ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

大変な時代 - 10 ( 二重丸の悪書 )

2020-03-21 15:58:27 | 徒然の記

 155ページです。日本は官僚が統制する管理社会で、国民は生活の全てを縛られ、何も自由にできないと言うのが、堺屋氏の持論です。

 国民は気がついていないけれど、日本は世界にも類まれな管理社会で、社会主義国と大差がないと説明します。5年前に、ベンジャミン・ミルフォード氏の著書『ヤクザ・リセッション』を読みました。カナダ人の特派員で、日本駐在の記者でしたが、日本を酷評していました、

  「日本は役人とマスコミに支配された、官僚社会主義国家だ」

  「日本は、政・官・業・ヤクザに支配された、腐敗国家だ。」

  「日本の矛盾は、その腐敗構造にあり、」「それは、民主主義が機能しないところまで、きてしまっている。」

  今でも、ベンジャミン氏の意見が理解できず、日本のどこを見ていたのかと、疑問を抱いたままです。堺屋氏の叙述は、カナダ人記者のような侮蔑はありませんが、似た気持ちにさせられます。

 「自由競争は、個人にも、組織にも、創造性と、個性を発揮する、機会を与える。」「アングロ・アメリカ経済でいう、自由競争とは、」「まさしく、ルールのないプロレス型だ。」「新規参入は、原則として無制限。」「航空会社でも、小売業者でも、コンビュータ・メーカーや、ソフトウェアの会社でも、次々と新規企業が生まれる。」

 「社員も流動的で、今日はA社の主任技師が、明日はB社の、開発部長になることも珍しくない。」「組織としても個人としても、新陳代謝が激しく、」「技術開発と経営刷新は、大いに進む。」「したがってそこには、様式美というものは、育ちにくい。」

 様式美については、少し説明が入ります。氏は日本の経済社会を相撲型と言い、米国経済をプロレス型と説明しています。伝統としきたりの多い相撲界は、他国の誰もが参入できる世界ではありません。髷をゆい、廻しをしめ、決められた形でしか、勝負ができません。飛んだり跳ねたり、蹴飛ばしたり、噛み付いたり、勝手な攻撃はご法度です。

 そのままでは金儲けにならない相撲は、国技として国の支援を受け、国民は存続に協力するための、高い入場料を払っているというのが、氏の意見です。これに対する自由なプロレス界を、氏はアングロ・アメリカの経済社会と、対比させます。

 「そこには、様式美と言われるようなものは、育ちにくい。」「新規参入が自由で、消費者 ( 観客 ) の選択で盛衰が決まる、」「アングロ・アメリカ型の自由競争では、価格の引き下げこそが、競争に勝つ道だ。」「このためには、常に常識が破られる。」「つまり価格破壊が、常態化する仕組みになっているのだ。」

 「昭和54年に、金融や航空の自由化が始まった結果、」「アメリカの金融業界や、航空業界は、戦国時代に入った。」「ローコスト戦争の結果、多くの企業が淘汰されている。」「自由化以来10年にして、最大の企業であったパンアメリカンは、消滅してしまう。」「お客に対する商品の種類も、急増、」「低価格の運賃なら、以前の数分の1まで下がっている。」

 「もちろんこれとて、コスト割れで売られているのではない。」「航空会社が知恵を絞り、コストを引き下げた結果、」「それでも引き合うようになったのだ。」「それで引き合わない企業は、倒産してしまう。」「自由競争には、ローコスト競争がつきものなのだ。」

 氏は、企業に一生を捧げる社員の生き方を、世界に類を見ない「企業型人間」と批判します。年功序列賃金、終身雇用、手厚い福利厚生施設などは、「大競争時代」に相応しくない、ハイコストの無駄な制度と槍玉にげます。

 ここで、氏と瓜二つの思考を持つ人物、つまり竹中平蔵氏の顔が浮かびます。堺屋氏は平成10 年の小渕内閣し平成12 年の森内閣で、政策ブレーンとして働き、竹中氏は、平成13年の小泉内閣で辣腕の経済閣僚として働き、平成17年以降の安倍内閣では、経済政策のブレーンとして活躍しています。

 二人の意見が政策に取り入れられ、移民法や、各種公益事業の民営化法などの悪法が、次々と立法化され、今の日本があります。年功序列賃金も終身雇用も、社員への手厚い福利厚生施設も、みんな消滅させられました。企業経営者と従業員のための会社が無くなり、会社は株主に高配当をするだけの組織となりました。正社員が減り、代わりに派遣、パート、アルバイト社員といった、低賃金の社員が増えました。

 働いている人間は、政府の言う「職業選択の自由」を与えられた代わりに、いつでも首切りの対象となる不安定な暮らしを手に入れました。社員を酷使する「ブラック企業」が増え、結婚したくても若者には貯蓄がなく、日本はますます少子高齢化社会となり、「大量の移民」を必要とする条件を整えつつあります。

 堺屋氏は亡くなりましたが、竹中氏は今も健在で、安倍内閣で活躍しています。移民を受け入れる大手人材会社の会長でありながら、政府の委員を兼務しています。マスコミや多くの政治家が忖度し、名指しの批判を避けていますが、父として息子たちの代わりに言います。

 「お前たちの日々の暮らしを、先の見えないものにしたのが、この二人です。」「堺屋太一氏と、竹中平蔵氏の名前を忘れないようにしなさい。」

 反日・左翼の者たちが戦後74年間、言いたい放題をしたこれまでを思えば、「ねこ庭」の片隅で、私が独り言を呟いたとして、それが何だと言うのでしょう。

 《 ねこ庭の独り言    》

  ・アメリカには、根強い反日勢力がある。( 主として、ウォール街 )

  ・ アメリカ政界には、彼らに支援された根強い反日勢力がある。( 主として、民主党政権内 )

  ・  根強い反日勢力は常に日本を警戒し、台頭する日本を押さえ込む。

  ・  根強い反日勢力は、日本の保守政治家、学者、官僚の中に親派を育成している。

  ・   堺屋氏と竹中氏は、そうして育成された親派の一員ではなかろうか。

 息子たちは自分の頭と手を使い、事実の裏づけを調べてください。「ねこ庭」を訪問される方々は、各自の判断でお読みください。

  「安倍総理は、アメリカの圧力があるため、竹中氏の起用を拒めない。」

 そんな噂を耳にしたことがありましたが、まんざら嘘でなかったのかと思えてきます。同時に安倍氏の責任の大きさも、浮かび上がります。「美しい日本を取り戻し、戦後政治の総決算をする。」と国民に約束した氏が、アメリカの力に屈したとなれば、自民党にはあと誰がいるのか。左翼思想にひれ伏している反日野党に期待できない国民は、この先どうすれば良いのか。

 本書には他にも示唆に富む主張が多々ありますが、全て日本人の魂を失った、元高級官僚の意見です。題名通りの、「大変な時代」を、彼らが作ってくれました。氏の著書への判定は、反日・左翼学者の書を超える、二重丸の「悪書」です。腐った残飯と野菜クズに混ぜ、ゴミステーションに捨てるのが一番でしょう。

コメント (4)
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