2人の対談、石原慎太郎に対する考えは一致しているわけではないが、面白い。
第1章「小皇帝」石原慎太郎の本質で、斎藤貴男氏は、「石原都政というのは、差別を政治的に表現したものなのだと思います。それ以上でも、以下でもない。」「石原は一切の理屈抜きに、とにかく差別したいだけ。障害者は死んでしまえ。勉強の苦手な人間、貧乏人は生きる資格がないだとね。それを政治にしたのが石原都政なんです。」
「世の中にはボンボンなんてたくさんいるけど、みんなもうちょっとマシなんじゃないか。・・・ひとことで言うと、三歳の男の子がそのまま七十いくつになっちゃったといこと。」
「恵まれた環境に生まれた人はたくさんいますけれど、だからって、ああも露骨に他人を見下したがる人はそうそういないでしょう。腹の中では何を思っていたとしても、あまり表に出してはならないというのが人間社会のお約束でもある。しかも、戦争で財をなした家で甘やかされて育った人間が、そのことを恥もせず、彼にとっては、うちのオヤジのような人間はどこまでも兵隊というか、自分の財産を守らせるコマにしか見えていない。踏みつけるだけだ。」
吉田司氏と斎藤貴男氏の対談は、「太陽の季節」から、オリンピック招致、築地市場移転、新銀行東京、福祉切り捨てなどに及ぶ。
2009年5月21日発行 著者:斎藤貴男・吉田司 洋泉者新書