徒然なるままに 平和と音楽を求めて

平和憲法のもと日本は戦争しない国として、いろんな国の国民から賞賛されてきた。この日本が戦争する国に変質しようとしている。

「名曲が語る音楽史」

2011-10-30 | 読書

「第一部 中世とルネサンス」から始まる。

このなかで、声楽に「バス」が出現したことで、安定的な終始感をもたらしたことが記されている。

現在の音楽は、明確な終止形が存在するが、かつては、それがなかったという。やがて、「カデンツ(終止形)」が登場したという。14世紀のマショーの≪ノートルダム・ミサ曲≫を引用している。しかも、以前は「バス」のパートは存在しなかったが、やがて、「コントラテノール・バッスス」となり、「バス」に。

 

「第二部 バロック」「第1章 音楽の「目覚め」-バロックにおける拍子の発見―」、ここに面白いことが書いてある。拍子とともに「強弱」の概念が生まれたこと。ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲≪夏≫ト長調の第3楽章冒頭、「ヴィヴァルディは大胆きわまりないまでに3拍子を強調している。・・だが、4小節目の3拍目で音楽は不意に途切れる。音楽はここで宙に放り投げ出された格好となり、この充足しきれない緊張感をフェルマータが増幅する」と書かれている。あらためて、聴いてみるとその通りと納得。

 

「第三部 古典派」「第2章 古典派の形式原理」で、モーツァルトの≪フィガロ≫の6重唱(第3幕第5場)で、フィガロの「結婚推進派」と「結婚阻止派」の2つの陣営の闘争が、マルチェリーナとバルトロがフィガロの実の親とわかって、この両者が推進派にまわることになるこの劇的展開点という。この6重唱曲がソナタ形式で書かれ、「提示部」「展開部」「再現部」と分析する。スザンナの逆上が展開部の始まりとも。

 

「第四部 ロマン派」では、シューベルトの≪魔王≫を取り上げている。

「第五部 現代」では、第1章でサティ、第2章で、ブルース。「共同体の喪失と個人の覚醒とともに、ブルースは発生した。時に奴隷解放から約50年が経過していた。」 文字どおり「憂鬱な音(ブルー・ノート)」という。

3章で、ボブ・ディラン。怒りのディランとして、プロテスタント・シンガーを紹介。

 

 

「アナリーゼで解き明かす 名曲が語る音楽史」

音楽之友社 

田村和紀夫 著



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。