三丁目の飛行機屋

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老兵の記憶をここに ~霞ヶ浦入隊

2013年02月04日 | 老兵の記憶 父達の戦争体験
一昨年に上げた「父たちの戦争体験」記事からだいぶ経ってしまいましたが
義父の海軍航空隊時の記憶をやっと紹介させていただきます

コレは戦争の悲惨さを伝えるものでも、賞賛するものでもありません
あくまで義父の記憶を聞き、書き残すことが目的
尚、内容には戦後68年の歳月が経とうとしており
記憶違い、思い違い等が有ることも充分考えられることをご了承下さい


息子が中学の時に作った新聞です

この時70代後半だった父に聞き取りした頃は、記憶もある程度鮮明でしたが
今年で88歳となる父に記憶の真偽を追及するには酷な歳となってきました

父はこの歳でも軍隊経験者としては若輩者の部類
時は確実に流れ、歴史の生き証人は減少の一途です

息子が聞き取った時のマイクロカセットや、今回新たに聞き取った録音ファイルとの
両方から文字に残してみました


~昭和17年、17歳の父は海軍志願兵に合格
地元から紙テープと万歳に送られ列車で霞ヶ浦へ
  

入隊初日、上官から海軍霞ヶ浦航空隊入隊の祝辞と共に~
「現在、海軍ばかりではなく陸軍(特幹)でも人員がかなり不足している
  もし、陸軍に行ける者がいたら挙手せよ」と

何人かの者が手を上げたという

その後に響いた罵声!
「日本男子たるもの! 一度「志」(こころざし)を決めた事を翻すとはなにごとか!!」
と鉄拳で体が飛んだ

これが軍隊生活の始まり 

その後の日常と訓練は、連日の鉄拳とバッターの嵐が待ち構えていた事は想像にかたい
(バッターとはクリケットのバット風の棒や棍棒で尻等を殴る行為
         精神注入棒とわざわざ書かれた物も存在したようだ) 

霞ヶ浦航空隊は近くにあった土浦航空隊とは根本的に違い
土浦は沿岸部に位置しており、フロート付の水上練習機が配備され
内陸にあった霞ヶ浦は陸上機のみで、父に水上機の搭乗経験はないとのことだ

霞ヶ浦には大正13年にドイツから押収した
ツェッペリン飛行船用の巨大格納庫があったという(霞ヶ浦駐屯地HPにリンク)

  

当時空の英雄として奉られた
片翼帰還の「樫村機」が校門横に置かれていて、訓練に向かう際には敬礼して行ったそうだ
銅像か何かか?何度か聞きなおしたが実機があったということだ
(96艦戦機の樫村機は旧海軍兵学校にあったという文献もありで未確認)

飛行訓練にはすでに実用化されていたパラシュートを装備したが
あくまで訓練時のみで、配属後は捕虜を嫌い装備することはなかったそうだ


 参考画像として、以前親戚から頂いた93式練習機「あかとんぼ」と思われる写真を
 撮影場所も記念写真の人物名も不明の写真、写り込んだ左下の機体も気になる

  

霞ヶ浦では阿見村の「山崎」さん方に下宿、近くには桜並木があり芋を焼いている店があった
皆で食べた記憶があるそうだ (旧海軍道路の並木と思われる)

霞ヶ浦の訓練後は仮入隊で羽田飛行場へ
そこには昭和12年、日本とロンドン間飛行を成し遂げた
朝日新聞の神風号が格納庫にあった
(航空ファン誌 2011年8月号に「神風」に関する記事があり
 昭和14年に台湾付近で海上に不時着大破、後日分解引き上げとある
 その後は日本に送り返す指示があったようだが行方不明
 羽田にあった機体は姉妹機の「幸風」、「朝風」、または複元機
 それともその行方不明だった機体なのかは謎だ) 


蒲田には美味い芋羊羹(ヨウカン)屋があったそうだ
時代背景か年齢か、食べる事が楽しみだったようだ(笑)

その後 父は、羽田から木更津 → 豊橋と移動
木更津は「鬼の木更津」と海軍では言われており
連日連夜のバッターによるシゴキに耐えなければならなかった
しかし豊橋はそれを上回る「地獄の豊橋」
バッター棒は木から金属棒にとって代わったそうだ

豊橋から厚木に移動し
昭和20年1月、台湾での機体不足解消の為
可動「銀河」全機を台湾に進出させる隊編成が行なわれ
いよいよ部隊に配属、前線に向かうこととなった
  
                              (息子の新聞イラストより)

                                       ~つづく


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