ねこ庭の独り言

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女性皇族の考え「理解を」- 26 ( 昭和天皇のご挨拶 )

2025-01-01 23:32:37 | 徒然の記

 新しい年が来ました。静かな元旦の一日が終わり、机に向かっています。

 昨年は、皇籍離脱した元皇族との晩さん会で昭和天皇がされた挨拶を紹介いたしました。この時陛下がどのようなお気持だったのかを、斉藤勝久氏が間接的に述べています。

 〈 終戦直後の皇族の方々 〉

  ・昭和20年8月15日、終戦の玉音放送の後、鈴木貫太郎内閣は総辞職したが、日本の難局は続いた。

  ・不穏な動きを見せる軍部、特に陸軍を抑え、終戦を成し遂げるため、昭和天皇はかねてから、後継の内閣総理大臣を決めていた。

  ・陸軍大将にして、皇族の東久邇宮稔彦(ひがしくにのみやなるひこ)王である。前編で述べたように、明治天皇の第9皇女と結婚し、また2年前には昭和天皇の長女が嫁いだ東久邇宮家の当主になっている。

  ・東久邇宮は、皇族が政治に関与することに反対で首相就任を固辞したが、終戦を決意した昭和天皇のやつれた様子を見て、決断する。日記にこう記した。

  ・「この未曾有の危機を突破するため、死力をつくすことは日本国民の一人として、また、つねに優遇を受けてきた皇族として、最高の責任であると考えた」

  ・昭和天皇は、終戦を前例のない「皇族内閣」で乗り切るしかない、というお考えだったと言われる。

  ・昭和天皇は玉音放送の翌日に軍人皇族を呼び、天皇の特使として外地の日本軍に終戦を伝達するため、

  ・朝香宮(あさかのみや)を支那派遣軍に、竹田宮(たけだのみや)は関東軍と朝鮮軍に、閑院宮は南方総軍に派遣した。

  ・首相になった東久邇宮は「全国民が総懺悔(ざんげ)するのが我が国再建の第一歩」と「一億総懺悔」を訴えた。

  ・しかし、連合国軍総司令部(GHQ)が内務大臣、内務省の警察部門(警保局)幹部の罷免などを命じてきた。

  ・「総理大臣宮」は突然の “ 内政干渉 ” に抵抗の意地を示し、在任わずか54日間で総辞職した。

 不穏な動きを見せる外地の陸軍が、平穏裡に武装解除をしたのは、天皇の特使として宮家の方々が行かれたからだったということは、別の書物にも書かれていました。国内でも外地でも陸軍の中には敗戦を認めず、「徹底抗戦」を主張する軍人がいましたから、天皇の「お言葉」を宮家の方々が直接伝え、説得された功績には大なものがありました。

 国内の陸軍に対しては、東久邇宮様を昭和天皇は首相に指名され、騒乱の抑えとされました。

 皇族が政治に関与することに反対されていた東久邇宮様が、首相の任を受けられたのは、

  「昭和天皇のやつれた様子を見て、決断する。日記にこう記した。」

 と、斉藤氏が宮様のお気持を説明しています。敗戦、占領軍の進駐、GHQによる統治と、経験したことのない事態に陥った日本を内戦の危機から救ったのは、昭和天皇のご判断と、皇族の責任を果たそうと協力された宮家の方々の献身があったからと「ねこ庭」は考えます。

 天皇家の存続のため、数の増減はありながら、複数の宮家が常に作られる仕組みが何時の時代から始まったのか正確に知りませんが、昔からあったのは確実だろうと思っています。

 その大切な宮家を、GHQの強制を受け11家も一度に「皇籍離脱」を伝えるのですから、昭和天皇が心穏やかにご挨拶されたと考える方が不自然ではないでしょうか。

  「従来の縁故は、今後においても何ら変わるところはないのであって、将来ますますお互いに親しくご交際をいたしたいというのが、私の念願であります。」

  「皆さんも私の気持ちをご了解になって、機会あるごとに遠慮なく、親しい気持ちでお話にお出でなさるように希望いたします」

 斉藤氏が紹介する晩餐会での昭和天皇の「ご挨拶」には、様々な想いが込められていたと推察します。

 氏は昭和天皇のお気持と、敗戦後の宮家のお働きを知っているから、次のような説明になるのだと考えます。
 
  ・11宮家51人が戦後に皇籍離脱してから今年で75年。
 
  ・敗戦の混乱の中で一般国民となった旧宮家の人々と、その子孫は、
 
  ・戦後も皇室の親族らが集まって「菊栄(きくえい)親睦会」を開いたり、
 
  ・皇室行事や宮中祭祀(さいし)などに参列したりして、皇室とのつながりを保っている。
 
  ・現皇族が減り続ける中で、「旧宮家の男系男子の皇族復帰」の日は来るのか・・。
 
 氏の説明を読み、「11宮家の皇籍復帰」の必要性と重要度への理解を深めましたが、違った意見を言う専門家もいます。神道学者・皇室研究家として知られる高森明勅 ( あきのり ) 氏がその人です。
 
 新年早々脇道を更に進みますが、「戦後日本史の大河」を語るには、高森氏の意見も紹介しない訳にいかなくなりました。時間のある方は、次回の「ねこ庭」へ足をお運びください。
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