昭和10年生まれの氏は、昭和20年の敗戦時、氏は10才、小学校の3年生です。わざわざ生年月日を確認するのは、どうして氏のように聡明な人物が、日本の歴史を否定するようになったのかと、不思議になるからです。
当然ながら、日本否定の思考に反比例し、アメリカへの評価が高くなります。アメリカは合理的で、個人を束縛しない自由な国で、やる気のある人間には平等に機会が与えられると語ります。
日本に関しては負の面に注目し、批判と否定を繰り返しますが、アメリカ社会を蝕ばむ深刻な黒人差別問題や、極端な貧富の差、あるいは個人同士が常に争う訴訟社会であることなど、負の側面には目を向けません。
幕末以来、大東亜戦争の敗北から今日まで、氏は日本の歴史を知らないのでなく、むしろ生半可な知識ではありません。著書の中で、何度も過去の日本を語り、不透明な現在社会と対比します。終始論理が整然とし、もし息子たちが読めば納得してしまいそうです。手っ取り早い例を、54ページから引用します。
「昭和10年代の日本の悲劇は、日本の軍事官僚、革新官僚が、」「優秀だと、信じたことから始まった。」「当時彼らは、満蒙は我が生命線と、叫んでいた。」「国民は彼らの言を信じ、求められるままに軍事予算を増やし、」「統制官僚と治安警察の権限を与えた。」「昭和の初めの日本人ほど、官僚に対して従順だった国民は、世界の歴史に珍しい。」
こうした批判の仕方は、反日・左翼学者と同じで、80%の事実と、20%の捏造です。全部が嘘でないため読者は警戒心を無くしますが、しかしこの意見が、果たして正しいのでしょうか。
「昭和の初めの日本人ほど、官僚に対して従順だった国民は、世界の歴史に珍しい。」
平成、令和の日本人も、官僚への従順さは変わりません。官僚である氏が総理に進言し、「移民法」を成立させた時、荒れ狂ったデモ行進の一つでもあったでしょうか。世界の歴史に珍しいなどと言う意見は、どんなデータから出てくるのでしょう。いい加減な意見を思いつくまま並べても、多くの国民が、氏の著書を買って読んでいるのはなぜか。氏を、優秀な官僚と信じ込んでいるからでしょうに・・。
「しかし彼らの言った 、〈生命線〉を維持しようとしたことが、」「国家そのものを滅ぼしてしまうことになり、」「多くの国民の生命と、莫大な財産を失わせた。」「しかも終戦後、満蒙が失われてからの日本経済の大発展を見れば、」「満蒙は何ら生命線でなく、ただの利権と権限の場に過ぎなかったことは、明らかだ。」
人間が持つ思想次第で、歴史は変わります。東京裁判史観を信じ、アメリカを正しいとする氏には、戦前の日本が間違いだらけに見えるのでしょう。満州事変当時の軍人の横暴さと、傲慢さについて、私も眉をしかめますが、同じ批判をしても、私と氏には違いがあります。
軍国官僚が暴走し極論を主張したと言うのなら、当時他国が暴走し、極論を叫んでいた事実も、述べなくてはいけません。当時の国民が、世界史に残るほどの従順さだったと、氏はどこで判断したのでしょう。「満蒙は生命線である」と言う意見に、当時の国際情勢で妥当性があったから、国民が賛成したのではないでしょうか。
戦後の日本は、アメリカの強い影響下にあり、「日本だけが間違った戦争をした。」と、すっかり世間の風潮が変わってしまいました。敗戦後に変節した学者たちの意見を正しいとし、何も言えなくなっている軍人を攻撃するのは、容易いことです。ブログの第2回目で、氏の経歴を調べたは無駄でありませんでした。
「経済学部で、大河内一男教授(後の総長)に師事。」「学部で3番目の成績で、卒業した。」
氏の東京裁判史観が、どこで身についたのか。東大総長大河内一男教授への師事という事実の中にあります。大河内氏は、反日・左翼教授で「獅子身中の虫」です。
「もちろん、昭和の初めの軍人や官僚が、」「全員無能であったわけでも、悪人であったわけでも無い。」「彼らの最大の欠点は、組織への狭い忠誠心にこだわり、」「権限を放棄する勇気を失い、組織人として、最も重要なガバナビリティ ( 被統治能力 ) を、」「欠いていたことである。」
「そしてその根本的な原因は、被統治能力欠如に対する、罪悪感を感じないと言う、倫理の頽廃であった。」「世の中に、権力者の倫理的頽廃ほど恐ろしいものはない。」
そっくり同じ言葉を、氏に返したいと思います。東大は卒業しても、戦後日本を支配している「東京裁判史観」から卒業できないまま、日本を否定する氏は、自らの倫理観の頽廃を恥じなければなりません。
「ローコスト革命が日本を救う」などと言い、大量の移民受け入れ政策を総理に進めた氏は、「満蒙はわが生命線」と叫んでいた軍人とどこが違うのでしょう。むしろ軍人は、国を守り、発展させると言う愛国心があるだけ、増しです。氏には、最初から最後まで、経済 ( 金儲け ) の話はあっても、日本への愛はどこにもありません。
1. 八百万の神様を信じ、先祖を敬い、和を大切にする日本人の寛大さ。
2. 自分の国は、自分で守ると言う日本人の、誇りと自主自立精神
敗戦後の日本が無くしたこの二つについて、全く触れない氏が、産経新聞に定期的寄稿をする人物のだと、今も信じられません。そろそろ嫌になってきましたが、まだ54ページです。次回は息子たちのため、氏がアメリカを称賛をしている具体例を、紹介します。
読みたく無い方は、スルーしてください。貴重な時間を無駄にしてはいけません。