12月7日、最高裁は、堀越さんに無罪、宇治橋さんに有罪の判決。
「管理職的」な職務かどうかで、有罪無罪という不明瞭な判決。
猿払最高裁判決の国家公務員法と人事院規則が全面一律に禁じた国家公務員の政治活動の禁止は合憲とした判決、この判決で覆ったことになる。
もっとも、最高裁判決は、国家公務員法と人事院規則は合憲としているが、堀越さんが管理職的職務でなく、公務員であることがわかるような状態で行ったものでもないなどとして、刑事罰適用に該当しないとしている。
だが、国家公務員法と人事院規則には、管理職的職務でなければ、政治活動してもよいとは書かれていない。
実質的に猿払判決の変更にあたる判決。および腰の判決だが。
<最高裁判決から>
4 結論
被告人の本件配布行為は政治的傾向を有する行為ではあることは明らかであるが,勤務時間外である休日に,国ないし職場の施設を利用せず,かつ,公務員としての地位を利用することも,公務員であることを明らかにすることもなく,しかし,無言で郵便受けに文書を配布したにとどまるものであって,被告人は,いわば,一私人,一市民として行動しているとみられるから,それは勤務外のものであると評価される。そうすると,被告人の本件配布行為からうかがわれる政治的傾向が被告人の職務の遂行に反映する機序あるいは蓋然性について合理的に説明できる結び付きは認めることができず,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるとはいえないというべきである。したがって,被告人の管理職的地位の有無,その職務の内容や権限における裁量の有無等を検討するまでもなく,被告人の本件配布行為は本件罰則規定の構成要件に該当しないというべきである。被告人を無罪とした原判決は,以上述べた理由からして,結論において相当である。
(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 竹内行夫 裁判官 須藤正彦 裁判官 小貫芳信)