~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

バッハ平均律クラヴィ―ア曲集演奏会

2012年11月17日 22時34分42秒 | ピアノ

昨晩は、イェルク・デムスピアノリサイタルに行ってまいりました。

氏はこの12月2日で84歳になられるそうですが、今年から来年にかけて、バッハの平均律クラヴィ―ア曲集を4回に分けて全曲演奏されるとのこと。すでに第1回は11月2日に行われ、平均律第2巻の前半12曲とパルティータ第1番変ロ長調がプログラムであったとうかがっています。

デムス氏については、これまで2回レッスンを聴講させていただいたことがあり、厳しさに縮み上がって帰ってきたものですが、リサイタルはこれまた、「咳・携帯・チラシ音厳禁」ということで、演奏前に「咳の出そうな方は、今のうちに出口近くに移動していただいて、出そうになりましたら速やかに外へ」という注意があり、私の周囲を見てもみなさん、ハンカチ・のどあめ(それもちゃんと袋を破って出しやすいようにしてある)を用意し、チラシはすぐに片付け、入念にスタンバイしておられました。

私は自分がどろどろに疲れていたのがわかっていたので、このコンディションでバッハを聴くのか、それもデムス氏を微動だにせずに聴けるのか・・・・と心配のカタマリで参りました。

私、バッハはもともと「わかってない」自覚があり、あの膨大な作品群の中の、鍵盤曲の中の、チェンバロ・ピアノ系曲の中の、インヴェンション・シンフォニアと平均律第1巻のみをちょっと弾いてみただけで、好きも嫌いもないし、なによりも信仰もないし・・・というわけで、このリサイタルについてもレビューを書くつもりはありませんでした。

昨晩デムス氏の演奏(平均律第2巻後半12曲と「半音階的幻想曲とフーガ」)を聴いて、ますます何もわかってない自覚が深まり、正直なところ、よりバッハが遠くへ行ってしまった気もしました。

84歳にして、この11月に第2巻全24曲のプレリュード&フーガを暗譜で弾かれるという超人ぶり、まったく濁らないぺダリング、いっさい体がぶれることなく自然体のまま強音も弱音も最高に美しい響きを引き出すテクニックと精神性、にも圧倒され・・・。

今回知ったことは、

平均律第2巻は第1巻(1722)のおよそ20年後に完成し、第1巻よりさらに円熟し精神性も高まっているということ。

また演奏から感じたことは、

バッハをチェンバロで弾くかピアノで弾くかという議論がよくあるけれど、それぞれの楽器においてそれぞれの楽器を特性を生かして、演奏者も最高のパフォーマンスを目指せば、それでいいのではないか、ということ。デムス氏の演奏にはどことなく古楽器の奏法をほうふつとさせる部分があるような気がし、それはさまざまな鍵盤楽器を演奏される氏の歴史でもあるのかもしれない・・・と僭越ながら考えたことでありました。

 

・・・・・・やはりバッハとショパンは私にとっては相当難しく遠い・・・・・・