本日からメインテーマの、「中国で活躍する日本企業」です。2013 ( 平成25 ) 年に出版された本のため、統計数字に現在との誤差がありますが、マクロの傾向が分かれば良いと割り切ります。
氏は「日経中国関連株50社」に関する、詳細な説明をしています。要点を言いますと50社は、追いつけ追い越せと頑張る中国を寄せつけず、逆に中国市場を支配していると、予想していなかった意見を展開します。
50社だけでなく日本の企業は全部で何社進出しているのか。まずその点を調べますと、
・ 2013 ( 平成25 ) 年 2万3000社」
・ 2019 ( 令和1 ) 年現在 1万3685社 ・・となっています。
進出企業の業種別割合を、中国国内での拠点数と合わせ、令和元年の「東京商工リサーチ」の数字を紹介いたします。
業 種 % 拠 点 数
製 造 業 49.93 2,187
卸 売 業 24.38 1,068
サービス業 15.48 678
運 輸 業 4.63 203
金融・保険 2.40 105
小 売 業 1.78 78
建 設 業 0.64 28
日本人の社員とその家族数については、2017 ( 平成29 ) 年の外務省のデータを紹介します。 ( )内の数字は、前年比増減。
- 上海 58,161人(ー3.3%)
- 広州 20,669人(ー2.3%)
- 中国 12,452人(+4.4%)
- 大連 5,338人(ー6.7%)
- 青島 2,460人(+6.0%)
- 瀋陽 1,500人(ー1.3%)
- 重慶 889人(ー6.0%) 合計 101,459 人
数字は会社の社員とその家族だけでなく、大使館員や報道関係者など、全ての日本人の数です。ネットの他の情報では、会社関係だけで、10万人以上という数字もあります。
氏の著書へ戻り、「日経中国関連株50社」の叙述となり、退屈な会社名の紹介になりますが、知識欲に燃える人は退屈せず、「日本の一流企業がほとんど進出しているではないか。」「これでは日本の若者の仕事がなくなり、国内が空洞化して当然だぞ。」と、驚くはずです。
食 品 ・・・アサヒ キリン 味の素
繊 維 ・・・東レ
化 学 ・・・旭化成 住友化学 信越化学 三井化学 三菱ケミカル 花王 資生堂
石 油 ・・・JXホールディングス
ゴ ム ・・・ブリジストン
鉄 鋼 ・・・新日鐵化学 神戸製鋼所 JFEホールディングス
日鉄・金属 ・・住友金属鉱山 住友電気工業
機 械 ・・・小松製作所 日立建機 クボタ ダイキン 日本精工 三菱重工業
電気機器 ・・日立製作所 東芝 三菱電機 パナソニック シャープ ソニー TDK デンソー ファナック 京セラ 村田製作所 キャノン
自動車 ・・・日産 トヨタ 本田
精密機器 ・・ニコン
商 社 ・・・伊藤忠商事 丸紅 三井物産 三菱商事 ユニチャーム
小売業 ・・・セブン&アイ イオン ファーストリテイリング
海 運 ・・・商船三井
これだけの会社が、日本から生産工場を移転し、物流センターを移し、スーパーやコンビニを展開しているのですから、雇用が増え、賃金が支払われ、中国経済を活性化させ、利益も還元したはずです。日本だけでなく、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアと、他の国々も13億人の市場を目指した結果として、中国がダントツの成長をするはずです。
中国の経済発展に、日本が他国に比し、どのくらい貢献しているのか。残念ながらデータがありませんが、きっと米国に次ぐ、二位くらいの位置にあるのではないでしょうか。貢献するだけでなく、企業も、空前の利益をあげたに違いありません。経団連にとって、「お客様は神様」「中国も神様」ですから、多少傲慢なことを言われても、我慢我慢ということになります。
利益優先の企業は、「名を捨て、実を取る」です。政府や国民がコケにされても、口先だけの脅しなら、経営者たちは無視します。政府に対しても、「安倍さん、大人になりなさい。」「我慢、我慢。」と、ブレーキをかけたと推察できます。13億の市場と利益の大きさと引き換えに、経団連は安倍内閣の対中政策にブレーキをかけたのではないでしょうか。
国民は選挙の一票を持っていますが、経団連は政治家への献金で影響力を及ぼします。たまにしか行使できない選挙の一票は、残念ながら金力には及びません。今回のコロナ騒ぎで、「中国人の入国全面禁止」や「習近平氏の招聘中止」に、総理が踏み切れなかった背景には、彼らの力があったはずです。
確証もなく、陰謀論とも言えない、単なる推測ですが、次回から紹介する、近藤氏の企業説明を読めば、もしかすると、賛同される方があるのかもしれません。今夜は、ここまでとし、私は眠るといたします。