徒然なるままに 平和と音楽を求めて

平和憲法のもと日本は戦争しない国として、いろんな国の国民から賞賛されてきた。この日本が戦争する国に変質しようとしている。

「リベラル『保守』宣言」という面白い本に出会った

2013-09-01 | 読書

ある新聞の書評を見て、読み始めた。

 著者は、「保守とは何か」を問う前に、「左翼とは何か?」を論じる。著者が考える左翼とは、「人間の理性によって、理想社会を作ることが可能と考える立場」と規定する。この立場には、「国家権力による富の再配分によって平等社会を目指す」という立場と、「国家権力を否定して個人お連帯で平等社会を作ろうとする」立場の二つがあるとする。

 そのうえで、保守とは、「人間の理性によって理想社会を作ることなど不可能である」と考える。かと言って、現状追認ではなく、漸進的な改革を志向するとしている。過去を見つめるとも指摘している。

 ここまで読んでいくと、一方では、社会主義・共産主義への誤解と、一方では、現状変革の思想と併存しているように思える。

 だから、著者は、橋下大阪市長の「グレイト・リセット」を否定する。

 原発についても、脱原発を進めるべきと述べている。活断層の上に生きている我々は、「安全な原発などない」と断言している。「原発事故は、」「人名を超えた壮大な価値そのものが、決定的な聴きにさらされる」「保守派にとって、これ以上の機器はありません。」と。

 「橋下徹・日本維新の会への懐疑」とひとつの章を起こして、橋下氏を批判している。このなかで、紹介している事例が、2004年の兵庫県西宮神社で行われた「福男選び:をめぐる騒動。テレビでも紹介されている新年の行事、午前6時の開門と同時に本殿まで走って、一番最初に到着した者のが「一番福」になるという行事。この年、前年に転倒して「福男」を逃した人物が、仲間を集めて、他者の進路を妨害して「福男」を獲得したもの。結局、批判を浴びて「福男」を返上したものですが、橋下氏は、「僕は『ルールをかいくぐるアイデアを搾り出すことこそ、いまの日本にとって一番必要なんじゃないか!』と思ったんだよね」「『こんな卑怯なことは許せない』みたいなことをいいたがる人は多いけど、卑怯かどうかは、個人の道徳や倫理であって、他人との関係は明確なルールのみで規律すべきなんだよ。」

 この橋下氏に対して、著者は「危険な存在」とし、「保守しそうでは、このようなラディカリズムこそ拒否」している。橋下氏の公務員が多すぎるという議論も、先進国のなかで日本の公務員は圧倒的に少ないと示している。

 この本を出版する予定だったNTT出版から、「橋下徹・日本維新の会への懐疑」という章のタイトルを変えて、橋下氏の名前と政党名を削除してほしいと言われたこと、それを受け入れなかったため、出版が中止となったこと、そのご、新潮社から声がかかって出版に至ったことが記されている。

 著者は中島岳志氏。安倍首相や石破幹事長のような、自分の頭で物事を考えない政治家とは異なり、共感できる面を提示している人だ。

  「リベラル保守」宣言 中島岳志 著 新潮社



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