党であることを忘れてはなりません。マスコミが報道しないから、多くの国民はこの事実を知りません。
 
 今回も話が横道へそれましたが、大事なことなので報告しました。氏の著書も貴重な内容ですから、次回は再度書評へ戻ります。
 
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『幻想の超大国』 - 14 ( 日米が抱える人種問題 )

2020-01-26 15:13:03 | 徒然の記
 アメリカの黒人問題について、再びハルバースタム氏は歴史から考えようと試みます。
 
 「実際に、アメリカの人種問題の種がまかれたのは、はるか昔の、別の時代のできごとだった。」「その当時は、先進諸国にとって、植民地主義こそ理想的な政策だと考えられていて、アフリカやアジアに、豊かな植民地を持つことが国力の証でもあった。」
 
 「二百年後の今から考えると、滑稽なことであるが、当時の列強は香辛料貿易を支配するため、植民地の争奪に明け暮れていた。」
 
 白人である氏には、白人であったための歴史の言い訳が必要です。「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉がありますが、氏の根拠はこのたぐいです。周りがみんなやっているから、自分の行為も許されるという理屈です。私はこの思考を笑いませんし、否定もしません。「みんながやっているから正義」「誰もがしているから、正しい」というのは、世間一般の思考方法です。
 
 同じ理屈で私は、反日左翼学者たちの日本糾弾を、許しがたいと考えます。「日本だけが間違った戦争をした」「日本だけが悪かった」と、彼らは日本の歴史を否定し、国民の愛国心を打ち砕きました。当時の日本は、周りが侵略国家だったから、自衛のための戦争をしたのです。氏の説明も、日本の弁明が重なります。
 
 「その頃は、肌の色の異なる人々を支配下に置き、召使・奴隷として働かせることを、誰もが当然のことと考えていた。それどころかそうすることが、神の教えに適った行為であるとさえ思われていたのだ。」
 
 「西洋の基準から見れば、アフリカ人やアジア人は、異教の神を崇拝する下等な民族であり、劣悪な環境で暮らし、近代的な武器も持っていなかった。だからこそ、そうした国々を植民地化し、住民を指導し、( また同時に搾取し ) 、キリスト教をもたらすことが、西洋諸国の義務であるとされた。」
 
 したがってアメリカの黒人問題は不可抗力だったと、そうは言っていません。いません。むしろ氏は、こうした歴史の事実を読者に語っているのです。
 
 「第二次大戦後、世界の植民地では、動乱や戦争を経て、」「こうした植民地時代は、終焉を迎えた。」「ヨーロッパ諸国と、アジア・アフリカとのつながりは、」「ぷっつりと断ち切られたのだ。」「植民地化されていた国々は、突然自由になり、」「独立した国家となった。」「そうした国々の大部分は貧しく、国民の教育水準も低いままで、」「独立するだけの下地が、整っていないことが多かった。」「とはいえ、かっての宗主国の力が一掃され、」「消滅したことは、確かだった。」
 
 と、ここまでは、一般的な西洋史の流れです。次に氏が、アメリカという国の特殊性について説明します。ぼんやりと知っていることを、明確な言葉で語られると、無知が啓蒙されます。私は初めて聞く、アメリカ人の話として、興味深く読みました。
 
 「しかしアメリカでは、全く事情が異なっていた。」「アメリカが持っていた植民地は、実は奴隷制に他ならなかった。」「遠い異国に植民地を求めた、ヨーロッパ諸国と異なり、」「アメリカは自国の中で、植民地主義を実践したのだ。」「南部の綿花栽培地域こそ、アメリカにとっての植民地だった。」「アメリカの植民地主義を支えた奴隷たちが、」「アメリカ国民となったのである。」
 
 こうなりますと、事情は複雑で、理屈で分かっていても、気持がついていかないという事態が生まれます。日本の在日問題も複雑ですが、アメリカの黒人問題はもっと複雑だと分かりました。過激な黒人たちは、昔年の恨みを殺意に変え、ことあらば暴力で意思表示します。さすがに、過激と言われる在日の活動家たちも、日本でそのような行動はしません。
 
 同じ人種差別と言っても、黒人差別問題と、在日韓国・朝鮮日問題は、発生の原因からして違います。黒人問題は、奴隷商人の話から始まり、氏に言わせれば、アメリカ人の原罪です。しかし在日問題は、発生の原因が朝鮮政府にあります。ここの違いは、感情論でなく、歴史の事実として、息子たちには理解してもらいたいと思います。
 
 戦後、日本人の心を足で踏みにじった、反日・左翼の学者たちの仕業ですから、私は後ほど、彼らの間違いを、氏の書評の中で明らかにしようと思います。しかし今は、まだその時でありませんから、次回は横道へ進まず、氏の著書へ戻ります。
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