ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

日中再逆転 - 7 ( 中国市場を席巻している日本企業 )

2020-03-06 22:24:56 | 徒然の記

 「これら50社のうち、中国のライバル企業に、先端技術が追い抜かれてしまった、」「もしくは、追いつかれそうだという企業が、」「1社でもあるだろうか。」

 309ページ、氏の叙述はここから始まり、企業ごとの詳細な説明になります。私の知らなかった日本企業の姿なので、労をいとわず紹介します。

 「食品では、アサヒスーパードライと、キリン一番搾りは、中国でも人気の、高級ビールだ。」「中国ナンバーワンの雪花ビールは、世界で無名だし、」「2位の青島ビールも、日本人は名前くらい知っているが、国際的にメジャーではない。」「味の素は、医療、介護用食品などの分野で、」「発展を遂げていて、中国企業の追随を許さない。」

 「繊維では、東レとユニクロが共同開発した、ヒートテックは、」「冬の中国の必需品と言われ、北京の日本人駐在員たちの生活を、一変させた。」「人民解放軍も、密かに大量購入したという、都市伝説まであるほどだ。」「発熱、保温、抗菌、伸縮性、静電気防止、形状保持という、」「ヒートテックの7つの技術は、中国のメーカーには、とても真似ができない。」

 ユニクロの社長は大の親中派で、「日本に拘らない。金儲けできる場所が、自分の国だ。」と新聞の記事だったか、そんなことを言っていました。朝日も東レもキリンも、口には出しませんが、同じ気持ちで事業展開しているのだろうと推察します。

 「ユニクロは2012 ( 平成24 ) 年、売り場面積6.600平方メートルという、」「世界最大の店舗を、上海にオープンしたが、」「開店前から、2,000人が行列を作る人気ぶりだった。」「2020年までに、1,000店舗体制を目指している。」「これに対して、習近平主席の夫人ご愛用の、」「広州ブランド・エクセプションは、中国以外では全く無名だ。」

 日本企業の製品が、中国市場を席巻し、支配している事実は、これだけではありません。

 「化学では、旭化成の半導体技術は、血液透析型人工腎臓や、」「携帯電話の音や光をコントロールする、LSIなどに応用されており、」「中国は、まだこのレベルまで行っていない。」「住友化学の自動車軽量化や、食品包装用フィルムの、」「高機能化という技術も、中国は追いついていない。」

 「信越化学工業は、世界最大級の永久磁石式磁気回路をはじめ、」「飛び抜けた技術に溢れており、中国企業とは、横綱と十両以上の差がある。」

 日本企業は、大量生産できる低価格の製品を、中国で生産していると思っていましたが、そうではありませんでした。最先端技術の新鋭工場を稼働させ、日本にはない製品を作っていたのです。日本は中国で生産した日本企業の製品や部品を、逆輸入していたという話になります。これが、息子たちに伝えたかった、眼から鱗の「日本企業の実態」です。

 各社の民生用技術は、いつでも軍事に転用可能で、恐るべき武器となることは、素人でも知っています。こういう事実があっても、自社の利益ため平気で行動するのが、「多国籍企業」、「無国籍企業」と言われる会社です。「多国籍企業」の手本は欧米なので、改めてその定義を「ブリタニカ大辞典」で調べてみました。

 《 多国籍企業とは 》

 ・多数の国家に、生産のための現地法人を設立し、世界的な事業活動を展開する巨大企業。超国家企業ともいう

 ・資本自由化とともに、日本への多国籍企業の進出がみられる反面、日本企業の多国籍化も進んでいる

 ・企業例・・ ロイヤルダッチ・シェルグループ、エクソン、ユニリーバ、ネスレ、ゼネラル・モーターズなど

 ブリタニカ大辞典にまで書かれているのですから、日本企業はすでに、中国の巨大市場を舞台にする、世界企業だったのです。

「日本経済は、中国市場に大きく依存し、中国なしでは成り立たなくなっている。」

 新聞やテレビが、こんな報道をしますから、中国が日本企業を締めつけ、動きが取れないようにしていると誤解していました。事実は逆で、日本企業が中国市場を支配し、経済を左右する力を持っていたのです。日本の経済人たち、特に経団連が中国に気を使い、第二の祖国でもあるかのように大切にする理由がこれで分かりました。

 ここまでくれば、最後まで氏の説明に付き合います。

 「三菱ケミカル傘下の、田辺三菱製薬の、」「糖尿病、アルツハイマー病の最新治療薬は、今の中国の製薬技術では、作れない。」

 「花王は、節水型液体洗剤・アタック瞬清をはじめ、中国での知名度は抜群だ。」

 「資生堂も、同様に知名度抜群で、中国がそっくり真似た " 自然堂 " は、」「中国では民族ブランドになったが、海外で人気を博しているのは、北朝鮮以外見たことがない。」「北京の、資生堂研究センターを訪れたことがあるが、」「原材料の調合から、顔に塗る実験まで、」「極めて精密な研究を重ねているのに、恐れ入った。」

 「JXの会社規模は、中国の三大国有石油会社には及ばないが、」「燃料電池自動車用、水素ステーションなど、」「次世代型技術開発では、はるかに中国の先を行っている。」

 「ゴムでは、ブリジストンタイヤは、中国全土に偽物が出回るほど人気だ。」「ウレタンフォームなどの樹脂製品や、免震ゴムなどの技術も中国よりはるかに高い。」

 鉄鋼、非鉄金属、機械、電気機器、自動車、商社、海運と、各業種の企業名と、中国での活躍ぶりが、この後も続きます。各社の持つ技術は、中国が手に入れたい先端技術ばかりです。息子や「ねこ庭」を訪問される方々には、ここまでの紹介だけでも、日本企業の実像が理解されたと思います。

 さらに氏の叙述を紹介するべきか、発見した事実を報告した方が良いのか迷っています。一旦ここで一区切りとし、次回とします。お休みなさい。

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総理は一つの難局を越えた

2020-03-06 12:39:38 | 徒然の記

 『日中再逆転』の書評を続けたり、中断したり、千葉日報を読んだり、テレビを見たり、その合間には庭の手入れをし、買い物に出かけと、年金生活者とは言え、忙しい日々です。特に、コロナウイルスに絡む政治と社会の動きには、目まぐるしいものがあります。

 今朝の千葉日報を見て、「総理は一つの難局を越えた」という感を、強くいたしました。記事の見出しだけでも、見応えがあります。

《 7面 国際政治欄 》

 1.   周主席の来日延期 当面は国内対応優先 準備停滞、成果見込めず

 2.   中国 批判メディアに報復 記者に圧力、サイト閉鎖 情報統制で拡大の反省なく

 3.   バイデン氏10州勝利 残るは最大の票田加州

《 6面 国内政治欄 》

 1.  観光需要回復へ官民連携 未来会議・部品調達中国依存脱却

 2.   特措法改正12日衆院通過 公明は審査で了解せず

 3.   自粛緩和  今月半ば判断 大規模行事めぐり厚労相

 7面は、1.2.3.三つの記事で、紙面のほとんどが使われています。日本には、周氏の来日延期が最重要ですが、国際的には、2.の方がニュースバリューがあるのでしょう。一番大きな扱いで、写真入りです。コロナ騒ぎが収まりつつある中国で、初動の対応が遅れたと、周氏を批判したマスコミに対し、露骨な報復が始まったという記事です。

 経済音痴の州氏が、相変わらず毛沢東の真似をし、国民への弾圧を続けて行けば、李克強氏の反撃が始まるはずです。そうなれば、経済重視の安倍氏には、有利な状況が生まれます。

 3.のバイデン氏の記事は、米国大統領選挙についてですが、民主党の乱立候補がどうなろうと、共和党のトランプ氏の勝利は間違いないというのが、大方の予想です。歴史的に見ても、民主党の大統領はルーズベルト氏以来、トルーマン、カーター、クリントン、オバマ氏と、日本にとってロクな大統領はいません。11月の選挙で、トランプ氏が大統領になれば、安倍氏はやりやすくなります。

 6面は、1.2.3.の三つの記事を読みますと、潮目が変わったとという思いがします。企業が中国での部品生産をやめ、他のアジア諸国へ生産拠点を移せば、中国への依存度が減ります。総理への圧力も減るはずです。特筆したいのは2. の 「特措法改正12日衆院通過」です。人権侵害になると、反日野党が反対していましたが、成立しました。

 この法が施行されると、政府が緊急事態を宣言し、都道府県知事が外出自粛や学校の休校、興業施設の利用制限などできるようになります。つまりこれは、有事の際の緊急時に、政府の機敏な対応を可能にするもので、自民党がずっと願っていた法律です。あとは、最後の峠である「コロナウィルスの押さえ込み」ができれば、3. の記事の通り、様々な自粛緩和を、加藤厚労大臣が判断するだけとなります。 

 総理の「一斉休校要請」は、賛否両論を呼びましたが、結果として考えれば、周氏の来日を荒立てずに中止する効果がありました。尊大な周氏も、メンツが潰されずにすみ、ほっとしているに違いありません。

 ということで、「ねこ庭」から眺める私には、「総理は一つの難局を越えた」と思えます。それだけでなく、トランプ氏が再選されれば、総理の政権基盤がさらに強まり、総裁任期延長、後継者育成、政権禅譲という道筋が見えてきます。歴史に残る足跡を残したいと欲を出さなくとも、国を思う国民には、総理の足跡の大きさが十分理解されています。おかしな法律をたくさん成立させましたが、それは今後の運用次第です。優秀な官僚は、法律を骨抜きにする才能が、政治家の誰よりも長けています。

 1.   憲法改正の気運を国内に波及させ、「憲法改正」を政策として掲げた。

 2.   女性宮家への反対を明確にした。

 3.   集団的自衛権行使を可能にする法の整備をした。

 4.   緊急事態対応のための、特措法改正を実現した。

 反日左翼の野党、反日・左翼のマスコミ、反日の中国、韓国、アメリカの反日勢力など、四面楚歌の中で、これだけのことをやったのですから、大したものです。保守の中にも、厳しい安倍批判があり、時には私も仲間になりますが、強運の総理であると思います。本日の記事は、総理のためというより、日本のためには「吉」だと思います。その代わり、周氏には「凶」でしょう。

 今朝の新聞を見て、これだけは息子たちに伝え、「ねこ庭」を訪問される方々にもご報告したいと、ブログに向かいました。しばらく休憩し、『日中再逆転』へ戻ります。

コメント (4)
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