ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

習近平に中国は変えられるか - 7 ( 野田氏と胡錦濤氏の立ち話 )

2020-03-31 22:07:27 | 徒然の記

 155ページに戻ります。2012 ( 平成24  ) の中国共産党大会で、胡錦濤・党総書記が行った演説が、紹介されています。

 「我々は、海洋資源を開発する能力を高め、」「海洋権益を断固守り、海洋強国づくりに取り組むべきだ。」「我が国の国際的地位にふさわしい、強大な軍隊を作ることは、」「戦略的任務だ。」

 「国防強化の目的は、国家の主権、領土の統一を守ることにある。」「いかなる外部の圧力にも、屈服しない。」

 いつの記事だったか中国の将軍が、「大国にふさわしい軍を持つのは、当然だ。」「他国に、とやかく干渉されることではない。」

 発言のもとが、胡錦濤氏の演説だったとは知りませんでした。さらに記者は、次のように説明します。

 「尖閣諸島を巡る日本への対応や、南シナ海の領有権をめぐる、」「フィリピンや、ベトナムとの摩擦の激化を背景に、」「中国は、海軍を含む海洋関連部局の、連携強化を模索している。」「軍と政府を挙げ、海洋進出の総合力を高めていることは、」「周辺国にとって、脅威となりそうだ。」

 ここで私は、前回紹介した、尖閣国有化方針をめぐる外事小組の会議での、軍人の意見とのつながりを理解しました。

 「日本、フィリピン、ベトナムのうち、どこかとの戦争はやむおえない。」

 しかしマスコミは、中国軍人の言葉を国民に伝えていません。共同通信社もNHKも、報道しませんでした。

 「南沙諸島の埋め立ては、民間が利用できる飛行場や、港を作っている。」「軍事施設では、断じてない。」

 その代わりマスコミは、中国外務省のウソ発表を伝えていました。さらに産経記者は、日本の不幸が、民主党の野田政権にもあったと教えます。

 「民主党は、官僚の言いなりにならない政治を実現する。」「政治主導の政権運営をする。」と、彼らは金権腐敗の自民党から、政権を奪いました。政権の座につくと、素人集団の議員たちは、官僚の助け無しで国会答弁も出来ませんでした。醜態を見せる大臣たちの姿に、国民が失望しました。

 鳩山、菅と、二人の総理が日米同盟に亀裂を生じさせました。この時の状況を、記者が語っています。

 「首相就任直前だった、野田佳彦は、外務省幹部にこう告げた。」「私は当面、震災や財政など、」「内政問題に付きっきりになる。」「外交は、外務省に任せたい。」「官僚をうまく使うのが、真のリーダーだと言われ、」「鳩山や菅の二の舞になるまいとする、思惑が災いし、」「日中間のトップ外交が疎かになり、関係悪化の遠因となった。」

 中国が国を挙げて、海洋進出に取り組んでいる危険な時、野田氏はこんな失政をしていました。国難の出発点だった尖閣問題を、自分で考えず、害務省に丸投げしたのです。氏も、鳩山、菅氏に劣らない無能な政治家でした。

 氏が官僚に助言されるまま、尖閣の国有化をしたため、激しい反日デモが起こり、日本企業が標的になる、異常事態が発生しました。

 「2012 ( 平成24  ) の9月、ロシアで行われたAPECの会議時に、」「胡錦濤は野田の求めに応じ、" 立ち話  " をした。」「胡錦濤は、尖閣の国有化は、不法で無効だとまくし立てた。」「わずかに15分、日本語・中国語の通訳が不在で、英語通訳を介しての、」「不自由な会話だった。」

 関係者の感想によりますと、意見交換でなく、胡錦濤氏からの一方的な最後通告とも言える中身だった、と言います。野田氏は、外務省に任せたため、中国の内情が分からず、相手の話を聞くしかできませんでした。

 「折しも中国では、次期指導部をめぐる人事の激闘の中、」「不穏な空気が漂っていた。」「引退後に足元を救われないためにも、胡錦濤は次期トップへの影響力を、確保する必要があった。」「もし引退後に院政が敷けないなら、家族の金銭問題で、」「攻撃対象にさえ、なりかねない。」

 「胡錦濤は、武力以外の全ての手段で、」「日本へ強行姿勢を取る準備を備え、野田と会った。」「ここで反撃しなければ、日本が増長するとの判断だった。」

 「野田総理は、胡錦濤氏と、実りのない会談をした。」と、マスコミは簡単な報道をしました。外務省には、中国親派の「チャイナスクール」が、幅をきかせています。日本を敵視する中国の情報は手に入れず、巨額のODA資金を言われるままに与え、軍備の増強に協力していたのですから、まさに害務省です。

 こう言う実情を知れば、野田氏も鳩山氏同様、日本の国益を損なった歴史に残る総理です。国民が民主党を見限り、自民党支持に戻った気持ちが分かります。

 次回は、安倍総理が中国政府からどのように見られているか、日経記者の説明を聞きます。「武漢コロナ騒ぎ」で外出できず、時間のある方は「ねこ庭」へ足を運んでください。いっそうストレスが溜まるのかもしれませんが、それでよければ・・

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習近平に中国は変えられるか - 6 ( 中国軍による、「オレンジ計画」研究 )

2020-03-31 12:58:52 | 徒然の記

 「中国との外交に関し、日本人には、どのような知識が必要なのか。」

 今回はこのテーマに絞り、中国の特異性を報告したいと思います。まず164ページです。

 「存在感の大きくなった中国の、外交方針を取り仕切るのは、」「実は、中国外務省ではない。」「憲法に明記されず、メンバーさえ公表されていない組織、」「党外事工作指導小組だ。」「トップは国家主席だが、実際のリーダーは、」「議長役の国務委員、外交担当、副首相級が、決める。」

 「会議の出席メンバーは、外相や商務省の他、」「国防省や解放軍の副参謀総長級も出席する。」「2012 ( 平成24  ) の夏、日本による尖閣国有化方針をめぐり、外事小組の会議が開かれた。」

 この時の会話の一部が、紹介されています。

   1.  軍の関係者

  「日本、フィリピン、ベトナムのうち、どこかとの戦争はやむおえない。」「領土を守る意思を強く示すべきだ、」

   2.  他のメンバー

  「いや今は、周辺国との協調が最優先、冷静さが必要だ。」

 3.   議長・戴秉国( たいへいこく  )

  「当面は日本側の対応に合わせ、中国側も対応する。」

 この時中国各地で起きた反日デモに対し、公安当局は抑制的に対応したと言います。北京、上海などのデモが、数十人規模で済んだのは、戴秉国の指示でした。しかし 平成24年の秋、野田内閣が尖閣諸島の国有化に踏み切った時、「もはや反日デモを抑制する必要はない、」と、一気に方針転換したのも、外事小組の会議でした。

  嘘か本当か、記者の説明によりますと、中国外交の仕組みを知らない日本政府は、外相との会談を重視し、党外事工作指導小組との定期接触がないと言います。

 「中国では、他国と比べ、外交の地位は決して高くない。」「トップ25の政治局員の中に、軍人が二人いるが、」「外交分野の責任者は、ゼロだ。」「また、軍の最高決定機関である、党中央軍事委員会の構成は、」「軍人10人に対し、文民は国家主席一人だ。」

 「胡錦濤時代には、政府トップの温家宝首相が知らないところで、」「軍事の決定がされていることが、しばしばあった。」「中国の大国化と共に、軍内の強硬論が高まっており、」「外交当局が歯止めをかけることが、ますます難しくなっている。」

 中国の政府内で、外交当局の影が薄いと説明されますと、思い当たる節があります。習近平氏が今回の人事で、王毅氏を外相に任命しました。王毅氏は元駐日大使だっただけでなく、学生時代日本に留学し、日本語も堪能です。氏が外相に就任した時は、日中関係改善の現れかと期待したが、見当はずれでした。

 氏の発言は日中改善でなく、関係悪化を煽る、高慢極まりない日本批判でした。記者の説明を読み、政府内での氏の立場の弱さと、軍部の強行姿勢を知らされ納得しました。氏は、日本の政界、官界、財界と太いパイプを持ち、第一次安倍内閣の時、就任直後の総理の電撃的訪中も演出しています。しかし氏が今の状況で、日本寄りの発言をすれば、忽ち左遷か追放です。身の安全を考えれば、軍部に合わせ、強行論を言うしかありません。

 その証拠に習近平氏は、王毅氏の外相と同時に、副首相級の国務委員に楊潔篪 ( ようけっち  ) 氏を、任命しています。記者の説明によれば、副首相級の国務委員で外交担当をする者が外相の上に立つのですから、王毅氏の活躍の場はありません。

 「楊潔篪は、尖閣諸島問題への対応で、強硬論を唱え、」「指導部の支持を得たとされており、日中関係の厳しさは当面続きそうだ。」

 これが記者の人物評ですから、尖閣への領海侵犯も、絶えることなく続くということになります。

 尖閣諸島に関する日中の争いは、大国となった中国が、大人しくしていた過去を捨て、日本を困らせるため、横車を押しているのだとそう思っていました。しかし記者たちの説明を読むと、そんな単純なものでなく、国家の生命線である海上シーレーンの、占有問題であることを知りました。165ページからの引用です。

 「2011 ( 平成23  ) に、軍は米国との戦争に備えた、シナリオを研究中だ。」「それは太平洋戦争開始の20年前に、台頭する日本を仮想敵国として、」「米国が作った〈オレンジ計画 〉  の研究だ。」「米国はこの時点で、戦略物資を止めれば、日本の伸長に、」「歯止めがかけられると、分析した。」

 「その後米国は、実際に原油の供給を停止し、」「原油を求めて、日本は東南アジアへ、戦線を広げ、」「米国のシナリオ通りに、敗戦した。」

 「軍は、現在の米国が中国を仮想敵国とし、」「同様の計画を立てていると、言っている。」「これを防止する戦略の一つが、中東からの原油ルートにあたる南シナ海で、」「制海権と制空権を、中国が維持することだ、と主張する。」

 米国との協調を模索する外交当局に対し、軍が南シナ海で、強行路線を進める背景には、こう言う危機感があると言います。尖閣諸島のある東シナ海は、仮想敵米国を攻撃するための、太平洋への出口ですから、日本国民の想像を超える事態になっています。

 しかしここで、図らずも知った大東亜戦争の事実でした。「日本だけが間違った戦争をした。」「日本だけが、侵略した。」と言う、東京裁判史観の間違いが明らかにされています。日本はアメリカのオレンジ計画により、戦争の拡大を余儀なくされ、戦線を広げさせられ、彼らに翻弄され、敗北したのです。

 息子たちに言いいます。日本だけが悪かったと思うのは、やめなさい。東條元首相が軍国主義の悪玉で、侵略国家の先頭にいたと、そんな一方的な話を信じることもやめなさいと・・。

 次回は尖閣問題につき、事実をもう少し、日経記者の先生方に教わります。

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