詩人PIKKIのひとこと日記&詩

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詩と辛らつ日記を・・

書評『モーターサイクル南米旅行日記』チェ・ゲバラ著 革命家となった医学生…ゲバラの夢は今もつづく

2020年07月29日 | 政治
http://com21.jp/archives/35372
 革命家ゲバラが世界に目覚めた貴重な青春と旅の記録。

 南米アルゼンチンで富裕な資産家の父をもつ23歳の医学生だったゲバラ。1952年、友人のA・グラナードとおんぼろバイクで南米縦断の旅に出る。持病の喘息に苦しみながらも、途中恋人と再会したり、人妻に誘われる騒動に巻き込まれたりと、若さとバカさいっぱいの青年の旅を続けるが、次第に彼らの旅は別の色彩を帯びてくる…。
『モーターサイクル南米旅行日記』チェ・ゲバラ著

 ゲバラは南米のいたる所で多くの貧しい人々と出会い、土地を奪い家を焼き払う外国資本を目の当たりにし、強い怒りを感じる。

 マチュピチュでは、堂々たるインカ遺跡に失われた南米の文明に触れる。

 アマゾン奥地のハンセン病隔離施設で一時働いたゲバラとアルベルトは、患者たちと心のつながりを深め、宗教の無力も感じる。

 この地でゲバラは24歳の誕生日を迎え、その祝宴で「旅を通してより強く確信しました。南米は、みせかけだけの国境というもので分けられているが(中略)似通っているひとつの混血民族です。ちっぽけな地方主義の重荷など捨てて、ひとつの南米に乾杯を!」と語るまでになる。

 この著は大部であり、全容をつかむには映画〈モーターサイクルダイアリーズ〉があるので、それを初めに見るといいかも知れない。

 この著のしおりには〈しばし伴走した友との記録〉とある。

 そうだ。ゲバラと旅を伴にしたA・グラナード。
 ゲバラと旅の終わりで別れを告げたグラナードは、数年後革命直後のキューバに迎えられ、友と誓った民衆と連帯する医療と言う夢を追って、同国に医科大学を創立する。

 そこから多くの心ある医学生を世に送りだし、友との誓いに報いた。
 その医学生の一人こそ…ゲバラの長女アレイダゲバラさんだ。
 …輪廻は巡る。

ゲバラの娘アレイダさんの語る『連帯』の重い意味 「命をビジネスにしてはならない」

2020年07月29日 | 政治
各人のかけがいのない芯で結ばれてこその<連帯>
それが世界に必要!
アレイダ・ゲバラさん大阪講演(2011)
http://com21.jp/archives/35345
 キューバ革命の指導者チェ・ゲバラの娘で、キューバ親善大使・小児科医師でもあるアレイダ・ゲバラさんは、2011年8月に東日本大震災を受けて来日し、被災地を歴訪した。
 旧ソ連チェルノブイリ原発被災で世界最多の医師団を派遣した〈医療大国〉キューバならではの視察だったが、日本政府はこの申し出を無視し続けた。無論、米国を恐れてだった。
 この時、筆者はアレイダさんの大阪での講演会(上写真)に取材し「人の命と健康はビジネスの対象であってはならない」と熱く訴える同氏から、〈連帯〉の真の意味を語って頂いた貴重な経験を持つ。(関西M)
アレイダさん「ゲバラを父として」

 この時、アレイダさんは被災地について「お金は助けになるが、大切なのは人間の温かみ。被災者に〈連帯〉する必要がある」と、チェ・ゲバラの〈連帯〉思想と関連して話した。

「命と健康はビジネスの対象であってはならない。自分は、父の膨大な著書と父の親友たるグラナード博士などから最大の教育を受けたと思うが、お金儲けのためではなく、人の役に立つ医者として教育された。病気は治療するより予防が重要で患者の痛みに寄り添うこと」と強調し会場は拍手に沸いた。

「革命以前キューバは国内医療がほとんど皆無だった。医師は人口500万人に対しわずか6000人しかおらず、それは全て米国の支配によるものだ。だから父たち革命政府は、緊急課題として医療無償化に取り組んだ。
ひとりの痛みはみんなの痛み

 健康もまた人間の権利だし、人の命は売買できない聖なる領域だ。
 現在キューバは、さまざまな国に数万人規模で医師や米国の先住民が住む地域には教師を派遣するなど人道的な派遣をしているが、米国中心の国際社会からは「罰」を受けている。苦しいが決して屈しない」と決意を表した。

 筆者の〈連帯〉機関紙の名刺に彼女は、「〈連帯〉…Solidarity?ワレサの影響?」と関心を見せ「この国に〈連帯〉を名乗ってくれる組織があって本当に嬉しい。でも、各人があり余ったもので交わる慈善とか気まぐれにチャリティとかで繋がるのは〈連帯〉とは呼べない。各人のかけがえない芯の部分で結ばれてこその〈連帯〉だと、常にお仲間と確かめ合って欲しい」と抱きすくめてくれた。

 10年近く経った今もその言葉がよみがえる。

【アレイダ・ゲバラ】
医師であり、キューバ革命を成功に導いたエルネスト・チェ・ゲバラの娘。ゲバラは1955年7月、貧しい人を救いたいと南米を旅している最中、カストロと出会い、彼と共に1965年、28歳の若さで革命に乗り出し、キューバの独裁軍事政権を打倒、キューバを独立へと導いた。 アレイダ氏自らも医者の道に進み、南米やアフリカの貧しい子供達への医療活動を精力的に行っている。 キューバ親善大使として活動するアレイダ氏は「チェ・ゲバラの娘」としてだけでなく、アレイダ・ゲバラとして世界各国の多くの人たちを惹きつけている。 世界の医療問題を取り上げたマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」にも出演。

映像メディアの構造変化 新聞のデジタル化がメディアを根底から変えつつある

2020年07月29日 | 政治
https://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/  TVの世界はYouTuberによってその優位性を揺り動かされつつあるが、同時に新聞のデジタル化もさらに既存のTVに揺さぶりをかけている。今までの活字と映像という棲み分けは失われ、新聞がTVを侵食しているとも言える。その1つの例が、以下のリンクの映像だ。日本でも新聞社が記者会見やイベントなどを中継したり映像をYouTubeなどにUPしたりしていたが、この映像を見た時、明らかにデジタル新聞が新しい未来を展開したのだと感じた。

https://www.theguardian.com/commentisfree/video/2020/jul/17/beyond-the-culture-wars-with-owen-jones-slavery-statues-and-racism

  話しているのは英国の30代のジャーナリスト、オーウェン・ジョーンズ(Owen Jones)。ガーディアのジャーナリストだ。ガーディアンがデジタル化しているおかげで、映像による取材活動をまとめてUPしている。テーマは最近、大きな話題になっているBlack Lives Matter 。つまり黒人に対する人種差別の問題や植民地主義についてである。奴隷制度で財を成した指導者たちの像が川に沈められたりしている。そうした事件について、オーウェン・ジョーンズが街の人々に質問を投げかけ、返ってくる答えを引き出している。特筆することはカメラマンが同行して、街での取材映像として「記事」に仕上げていることである。すでに彼は数分から20分程度まで多数のインタビューをガーディアンにUPしているのだ。これはこれまでの新聞の常識=新聞は活字メディアを一歩越えている。

  もし新聞がデジタル化されれば、映像が「記事」になってUPされたとしてもまったく違和感がないばかりか、デジタル版でしかできない売りになる。それは今日、TVが政治的な忖度や過去の常識に縛られ、テロップの形式やら、編集方法などで縛られている間隙をついて、デジタル新聞版が映像メディアとして大きく発展していく可能性が出ているということだろう。

  そもそも映画が始まった初期にアレクサンドル・アストリュックという映像理論家はカメラ(動画)がいつかは万年筆となる日が来ると予言していた。それは今日である。今、メディアで起きているこのような変化がそうだ。これまでTVメディアで働いてきたジャーナリストやディレクターたちにとっても、デジタル化された新聞や雑誌という、放送局以外のメディアに新たな参入の可能性が生まれてきたことをも意味しているだろう。こうした新聞のデジタル版のTVに対する最大の強みは映像の編集が何分何秒にまとめなくてはならないという時間的制約に縛られないことである。これがデジタル新聞の臨機応変な取材を可能にしているのだ。おそらくは映像を生かしつつも、活字も並行してデジタル新聞はコンテンツを築いていくことになるだろう。新聞のデジタル版は、もはや単なる新聞の非紙媒体ではない。まったく新しいメディアが生まれたと思った方がよい。

  オーウェン・ジョーンズはガーディアン以外でも取材活動を行っている。たとえば今年2月に行った香港の民主主義のアクティビスト、ジョシュア・ウォン (黄之鋒、Joshua Wong)へのインタビューだ。それ以外にもオーウェン・ジョーンズは様々な新聞媒体を中心に、記事も書けば、映像インタビューもしているようである。

村上良太( MURAKAMI Ryota) の記事一覧へ

コロナ災害は医療制度改革による「人災」だ/武峪真樹(ジグザク会) 直ちに撤回し、ベッド数・検査体制の拡充を!

2020年07月29日 | 政治
http://com21.jp/archives/35540 庶民医療を切り捨て、病院数は半減以下に
改革と言う名の改悪
―これが新自由主義者の目論む医療の未来だ!
入院のイメージ写真
民営化に並行し断行された医療制度改革
小泉純一郎

  2003年、「聖域なき構造改革」を掲げて総選挙に圧勝した自民党小泉内閣は、それまでにも中曽根政権や橋本政権などによって進められてきた公共サービスの民営化をさらに一層推し進め、郵政、道路公団、各種の金融公庫などを次々に民営化していった。この「構造改革」の一環として、医療制度改革も並行して推し進めていった。

 その具体的内容は、「給付と負担の公平化」「医療費適正化」などの美名の下に、入院の必要な患者に入院日数削減を強制し、在宅医療・介護へと切り替えさせるものであり、また点数制度を導入して医師の診療報酬を削減、病院勤務にも成果給を導入し、医療従事者の負担を増加するものである。またこれまでの保健医療を見直し、保険料を3割負担へと引き上げることとなった。
医療制度改革は高齢者切り捨て政策だ!
安倍

 2006年9月、小泉政権を引き継いだ第一次安倍内閣は、この医療制度改革を推し進め、保険料の見直しを進めてきた。

 2006年と言えば、1947~9年に生まれた団塊の世代が60歳定年に近づき、年金給付と高齢者医療の増加が予測された。この時すでに医療費負担が増加の一途をたどっていた。

 厚労省は前年の年金制度改革、介護制度改革に続いてこの年5月には医療制度改革についての「基本的考え方」を社保審医療保険部会に示していた。それによれば「医療費適正化計画」に基づいて5カ年計画で医療費負担の大幅削減を目指している。

 中・長期の対策によって団塊世代が高齢化のピークを迎える2025年時点で、総額11%、医療給付費の6・5兆円削減、医療費ベースでは7・7兆円の削減が可能と推定されるとしている。

 つまり厚労省は、老齢者が増え老人医療の充実化がますます必要となりつつある時に、それに逆行する「削減計画」をぶち上げたのだ!

 さらに驚くべきことには、2008年から新しく「後期高齢者医療制度」が始まり、75歳以上の高齢者は個人単位で保険料の支払いをしなければならなくなってしまった。また、健康保険料率も、介護保険料率も少しずつ引き上げられている。ベッド数20万床削減を目指してきた政府
ベッド数20万床削減を目指してきた政府

 公営企業の民営化、年金制度改革、医療制度改革は一体のものである。

 「福祉目的」と称して消費税を引き上げながら、その増収で得た資金の年金・医療事業への投入を削り続け、個人・民間に負担を押し付けているのがこの10年以上にわたって続けられている自民党の政策である。その結果、市民の生活水準はますます切り詰められて行く。

 医療においては、地域医療の縮小、病院経営の 統廃合が全国的に進められている。地域医療の縮小、病院経営の 統廃合

 2008年と2018年とを比較すると、数の上ではベッド数20床以上が条件となる病院の数が減り、19床以下しかない一般診療所が増えている。その結果、この10年間でベッド数は176万4871床から164万8657床へと11万6214床も減っている(厚労省発表)。

 まだ新型コロナウイルス感染が発生する前の昨年10月28日、政府は経済財政諮問会議を開き、社会保障制度改革について議論した。
全国のベッド数を2025年までに13万床削減全国のベッド数を2025年までに13万床削減

 その中では何と! 全国のベッド数を2025年までに13万床削減することが提言されている。それどころか5年前の2015年には、20万床を削減し30~34万人を自宅や介護施設での治療に切り替えることが、「目標」とされていたのだ。
すでに事実上の「医療崩壊」が始まっている
医療崩壊
 このような時に、新型コロナウイルス感染が始まったのだ。大きな病院を削減し小さな診療所ばかりにしたために検査体制が整わなくなり、検査技師も検査施設も不足してしまった。

 そのために全国でどれだけ感染が広がっているのかを把握することができなくなる事態に陥った。また、病床数がギリギリの数に減らされてしまったために入院治療も制限せざるを得ず、それもあって検査数を制限しなければならなくなった。

 その結果、数字には表れていないが「新型コロナの感染者」と見なされ自宅隔離とされている感染者が、実は東京を中心にたくさん存在していると推定されている。日本の新型コロナ対策は今、このような麻痺状態にあるのだ。事実上の「医療崩壊」である。

 4月15日、厚労省クラスター対策班は、適切な対策を取らなければ大規模な感染の広がりが起こるとの予想を発表した。しかし政府は「検査数を増やせば医療崩壊に陥ってしまう」と悲鳴を上げている。
 誰のせいでそうなったのか! 

 新型コロナ感染に対応できない今の日本の医療体制は、小泉改革以来連綿と続けられてきた医療体制の削減に原因がある。これは「人災」である。
市民生活安定と医療体制の回復が必要だ!
医療負担の増加 http://com21.jp/archives/35540

 安倍政権はこの緊急時に「法制」としての緊急事態宣言を発令するだけで、市民生活に対してはほとんど何の効果的方策も実行していない。

 緊急事態へ向けて外出を制止すれば市民生活が行き詰まるのは当然である。また検査・治療の体制も全く実情に追いついていない。
 今やらなければならないのは、何よりも大型予算の投入で市民の生活の安定に向けて速やかな経済的対処をすると共に、検査・治療体制を拡充することである。

 医療制度改革を直ちに撤回せよ!
 削減されてきた十数万の医療ベッド数を大至急回復させ、検査・入院・治療体制を確立せよ!【武峪真樹/ジグザク会(4月15日記)】

国会報国】辺野古新基地建設の環境保全措置と海草藻場/伊波洋一

2020年07月29日 | 政治
国による辺野古新基地建設工事は、公有水面埋立法違反
沖縄県の公有水面埋立承認撤回を支持し、国の埋立工事断念を勝ち取ろう
(本記事は 紙面の関係で電子版のみの掲載となっています)
はじめに http://com21.jp/archives/30188
伊波洋一さん

 沖縄県は7 月31 日、辺野古新基地建設にかかる公有水面埋立承認の撤回に向けて、事業者である沖縄防衛局に、聴聞の開催を通知し、8月9 日聴聞を開催しました。

 沖縄県は聴聞通知書の「不利益処分の原因となる事実」において、
 「飛行場周辺の安全確保を目的とする米国統一基準に国立沖縄高専や久辺小・中学校を含む高さ制限に違反すること、辺野古新基地とは別に固定翼機が利用できる滑走路が確保されなければ普天間基地が返還されない可能性があること、などの公有水面埋立法第4条第1項第1号「国土利用上適正且合理的ナルコト」違反。
 同時に、埋立予定区域の軟弱地盤や活断層の存在は、法第4条第1項第2号「災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」の違反でもあること。
 サンゴ類、ジュゴン、海藻草類に関する環境保全措置の未実施、特にサンゴ類を事業実施前に移植・移築せずに工事に着手したことは、法第4条第1項第2号「環境保全ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」に違反する」などを指摘しています。

 私、伊波洋一は、辺野古新基地は、新たな米軍基地であり、戦争を招き入れ、県民の生命財産を犠牲にするばかりか、人類共通の財産である貴重な自然環境を破壊するものとして、強く反対してきました。今年(2018 年)の5 月24日、29 日、6 月5 日、12 日、19 日、28 日の6回にわたり、通常国会の参議院外交防衛委員会において、辺野古新基地建設問題を取り上げました。

 質疑では、新基地建設工事に関して、防衛省・沖縄防衛局が、公有水面埋立承認に際して求められた環境保全措置、中でも海草藻場の移植を実施しないことを明らかにしました。その詳細は、私のホームページの「国政報告」欄において、議事録、資料、録画ビデオ等で見ることができます。公有水面埋立法や環境影響評価法などの法令を無視して新基地建設を強行する日本政府を強く批判するとともに、撤回に向けて準備を進める沖縄県に対して、海草藻場に関連する情報提供も行なってきました。

 生物学者で「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」を辞任された、前の副委員長の東清二先生は、8 月11 日に7 万人が参加して開催された「辺野古新基地建設断念を求める8・11 県民大会」に寄せたメッセージの中で、「辺野古、大浦湾の環境は優れています。特に藻場はすごい。あんなに広い藻場は他にないです。それを埋め立てるのは自然破壊そのものです。」とおっしゃっています。
【琉球新報「辺野古埋め立ては自然破壊」 東清二琉球大名誉教授メッセージ全文 8・11県民大会(2018 年8 月11 日 22:14)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-780624.html

 国は、環境影響評価書において、「海草藻場の生育範囲の拡大域」(=移植先)を指定し、海草類の移植を実施するとしながら、実際の工事においては何もしていないのです。
 辺野古新基地建設反対を公約に掲げ、一身を捧げて取り組んでこられた翁長雄志知事は、8月8 日に逝去されました。「基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因」という信念のもと、辺野古新基地建設反対に命を削るなかでの早すぎる永眠でした。翁長知事の遺志を引き継ぎ、県の公有水面埋立承認の撤回を支持し、今後想定される県と国との法廷闘争を含め、結束して県を支えるとともに、県民の民意を全国に広げて辺野古新基地建設断念を勝ち取りましょう。
辺野古建設計画とは

辺野古埋立地域 現在、日本の国土面積約0.6%の沖縄県に、特に沖縄本島の中北部に集中して、日本全体の約70.6%もの米軍基地が配備されています。沖縄戦直後から米軍統治下にかけて、住民が収容所に隔離されている間に無断で集落や畑がつぶされ、あるいは、戦後に住民が生活していた土地までも米軍による「銃剣とブルドーザー」で、強制的に住宅地や田畑が接収されるなどして、米軍基地が建設されました。このような行為は占領下の住民の財産没収を禁じた戦時国際法に反するものです。

 沖縄県民は、このような米軍占領下の基地のための土地強制没収や、地域住民の人権を侵害する米軍の統治に対し、日本国憲法下への復帰運動に取り組み、自治の回復と行政主席公選制の実現(1968 年)、国政参加選挙(1970 年)を経て、1972 年5 月15 日の沖縄施政権返還を実現させました。しかし、沖縄県民が求めた米軍基地の即時無条件返還は実現されず、「核抜き本土並み返還」とされ、多くの基地が残り、その水準は全国の75%を超えるものでした。

 1972 年の日本への施政権返還以降も、日米両政府は、ほとんど沖縄の基地負担軽減に取り組んできませんでした。しかし、1995 年9 月、米海兵隊員らによる当時11 歳の少女暴行事件をきっかけに、基地反対運動が全県的に巻き起こると、日米政府は、はじめて負担軽減措置に向けて協議を開始しました。こうして1996 年、11 施設の返還を内容とする「SACO 合意」が成立しました。その一つが、沖縄戦に続く占領と同時に米軍が宜野湾村(当時)の中央部の集落を強制接収して建設した、普天間基地の全面返還計画でした。

 SACO 合意では当初、北部沿岸に「撤去可能な海上ヘリポート基地」を建設することが日米両政府で合意されました(「辺野古海上案」)。
 しかし、辺野古海上案は県民の強い抗議により頓挫し、その後、2006 年5 月の日米2+2 協議で県民の頭越しに承認された『再編実施のための日米のロードマップ』では、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てて、代替施設を建設することとなりました。しかし、県民の土地を不法に取り上げておいて、立ち退くにあたり「代替施設」の用意を求めるというのは、到底受け入れられるものではありません。さらに計画では、普天間基地にはなかった弾薬庫機能や艦船の接岸する軍港機能などが新たに拡充整備されることが判明し、「代替施設」ではなく実質的な「新基地」だと批判が高まりました。こうしたことも県民が反対する理由となっています。

翁長雄志さん歴史的圧勝 2010 年に「日米合意の見直しと基地の県外移設」を掲げて再選した仲井眞・前知事は、結局、13 年12 月に、増額された沖縄振興予算と引き替えに、国の公有水面埋立申請を県民の反対を押し切って承認しました。ただし、承認の条件として、5 項目の「留意事項」が付されました。
 2014 年11 月の県知事選挙では、新たに「ウチナーンチュの誇りと尊厳」を訴え、辺野古新基地建設反対を公約して当選した翁長雄志知事は、仲井眞前知事の埋立承認を検証し、承認には公有水面埋立法に違反する瑕疵があるとの第三者委員会の答申を得て、承認を取り消しました。しかし、国が提起した「承認取消の違法確認訴訟」の不当な高裁・最高裁判決により、敗訴しました。その間、2015 年3 月に沖縄防衛局はボーリング調査を開始し、2017 年4 月に護岸工事に着手し、土砂投入を今年の8 月17 日と通告し現在に至っています。
海草藻場の移植について

 「辺野古地先」は、嘉陽(かよう)を含む周辺海域で、最大の海草藻場です。年間生育量は、乾燥重量に換算して、嘉陽が約9.5 トン、辺野古地先は75.9トンにのぼり、辺野古地先の海草が周辺海域全体の8 割という高い被度を有しています。

 当初は大浦湾側(北側の埋立予定区域)から埋立工事を実施する予定でしたが、ボーリング調査結果から、大浦湾側の海底に軟弱地盤があることが判明しました。工事の設計変更は避けられませんが、未だに実施設計のめどが立っていません。そこで防衛局は辺野古地先側から護岸建設を進め、6 月末に県赤土流出等防止条例に基づく県の形式審査を経て、8 月17 日に土砂を投入することを通知していました。

 公有水面埋立法では、法第4条第1項第2号において、埋立事業が「環境保全ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」を求めており、埋立承認申請に当たり事業者は環境アセスメントを実施し、「環境保全に関し講じる措置を記載した図書(環境保全図書)」を添付しなければなりません。防衛省の環境保全図書では、「代替施設の位置については、海草類の生育する藻場の消失を少なくできるように計画しています。」(環境保全図書6-15-226、6-19-1-156、7-8、9-14、9-19、9-26 など)としながら、実際には最大限に海草藻場を埋め立てる計画になっています。

 沖縄防衛局が当初提出していた環境影響評価書には、海草藻場の移植について言及がありませんでした。評価書に対する知事意見(H24年3 月27 日)などにおいて、海草藻場の重要性が強く指摘されため、沖縄防衛局は後述する「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価に関する有識者研究会」を設置し、報告を求めました。H24 年12 月11 日に提出された有識者研究会の最終報告は、環境保全措置として海草藻場の移植を求めるものでした。これを受けて補正後の環境影響評価書には、海草藻場の移植が書き加えられています。
 公有水面埋立承認申請時に、環境保全図書で約束した環境保全措置を実施しないことは、埋立承認に添付された留意事項第2 項に違反し、法第4条第1項第2号に違反する行為であり、許されません。
防衛省の主張

防衛省の二枚舌と詭弁 これに対し、防衛省は、このまま海草藻場の移植なしで埋め立てることも保全図書に反しないと主張しています。防衛省は、その理由として、以下のように答弁しています。

 海草藻場移植が求められるのは「施設等の存在・供用」段階であり、現在は、「工事の実施」段階だから、移植は求められていない。「工事の実施」段階において移植が検討される「『周辺海域』については、『代替施設の周辺海域』のことを指すもとして整理しており、埋立区域については、代替施設が建設される区域であることから、この場合の『周辺海域』には該当しないものと考えている。」と説明しています。
 よって、移植を行うことなく、土砂を投入して海草藻場の埋め立てを行っても、環境保全図書には違反しない。なお、「施設等の存在」とは「飛行場及びその施設の存在」のことだから、海草藻場の移植は新基地が完成した後に検討する、などです。

 沖縄県は平成29 年2 月22 日付けで提出した事前協議文書で、「貴局(伊波注:沖縄防衛局)は、藻場の造成は、『当該工事の実施に先立ち講じる措置ではない』とするが、埋立によって海草藻場が消失するのであるから、工事の実施前に行わなければ、移植する海藻類が無くなり、移植することができないことになる。」と指摘しました。これに対し、防衛局は、上記の解釈を前提に、平成29 年4 月14 日付け文書で、「貴県知事より承認を受けた願書に添付されている環境保全図書の記載内容の変更を求めていることに等しい」と県を愚弄するような強い文言で回答しています。

 つまり、防衛省は、
(1)新基地建設の現段階は「工事の実施」段階であって、「施設等の存在・供用」段階に記載されている海草藻場の移植を実施する必要はない、
(2)海草藻場の移植は埋立工事後、飛行場の完成後に実施すれば良い、
(3)「工事の実施」において生育分布状況に悪影響を与えてはならない「周辺海域の海草藻場」の「周辺海域とは代替施設周辺海域のこと」だから、埋立予定区域内の海草藻場に土砂を投入(「埋め殺し」)しても構わない、と主張しているのです。
防衛省の主張のおかしさ

(1)「影響要因の区分」は環境保全措置のタイミングの問題ではない。

防衛省が引用する「工事の実施」と「施設の存在・供用」は、環境影響評価法に関する環境庁告示第87 号(平成9 年12 月12 日)の「影響要因の区分」についての用語です。
https://www.env.go.jp/policy/assess/2-2law/pdf/shikou_13.pdf

ジュゴン sabe the dugon 環境影響評価(環境アセスメント)とは、「環境に大きな影響を及ぼすおそれがある事業について、その事業の実施に当たり、あらかじめその事業の環境への影響を調査、予測、評価し、その結果に基づき、その事業について適正な環境配慮を行うこと」とされています。
 この環境影響を与える側としての行為が「影響要因」です。「環境影響評価法に基づく基本的事項においては、影響要因は、事業としての土地又は工作物が完成するまでの工事と、工事完了後の土地又は工作物の存在・供用の2つに区分され、それぞれにおいて環境に影響を及ぼし得る要因を細区分として抽出できるようになっている。」と説明されています。
【環境省環境影響評価支援ネットワーク「環境アセスメント用語集」
http://www.env.go.jp/policy/assess/6term/k.html

 防衛省は、海草藻場移植が求められるのは「施設等の存在・供用」段階であり、現在は、「工事の実施」段階だから、移植は求められていない、と言います。しかし、「影響要因の区分」は、単に影響を受ける「環境要素」を抽出するためのフレームワークであって、保全措置を実施するタイミングを規定したものではありません。保全措置は、環境アセスの趣旨から当然、最善のタイミングで実施することが求められています。

 私の質問に対して環境省(米谷仁 大臣官房政策立案総括審議官(当時))は、「環境アセスメント制度は、事業者自らが事業が及ぼすおそれのある環境影響を調査、予測、評価し、事業者にとって実行可能な範囲で環境への影響をできる限り回避し低減することを目的とした制度でございます。」「環境保全措置の実施時期につきましては、環境影響の回避、低減を図る観点から、影響を及ぼすおそれのある環境要素や環境保全措置の効果を踏まえ、環境要因の区分を問わず事業者が適切に判断することとされているところでございます。」と答弁しています(2018 年6 月28 日参議院外交防衛委員会)。

 事業者には、「工事の実施」や「施設の存在」などの「影響要因の区分」を保全措置実施の先送りの言い訳に使うことなく、保全措置を実施することが求められているのです。
【2018 年6月28 日参議院外交防衛員会
 http://ihayoichi.jp/report/record/714/
 http://www.env.go.jp/policy/assess/2-2law/3.html
 のうち別表
 http://www.env.go.jp/policy/assess/2-2law/3/kihon.pdf

(2)有識者研究会は、評価書の補正で、土砂投入前の移植を書き加えている。

 「海草藻場の移植」は、平成24 年3 月以前の「補正前の環境影響評価書」には記述されていませんでした。しかし、平成24 年2 月、3月の知事意見などを踏まえた防衛局の「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価に関する有識者研究会」が、平成24 年12 月11 日に最終報告、「評価書の補正に係る提言」を公表します。これを受けて、平成24 年12 月18 日に送付された「補正後の環境影響評価書」には、環境保全措置の「工事の実施」「施設等の存在」の項目それぞれに、「海草藻場の移植」が加えられました。

 この中で、「移植手法等の検討に当たっては、中城湾港(泡瀬地区)や水産庁で実施された実績を参考とし、移植先における海草類の生育状況等のモニタリングを実施し、その結果を反映させる。」(24 ページ)として、埋め立て土砂投入「前」に移植を実施した中城湾港(泡瀬地区)などを参考として、海草藻場の移植を実施するよう求めています。

 環境保全図書に規定された移植は、保全図書がベースとする環境影響評価書が有識者研究会最終報告で補正された経緯から、土砂投入「前」に、埋め立て区域に存在する海草藻場を移植することを意味していることは明らかです。防衛省は独自の恣意的な解釈を強行するのをやめ、環境保全措置を実施すべきです。
【普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価に関する有識者研究会 報告書等
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/
futenma/houkoku/houkoku.html
最終報告
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/
futenma/houkoku/saisyuu/saisyuu01.pdf
補正意見
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/
futenma/houkoku/sankou/sankou09.pdf

(3)「周辺海域」も色々な使用・用語法がある。

防衛省は「工事の実施」段階において移植が検討される「『周辺海域』については、『代替施設の周辺海域』のことを指すものとして整理しており、埋立区域については、代替施設が建設される区域であることから、この場合の『周辺海域』には該当しないものと考えている。」と定義を説明しています。
 しかし、環境保全図書では、埋立区域も含む「事業実施区域周辺海域」「施工区域周辺海域」、「代替施設周辺海域」や単なる「周辺海域」などが使われています。修飾語のない「周辺海域」を「代替施設の周辺海域」と定義するのは、防衛省の独自の解釈であり、無理があります。(環境保全図書6-7-237、6-9-56、6-9-62 など。)
まとめ

治安弾圧を阻止しよう 防衛省・沖縄防衛局が、(補正後の)環境影響評価書、環境保全図書で義務づけられた海草藻場の移植を実施せずに埋立工事、土砂投入(「埋め殺し」)を行うことは、環境アセスメント制度を踏みにじり、公有水面埋立法第4条第1項第2号「環境保全ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」に違反するものです。

 仮に防衛局の論理に基づけば、「施設等の存在・供用」、すなわち飛行場の完成後に海草藻場の移植が検討されることになります。つまり、海草藻場は、工事が着手された2017 年から、軟弱地盤の問題などを除き当初の計画通り工事が順調に進捗したとして、米太平洋軍が飛行場の完成を見込む2025 年以降において、初めて移植が行われることになります。海洋生物の「生命のゆりかご」であり、特にジュゴンの餌場である海草藻場は、工事着手から8 年以上もの間、確実に辺野古・大浦湾周辺海域から消失することになります。

 防衛省・沖縄防衛局は、環境アセスメント制度の基本的な趣旨や概念を、開発事業者である自己に都合のよいように歪曲しています。また自らが設置した有識者研究会の意見を無視するとともに、工事の強行に合わせるように言葉の定義や解釈を変更して、辺野古の埋め立てを正当化しています。このような暴挙は、決して許してはなりません。

 報道などによれば、県の公有水面埋立承認撤回に対して、沖縄防衛局は国交大臣に行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止の申し立てを行い、同大臣から速やかに執行停止の決定を得て、一週間程度での工事再開を目指している、といわれています。
 沖縄県は、「代替施設の存在に係る海草藻場は、工事中に消失していくものであるから、現時点で、埋立区域内の海藻草類の移植を含めた環境保全措置を行う必要がある」と、撤回理由の一つとして海草藻場の移植が実施されない(埋め殺しされる)ことを挙げています。

 私は、このことは非常に重要であると考えています。なぜなら、想定される国による執行停止申立において、仮に、裁判所が執行停止を認め、土砂投入を容認するようなことがあれば、すなわち回復困難な環境破壊である海草藻場の「埋め殺し」に裁判所が直接にゴーサインを出すことを意味するからです。司法に幻想を抱くことは禁物ですが、海草藻場の問題は、裁判所が辺野古新基地による環境破壊をどのように判断するかという、極めて核心的な論点であると言えます。

 翁長知事は生前、ご親族に「ウチナーンチュが心を一つに闘う時は、お前が想像するよりもはるかに大きな力になる」と語っていました。今こそ、翁長雄志知事の遺志を引き継ぎ、心を一つにして、ウチナーンチュの誇りと尊厳を示そうではありませんか。

ーーー
【補足1】
翁長知事の埋め立て撤回表明を報じる琉球新報号外 沖縄県は、翁長知事の急逝した翌日の8 月9 日に、予定通り承認撤回にかかる沖縄防衛局からの聴聞を、県総務部行政管理課長が中立の立場で実施しました。そして、沖縄防衛局の主張について理由があるかどうかを報告書にとりまとめました。報告書では、県が撤回の原因とした18 項目の事実について、3 項目で国の反論を採用しましたが、環境保全対策など残り15 項目で防衛局の主張に理由がないと結論づけました。これを受け、翁長知事の逝去に伴い職務代理を務める富川盛武副知事、撤回に関する権限を委任された謝花喜一郎副知事は、弁護士との法的な調整を経て、2018 年8月31 日、沖縄県として聴聞の報告書に基づき撤回する旨の「公有水面埋立承認取消通知書」を沖縄防衛局に対し発出しました。

【補足2】
玉城デニー知事就任記者会見 翁長知事の急逝に伴い、沖縄県知事選挙は9 月30 日に繰り上げ実施され、「辺野古新基地建設反対」「翁長雄前知事の遺志を継ぐ」ことを訴えた玉城デニー前衆議院議員が、自民党・公明党・維新の会・希望の党が推薦する辺野古容認の対立候補に、8 万票の大差を付けて当選しました。10月12 日に早速、総理官邸を訪れた玉城デニー新知事は安倍総理と菅官房長官に、「辺野古新基地建設に反対する。早急に話し合いの場を設けてほしい」と訴えましたが、安倍首相は「(移設を)進めてきた政府の立場は変わらない」という回答を繰り返すだけでした。

<社説>新知事に玉城氏 新基地反対の民意示した(2018 年10 月1 日 06:01)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-811370.html

「新基地反対が民意」 玉城知事、安倍首相と初会談 政府、移設推進変えず(2018 年10 月13日 10:08)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-818028.html

ーーー
【参考】
沖縄県「知事公室辺野古新基地建設問題対策課」HP
http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/

動画「辺野古の藻場を見殺しにするな!伊波洋一参議院議員に聞く」
2018 年7月12 日インタビュー
*短縮編(7分)

*解説編(15 分)

※本記事は電子版のみの掲載となります。

(「コモンズ」124号の目次にもどる)

世に倦む日日 ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃

2020年07月29日 | 政治
ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃
_c0315619_15465783.png 中島みゆきの「浅い眠り」をツィッターに上げたのが4月25日。その1か月ほど前から不眠症を患って、3か月ほど難儀する状態が続いた。今は一時期より改善したが、まだ元には戻っていない。急に夜中に目が覚めてそのまま朝まで寝られなくなり、二度目の眠りも朝5時前に起きてしまうという症状になった。一日の睡眠時間を3時間以上取ることができない。何日経っても治らず、不眠症とか睡眠障害という病気が自分の身に起きたことを認めざるを得なくなり、そこから回復を図ろうと藻掻く日常を送らざるを得なくなった。 そうなってしまうと、消灯して布団に入ることが恐怖になり、ますます心理的な強迫の虜になって悪循環に陥ってしまう。精神的に不安定になる。不眠症の厳しさというものを初めて経験した。後頭部が常にギリギリ締め上げられて痛み、その状態から解放されず脱出できない。文章を読むことができず、思考することができない。大脳の機能をよく使えない。脳が壊れる不安に苛まれながら、4月から5月のブログを更新していた。


ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃_c0315619_15162807.png26日のNHKスペシャルで、第1波で患者を受け入れた平成立石病院のケースが取材され、コロナの対応に当たった医療従事者の疲弊が紹介されていた。その中で、次のような看護師の証言があった。「自分が院内感染を引きおこすきっかけになったらどうしようと、家に帰ってもずっと不安だったり、夜中に起きちゃったり、(いつ終わるんだろうと)絶望的な感じでした」。病院が看護師に行ったアンケートの集計では、167人中、不眠や頭痛など心身の不調を訴えた者が58.7%に上っていて、勤務できなくなったり、家族の反対で退職する者が出ていた。看護部長が「あの苦しみはもう味わいたくない」と語り、アンケート調査の結果を総括していた。おそらく、この苦悩と疲弊の深刻な実態は、他の病院でも同じで、高齢者施設で働いている介護士たちも同じだろう。保育園の保育士も同様で、スーパーやコンビニなど接触リスクのある職場環境で働いている者たちも同じだろう。コロナのストレスが人を不眠症にさせている。


ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃_c0315619_15200460.png 不眠症による不調が続き、診察を受けに行かなくてはと思いながら、4月から5月の感染流行の最中は病院を捜して訪ねる行動に踏み切れなかった。病院での感染を恐れたからであり、収束の後にしようと慎重になったからである。睡眠不足は免疫力を下げて云々という巷の警戒情報も懸念材料だった。また、不眠症についてどの窓口でどう説明すればよいか確信を持てず、果たして投薬で即完治できるのか、薬で治療する方法がよいのかどうか、躊躇して迷っていた事情もある。そうこうしているうち、5月下旬になって、今度は胃痛が起き始め、漱石的な胃炎の症状が重なる経過となり、いよいよ意を決して病院へ行かざるを得なくなった。幸い、徒歩5分の場所に内科クリニックがあり、外来患者が途絶えて消えていたため、すぐに内視鏡検査して異常なしの診断を受けられた。服薬で胃を治しつつ、次第に不眠症も軽度になる進行となる。無論、感染が収まったことが最も大きい。胃炎はコロナのストレスからというより、不眠症が原因で派生したものだった。


ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃_c0315619_15403335.png あの頭がギリギリと締め上げられる苦痛の中で、職場の病院のシフトに行き、重症のコロナ患者を治療し、危険な呼吸器の付け外しをし、防護服と手袋を着脱した看護師たちの心身疲労はどれほどのものだっただろうと思う。「あの苦しみはもう味わいたくない」という気持ちはよく分かる。もう無理はできないという意思や心情は納得できる。誰でも身体が資本だから、身体を壊したら元も子もない。特に看護師の場合は、どこも人出不足であり、そして資格のある職業だから、少し休んで復帰するとか、別の職場に移るということが比較的容易にできる。第1波のときは、みんな使命感で自己犠牲的に踏ん張ってくれたのだろう。が、その結果が、病院経営の赤字だったり、ボーナスカットの不条理だったりになっているわけで、これでは心が折れるのは当然だ。第2波では、前回以上に救急車がたらい回しされ、患者の受け入れが残酷に拒否されるのではないか。そのことを危惧する。それを正当化し合理化する佞悪な言説が、NHKなどマスコミで撒かれるのではないか。


ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃_c0315619_15334384.png いちばん苦しかった頂点が、4月16日に『押谷仁のギブアップ宣言 - 対策に失敗して愚痴と言い訳を始めた作戦参謀』の記事を上げた前後だった。不眠症に苛まれる中で、自分で言うのはおこがましいが、平成立石病院の看護師と同じような使命感を持って書いていた。専門家会議の欺瞞の暴露と告発。それをやるのは、力業ができるのは自分しかいないみたいな使命感があり、命を削ってでも投擲して世論を作ろうという目的意識に衝き動かされ、専門家批判の原稿を編むことに集中した。易水を渡る荊軻となった。記事はそれなりの反響を呼び、狙いどおりの標的を射抜き、いわば「筆撃」となる言論の成果と報償を得た。あの後、押谷仁はテレビに出る機会がなくなった。一敗地に塗れ、権威として発言する足場を失った。失脚した。記事には4月11日のNスペの発言が正確にカバーされ、PCR検査の意義を否定する証拠が突きつけられている。それは常にネットで照会され、重要情報として確認され続ける。金にはならないが、使命感の問題としては言論者として満足できる達成だ。


ストレスと不眠症の苛み - 『押谷仁のギブアップ宣言』を書いた頃_c0315619_15473467.png しかし、些か無理をして作業したため、不眠症は悪化して、健康面で辛い毎日を強いられることになった。さて、今朝(29日)のモーニングショーを見ていると、また押谷仁が出て来て、PCR検査を全国民にやるのは意味がないと発言していると、玉川徹が批判する場面があった。 押谷仁は日本の感染症ムラのキーパーソンで、尾身茂の大事な大事な後継ぎで ある。だから、この男を消すわけにはいかないのだ。しっかり分科会にも入っている。一時、安倍晋三が専門家会議を解散して責任を押しつけようとしたが、ムラ側が反撃してそれを阻止した。感染症ムラの専門家を外せば、日本には感染症のエキスパートはいなくなる。人材がいないので、尾身・岡部・脇田・館田・押谷の面々がずっとやっている。私はずっと言い続けているが、この連中はPCR検査の意義を認めていない。感染症対策の柱として、PCR検査と隔離を位置づけていない。押谷仁は一貫してPCR検査は必要ないという立場であり、その押谷仁が分科会にいるかぎり、政府が世田谷区的な「社会的検査」をやるはずがないのだ。

身体を壊すような無理はできない。が、必要で十分な言葉をもって、現実を動かすに足る説得力と破壊力をもって、ムラの専門家を批判するジャーナリズムが出てこない。専門家の欺瞞と無能を暴いて失墜させる白眉の言論に出会わない。決定版が出ない。その不満はある。不満はふつふつと残る。その不満が、老骨に鞭打って再び戦いの場に出ようという気概を支える。衰えさせない。専門家を撃滅しなければ日本のコロナ政策は変わらないのだから。医療機関が潰れたら庶民は生きていけない。日本の医療を守るため、専門家と戦って打倒しなければならない。

6・21 シンポ・今、見逃せない労働組合弾圧 各界識者が語った権力思惑とメディア発信

2020年07月29日 | 政治
6・21 シンポ・今、見逃せない労働組合弾圧
http://com21.jp/archives/36001
 6月21日、大阪市川口の学働館で「6/ 21シンポジウム〜今、見逃せない労働組合弾圧〜」が<労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会>主催で開催された。当日は会場への参加入場者を限定し、インターネットでの同時配信での視聴を呼びかけるなど、新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じた新しい試みでの開催であった。

 今回のシンポジウムでは関西生コン支部弾圧の本質と背景を多くの層で理解し、権力や資本に対峙する社会運動を制圧しようと躍起になっている安倍政権の思惑をはね返し、今後あるべき労働組合活動を展望するに必須の考え方が各パネラーから提起された。

 冒頭、主催者を代表して全港湾大阪支部の小林勝彦書記長が挨拶。続き社民党全国連合の大椿ゆうこ常任幹事のコーディネートでパネルディスカッションは始まった。
 最初のパネラーとして関西生コン支部弁護団の永嶋靖久弁護士から、これまでの裁判を通じた総括があり、その後各パネラーからの提起が続いた。   
永嶋靖久さん(弁護士)
「関生型産業政策潰し図る警察・検察」
永嶋靖久弁護士

 今回、業務妨害での「被害者」と言い張る企業はもちろん、警察・検察は「労働組合は企業内の正規労働者を組織し、企業内で活動するもの」との固定概念でいる。

 彼らからすると関西生コン支部は、業界の適正化やコンプライアンス(法令遵守)など、企業にとって不都合な「行う義務のない(行いたくない)こと」をさせようとする「金目当てのヤクザなんかよりも、よほどたちの悪い集団」と映る。

  警察・検察は、労使が協力して特に生コン価格の適正化をはかろうという生コン支部の産業政策そのものを問題視し、潰そうとしていることが弾圧の背景だ。
亀石倫子さん(弁護士)
「大衆の労組嫌いを悪用の権力、世論に訴えを」
亀石倫子さん

 これまで自分が担当したダンスクラブ弾圧やタトゥー(入れ墨)彫り師弾圧と、今回の生コン支部弾圧は警察・検察が排除しやすいと考えているところから排除していくという点で共通する。

 世間一般の人たちは労働組合を理解出来ておらず、労働組合に対する嫌悪感さえ持っている人も多い。権力はそれを悪用している。
 よって、弾圧をはね返すにはメディアや世論を巻き込んでいくことが必要であり、十分な立証活動を担保するために不可欠な裁判費用等を集めるため、クラウドファンディングを活用するのも有効な手段だろう。
竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
「『第2の現実』つくるメディアへ情報対策を」
竹信三恵子さん

 自分が関生支部弾圧を取材する前、インターネットでは「関生支部は暴力集団」とのデマであふれ、メディアも警察・検察からの一方的な情報しか流していなかった。
 その中、労働法学者有志の声明が発表され、第一人者の方々が 「この事件は労働法の観点からおかしい」と言ってくれたことで流れが変わった。

 私自身も雑誌『世界』で関生支部の労働条件改善運動などについて取材したルポを掲載。これが一つの転機となり、労働者側からの別視点を提示。他の記者も徐々にその立場から記事を書いてくれるようになり 、インターネットでもそうした書き込みが広がった。

 メディアの描く世界は「第2の現実」であることを念頭に、今後、社会運動をする側もメディアに正しい情報をいかに流布して行くのかとの戦略姿勢が必要で、個々人の情報発信も重要だ。
吉田美喜夫さん(前立命館大学総長・同校名誉教授)
「関生型運動こそ次代に繋ぐモデル」
吉田美喜夫さん

 この弾圧の背景には、新自由主義のもとで関生支部の運動に共感者が増え、無視できない状況を作り出していることがある。

 関西生コン支部弾圧と闘う意味はどこにあるのかといえば、格差が広がり、雇用によらない働き方をする人も増えている今…そうした人たちにとって関生型の運動は一つのモデルになるということだ。

 この『関生モデル』を揺るぎないものにし、次の世代につないでくことが必要だ。そして今奪われようとしている労働基本権の重要性を再認識し、弾圧を許さない法理論を明らかにしていきたい。
武委員長のビデオレターに拍手
武委員長のビデオレターに拍手 6・21 シンポ

 休憩後、保釈されたばかりの武建一委員長・湯川裕司副委員長のビデオレターが上映され、その元気な姿に会場からも拍手が湧いた。

 会場からの質問にパネラーが答えた後、パネルディスカッションは終了。
  実行委員会から山川よしやすさんがまとめと行動提起を行ってシンポジウムは成功裡に終わった。
武建一 連帯労組・関西生コン支部委員長に聞く 弾圧された関生産別運動とは何か?今後にむけた胸中は?
2020.07.25
武建一 連帯労組・関西生コン支部委員長に聞く 弾圧された関生産別運動とは何か?今後にむけた胸中は?
資本主義の根幹揺るがす関生産別労働運動戦後最大の大弾圧に屈せず反転攻勢へ決意 掲載に当たって: わが国労働運動史上類を見ない大弾圧は、2017年の12月のストライキ以降、2018年7月18日滋賀県警による...



レイバーブッククラブ案内 : 藤原辰史『給食の歴史』『パンデミックを生きる指針』

2020年07月29日 | 食・環境
近づいてきましたので、ブッククラブ最終案内をながします。ぜひお気軽にご参加ください。なお藤原辰史「パンデミックを生きる指針」はネットで読めます。(レイバーブッククラブ)
http://www.labornetjp.org/news/2020/0801kokuti
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レイバーブッククラブ第22回読書会を以下の要領でオンライン開催します。
ぜひご参加ください。

●日時:8月1日(土)午後2時から4時まで
全員オンライン参加とし、Zoomを使います。
☆テキストは『給食の歴史』(藤原辰史、岩波新書、880円)です。

この本は気鋭の歴史学者による京都府伊根町をはじめとする給食調理場へのフィールドワーク、学校給食歴史館(北海道)はじめ各地への取材など労苦のこもった著作です。「災害と戦争と貧困についてたくさんふれざるをえなかった」(あとがき)とあるとおり、本書は戦後日本史の一断面を正確に捉えています。

またサブテキストとして同じ筆者の「パンデミックを生きる指針-歴史研究のアプローチ」
(webサイト〈B面の岩波新書〉「全ての記事」欄所載)を取り上げます。できればこちらも読んでご参加ください。↓
https://www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic

参加要領

①参加希望の方は、開会前日までに必ず「〇〇です。ブッククラブに参加します」と書い
て下記↓あてメール送信してください。
mgg01231@nifty.ne.jp

②申し込みいただいた方には、予め案内のメールを差し上げます。それに従って参加してください。

「公共」と「貧困」を描いた米国映画~『パブリックー図書館の奇跡』

2020年07月29日 | 映画
「公共」と「貧困」を描いた米国映画~『パブリックー図書館の奇跡』
 映画再開第1作は『The Public』邦題は『パブリックー図書館の奇跡』。ほぼ予備知識ゼロで観たが、超拾いもの、秀作だったので、満足感がいっぱいに広がる。実際のシンシナティ市立図書館(米国中西部オハイオ州)を舞台に、そこで撮影した。「図書館の自由」を各シーンに組み込んでいて、そういう意味では邦題に「図書館」を付けた意味はある。館長の毅然とした対応、レファレンス、読み聞かせなどのシーンが挿入される。
 私は観ながら原題の「パブリック」の意味を何度も何度も考えていた。ホームレスたちがもう一方の主人公だが、様々な人種、年代。かなりな数が生活困窮した「退役軍人」。二人の市長候補者の対比。ここは、奴隷解放の接点、攻防の地になっていた。何よりも、エンターテイメント要素が盛り込まれていたのも好みだ。
 英国のケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』とはまたひと味異なる「公共」と「貧困」を描いた米国映画として、ぜひ観てもらいたい。(白石孝)

*映画は「ヒューマントラストシネマ有楽町」など全国で公開中。

世に倦む日日 そもそも、厚労省・感染症ムラが「社会的検査」を認めるとは思えない

2020年07月29日 | 政治
財源の問題が出てくる。だからなのか、昨夜の1930で、保坂展人は田村憲久に猫なで声で媚を売っていた。交付金を国(厚労省)からダイレクトに区に入れるなんてことできるのかな。都知事をすっ飛ばせるんだろうか。そもそも、厚労省・感染症ムラが「社会的検査」を認めるとは思えないが。

「世田谷モデル」はいい取り組みだが、玉川徹が言っていたように、世田谷一区だけでは成功しない。近隣住民が出入りしてどんどん感染を広げる。世田谷だけで社会的検査すると、世田谷だけが感染者数が突出して多くなる。検査しても検査しても減らない。隔離施設はどうするのか。区長は手当できるのか。

今日のモーニングショーで玉川徹が批判していたところの、押谷仁がまた「PCR検査を全国民にやるのは意味がない」と発言していた件。どうやらニューズウィークの誌上らしい。押谷仁、いまだに分科会メンバーなんですよね。感染症ムラ。https://bit.ly/30TqkkQ

ベースは古代律令制の羽前国。が、中世以降、四地方、特に庄内と内陸は別の歴史の歩みを続け、一国としての一体感は育まれなかった。明治維新後の紆余曲折を経て、最上川の源流から河口までの四地方が一つとなる。羽前人という観念はない、あるいは希薄だが、山形県人・山形県民の意識は形成された。

山形県は最上川に沿って一県ができていて、源流から河口までの四つの地方(置賜・村山・最上・庄内)が一つの県を構成している。その中で、特に庄内と内陸とは文化圏が大きく異なる。エスニシティ(言語・血統・風俗・習慣の共通性)が異なる。内陸3地方も風土気質に差があり、米沢は独自意識が高



「関西生コン弾圧を許さない東海の会」85名で総会 北海道でも「支援する会」が発足準備会

2020年07月28日 | 政治
不法弾圧の実態明らか
市民への広範な発信活動を
石田好江さん(愛知淑徳大名誉教授)石田好江さん

 6月21日、「関西生コン労組潰しの弾圧を許さない東海の会」の第2回総会が愛知労働会館で開催され、85名が参加しました。

 冒頭、共同代表の石田好江・愛知淑徳大名誉教授から「関西生コン弾圧は、『公正な市場』を歪めるものへの弾圧とされているが、コロナ感染被害でも明らかな様に、その市場経済こそが多くの格差・矛盾を生み出している」との指摘がありました。

 続いて、生コン支部 西山直洋執行委員がこの間の支援への御礼を述べ、「大阪地裁裁判官は公判で『私は労働法は解らないのでこれから勉強する』と言い、大津地裁の裁判官は『これ暴力団の事件ではなかったのですか』等と言う。取り調べ検事も事件のことは聞かず、「ミキサー車で沖縄・辺野古へ行きましたね」等と言っていた。私は保釈されているが、組合員との接触や事務所への出入りの他、事件とは全く関係ないホテルの宿泊まで禁止され滅茶苦茶な弾圧だ」と弾劾しました。

 近森泰彦事務局長が、毎月の公判の傍聴、街頭やビラや会報、SNSでの宣伝など、1年間の活動と今後の方針などが提起に続き会計報告がありました

 質疑・討論を経て、共同代表の熊沢誠・甲南大学名誉教授が、「ピケットのない労働運動はなく、ピケットは暴力ではない。香港でもニューヨークでも『No Justice, No peace』(正義なくして平和なし)というスローガンが掲げられている。日本の民衆は穏健だと考えるのは間違いだ。怒りは充満しているはずだ」と檄を飛ばしました。

 総会終了後、東京と静岡、東海のそれぞれの「関生弾圧を許さない会」の20人が交流、西山さんは当該兼大阪の実行委員会の立場から参加、関生弾圧に反対する各地の運動の連携について議論しました。

 「静岡の会」は、「この無茶苦茶な弾圧にもっと怒り、もっと市民に知らしめていかなければならない」と問題提起。 
 「東京の会」の共同代表・木下武男・元昭和女子大教授からは、「名古屋に武委員長と熊沢先生と私が集まり、ネットで全国のユニオンや労組とディスカッションをしてはどうか」という壮大な提案がありました。
(文責・愛知連帯ユニオン)
北海道でも、許さない準備会が発足!

 7月5日、札幌市手稲区民センターで「関西生コン支部を支援する北海道の会」準備会が、労組経験者や合同労組の方、護憲ネットや脱原発の市民運動の方、エスペラント協会の方など22名で開催され…中略…質疑応答・意見発表後、準備会代表には吉井健一さん(元札幌教職員組合書記次長)、事務局長に宮沢直人さん(北海道自由エスペラント協会)が確認され、結成に向けて協力を表明している平和フォーラム傘下の組合などに呼び掛けていくことになりました。
(管理職ユニオン関西 仲村実)

「みんなにコロナ生活補償を求める大阪交渉&座り込み」の山場へご参加を!

2020年07月28日 | 政治
みなさま、園良太です。

関東圏の方は関西のお知り合いへ伝達をお願いします。

★転送・転載大歓迎★
「みんなにコロナ生活補償を求める大阪交渉&座り込み」の山場へご参加を!

8月6日(木)12時半~夕方:大阪市役所前アピール→市役所交渉(予定
維新は財政調整基金を都構想に使うためにコロナ補償ゼロ、
感染が再拡大。都構想再投票を完全中止し、コロナ対策を!
<要求>
●6月の倒産は全国最多。お店・中小企業・労働者への緊急補償を!
●感染が再拡大。夜の街や若者に責任を押しつけず、PCR検査の拡充を!
●8/25が申請期限。野宿者やDV被害者などに、早く住民票にこだわらない10万円給付を!
●松井市長は、市長会見で訴えた十三市民病院の労働者を強制配転させるな!
など。要求を自由に持ち寄って下さい。初参加歓迎、入退室自由です

★今後の予定へぜひ参加を!★
8月18日(火)午前~大阪市 昼~大阪府庁(都構想審議初日
8月28日(金)昼~大阪府庁(採決狙い日
9月3日(木)昼~大阪市(同

新型コロナ被害が再拡大し、大阪の感染者数は全国2位で急増、6月の
倒産件数は全国最多です。これまでロクにPCR検査も経済補償もして
こなかった結果です。自治体が災害被害に使う財政調整基金もほぼ
コロナに未使用です。全て11月1日に大阪都構想の住民投票を強行するためす。

吉村府知事は再拡大中の7月半ばに上京し、安倍首相に早期の憲法改悪を直言。
都構想の必要性を国会議員達にレクチャー。府民・市民の被害や保健所潰しの反省は頭の中に1㍉もなく、維新の会が大阪を好き放題に民営化・支配できる都構想だけです。
8月18日から都構想の議会審議が始まり、黙っていたら可決間違いなし。維新は
解散総選挙が行われたら、同日選挙にすると公言。安倍首相のコロナ無策・
政治私物化・憲法改悪と維新の会は一体です。
安倍は辞めろ!吉村も辞めろ!都構想やめてコロナ対策を!

※コロナ対策のため、マスク着用や体調への配慮を各自お願いいたします。

新連載】要塞化すすむ南西諸島(1)/小西 誠(軍事評論家)

2020年07月28日 | 政治
南西諸島に展開する自衛隊 http://com21.jp/archives/31574

いま、南西諸島全域への自衛隊配備計画が進められている。地対艦・地対空ミサイル部隊を中心に、レーダー基地や兵站施設建設も進められている。またそれらに付随して沿岸監視部隊や住民監視目的と思われる情報保全隊などまでが配備される。これは米軍の対中国戦略のもとに自衛隊が配備され、武力衝突の際には米軍の別働隊として中国軍の前面に立って戦うことが想定される。軍事評論家の小西誠さんにお話をうかがった。(編集部)

■ 政治に先行する軍事
小西誠さん
――いま、沖縄の辺野古の問題が大きく取り上げられておりますが、一方では安倍政権は自衛隊基地を南西諸島一帯に広く展開しつつあります。これは米軍の戦略との関係も含め小西さんからご意見を伺いたいと思います。

小西 まず自衛隊の南西諸島配備の実態から説明していきたいと思います。これは北方シフトから南西シフト態勢への転換と言えます。九州から与那国島までの「琉球列島弧」第一列島線に沿ってほとんどの島にミサイル部隊を中心とした自衛隊基地を作るということです
 2016年に与那国に開隊(部隊の開設を指す)されたのに続いて、今年2019年3月には宮古島、奄美に開隊されます。九州での新聞報道によれば九州で「鎮西30演習」が行われた時、司令官が「我々はすでに準備を終えた。あとは政治がどう判断するかだ」と発言した。鎮西演習とは南西諸島における機動展開部隊の実動演習としてこの5年間繰り返してきています。その配備体制がどのように展開されているかを説明していきます。

■ 与那国島の状況
与那国島駐屯地

 2016年3月30日に開隊、沿岸監視部隊160人。最初は小さく造りそれを増強してゆくのがこれまでのやり方です。100人、150人、160人へと漸増しています。沿岸監視隊から始まりましたが、空自移動警戒隊の配備も決定し移動訓練も始まっています。
 情報公開請求によって得た情報によれば、ここに弾薬庫などの巨大な兵站施設を作る事が決まっています。最新情報によれば、情報保全隊に警務隊までが配備されることが決まっています。ここから分かることは一つは住民の情報を収集し宣撫工作を講じるだろうという事。もう一つは今後、少なくとも与那国部隊が連隊規模に増強されてゆくだろうということです。現在、基地警備隊には30人が配属されていますが、今後は1000人規模になってゆくでしょう。

■ 石垣島の状況
石垣島の自然

 警備部隊、地対空・地対艦ミサイル部隊600人、兵站施設が決まっていて規模が拡大されます。石垣の住民はそれを必死に食い止めていたんですが、2019年2月に着工すると防衛省は宣言しています。
 防衛省が急ぐ理由は、沖縄県が宮古島住民の要求で環境保護をめざしており、今までは自衛隊はその対象外であったものが自衛隊も含めることになり、そのための環境アセスメントが3月末を予定しているため、環境アセスメントにかかったらそれだけで3年も5年もかかるので駆け込みで着工してしまおうとしているわけです。自衛隊はそのために説明会を開いていますが、住民は拒否しています。1万5千、有権者の半分が住民投票要求の署名をしています。
 しかし、住民投票で多数をとったとしても政府は強行してきますよ。前例があって、岩国基地に艦載機が移駐する時に、岩国市民の87%が住民投票で拒否したんですが、首長をすげ替えて移駐を強行してきたんです。ですから、自衛隊側から見た基地の戦略的重要性を考えると、例え住民投票で否決されても自衛隊配備は強行してくるでしょう。辺野古のように。そうしないと戦略的に穴が空いてしまう。

■ 要塞島と化す宮古島の状況
宮古島に建設中の基地

 宮古島は先島諸島の中心的な位置にあり、警備部隊に加え、地対空・地対艦ミサイル部隊が配備され、さらに指揮所が置かれることになっています。自衛隊は戦前、石垣島に1万、宮古島3万を擁した旧軍を踏襲しています。宮古島には、今800人を予定していますが、さらに増えることになるでしょう。
 宮古島には宮古空港の他に3000メートル級の下地島空港がありますが、十数年前から何度も自衛隊や米軍の誘致運動があって、それを跳ね返してきました。「民家空港に限定する」という1971年に屋良朝苗県知事が作った覚書がありますから今のところ軍事空港にはできませんが、このままの力関係では軍事空港化は必至の情勢です。

■ 奄美大島・種子島(馬毛島)への配置
馬毛島

 奄美にも、警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、兵站部隊が600人配備となっていますが、その後空自移動警戒隊、空自通信基地が新たに配備・建設されます。つまり、5部隊が配備され、文字どおりこの島も要塞島になります。
 また、種子島北西部に馬毛島がありますが、防衛省ホームページには2010年に馬毛島の利用について公開されています(同サイト「国を守る」)。米軍艦載機のタッチアンドゴー訓練だけが行われるかのように報道されてますが、それは年間13日程度です。防衛省のホームページには、自衛隊の上陸訓練の演習場、機動展開の事前集積拠点としてちゃんと書いてありますし、地元でも説明会を開いています。
 自衛隊の南西シフト、薩南諸島での馬毛島の重要性は防衛省の文書でも出ていますが、「島嶼戦争」には兵員、武器、弾薬、燃料、医療品など膨大な兵站物資が必要となります。馬毛島はそれを輸送する航空輸送拠点、奄美が海上輸送の拠点と予定されています。

――船での補給にはかなりの艦船が必要と思いますが、自衛隊はそれを所有しているのでしょうか?
奄美市大熊地区駐屯地

小西 例えば兵員・兵站物資などを1万人輸送するためには輸送船が100隻必要となります。フォークランド紛争の時、英国政府は民間の大型船を100隻借り上げて輸送に使っています。自衛隊では5万人くらいでの戦闘を想定していますが、短期的にも100隻は必要となるでしょう。戦争となれば、民間船の徴用となりますね。しかし平時から徴用するわけにはいかないので、今は「なっちゃんワールド」など民間フェリー2隻だけを常時借り上げて演習をやっているわけです。この船は普段は函館に係留しています。
瀬戸内町節子地区駐屯地

 奄美の瀬戸内町古仁屋港は「奄美の瀬戸内海」と言われるように入り組んで穏やかな入り江です。ここに海自の誘致運動が起こっています。南西シフト態勢の海上輸送拠点計画です。
 自衛隊駐屯地の造成が進められている奄美市大熊地区(対空ミサイル・歩兵部隊基地30ヘクタール)、瀬戸内町節子地区(対艦ミサイル・歩兵部隊・大型弾薬庫、兵站基地28ヘクタール)は南西諸島最大規模になります。この基地は急峻な高地にありますから、そこまで地下道を掘って港へつなぐことが考えられます。またここはアマミノクロウサギの棲息域なんです。だから、トンネルを掘ることになるでしょう。

■ 水陸機動団の動向
与那国レーダー基地

 水陸機動団が2018年3月に2個連隊で発足し、水陸両用車52輌、オスプレイ17機で発足しましたが、そのオスプレイの配備先の佐賀空港が地元漁民の反対運動で配備先が決まらずいったん木更津へ配備するとなっています。水陸機動団は3個連隊を予定していますから、あと1個連隊を沖縄に作ることがほぼ決定されています。防衛省は発表しながら、沖縄の反対運動の動向を見ているんです。反対運動が弱ければ直ぐに投入してくるでしょう。
 2012年の統合幕僚部の発表によれば、水陸機動団のキャンプハンセンへ1個連隊の移動が予定されています。自衛隊が米海兵隊基地のキャンプハンセンに行って毎年合同訓練を行なっている事からも、水陸機動団のここへの配備は明らかです。
 沖縄本島には対艦ミサイル部隊が配備されます。これは八戸の第4ミサイル連隊を移駐させることが決まっています。そのうちの1個中隊がすでに2018年3月に九州に移動していて、今後は奄美に配置されるでしょう。だから奄美に最初にミサイル部隊が配置されるんです。

■ 空母のほんとうの役割
F35Bステルス機

 さらにF35B戦闘機(短距離離陸垂直着陸機)をとりあえず42機購入し、「いずも」型護衛艦を2隻を改修し、空母艦隊の配備が始まります。次の新中期防衛計画では18機のF35Bを改装空母に載せる事になります。
 空母は普通は1隻の運用はなく3個空母機動部隊で運用しますから、まだこれから新造する事になるでしょう。しかし、ここで問題になるのは、この空母部隊をどこで運用するかということです。これは列島線の外側の太平洋で運用することになっています。
 列島線の内側にいれば簡単に敵に攻撃されますから、太平洋側に出て島の陰に隠れて運用するしかないんです。そうすれば、島々にはミサイル部隊が配置されていますから、それに守られるだろうと。

空母に改造された護衛艦「いずも」

 しかし、僕はあまり意味はないと思っています。戦前の日本海軍は改装空母を含めて30隻くらいの空母を持っていたんですが、あれはハワイを含めて広い太平洋全域で戦闘をするためだったんですよ。ところが、列島弧の内側の狭い海域や南シナ海では空母など必要がありません。島々に沢山の空港があるしいざとなれば南西諸島の民間空港を全部徴発するという計画があるのです(既に与那国・石垣・宮古島・南北大東島の軍事化を発表)。

――事実上の不沈空母ですからねえ。
小西 今の段階では空母を持つということは、せいぜい敵ミサイルのターゲットを増やして無駄弾を撃たせるという事に過ぎません。戦争になれば米軍の空母部隊も3部隊くらい動くでしょう。それに強襲揚陸艦も来る。日本の空母はターゲットを分散させて米軍を守る。米軍もそれを奨励している文書が出ています。

――米軍のために代わりにやられてくれ、と?
事実上の空母・護衛艦「かが」

小西 そういう事です。米空母は1隻1兆5千億円くらいしますから、グアム島方面に退避移動させ、強襲揚陸艦はそれよりも安いから何隻かを列島線付近に配置する。実はミサイルは、動く艦艇にはそんなに命中しないんですよ。実際にリムパックの時にハワイ沖で自衛隊の最新鋭のミサイルを持って行って、そこで米軍の廃棄艦を目標に撃ったんですが、2発撃って1発しか当たらなかった。命中率50%です。それも止まっている船です。
 僕もびっくりしました。空母は時速80キロで航行できますから、ジグザグの回避行動をしたら100発撃って10当たるかどうか。だから防衛省も米国防総省も大げさに「中国の弾道弾ミサイル危機」を吹聴しているんです。しかし万が一当たったら大変なので逃げるというわけです。(→以下、次号につづく)

【国内短信】ブラック企業「社名公表」1社のみ/日本企業の税逃れ世界2位に/宮古島の自衛隊配備・市長が審議会に改竄要求

2020年07月28日 | 政治
■ブラック企業「社名」公表、
 http://com21.jp/archives/14162

 厚生労働省は昨年5月、労働基準法に違反する企業の公表基準を変更、一定の条件が揃えば行政指導だけでも、社名を発表するよう各労働局に通達した。しかし、公表されたのは1年でわずかに1社だけ。「これでは意味がない」という批判が出ている。
 批判に対して厚労省は、「もともと公表のハードルがそれなりに高い。幸か不幸か、そういう企業がなかったということです。ただ、これをもって『ブラック企業』が少ないとは考えていません」とコメントしている。
 厚労省は、企業名の公表よりも、労働基準監督署(労基署)の立ち入り基準の緩和で、長時間残業に対応する方針とのこと。労基署は昨年から、違法な残業が月100時間を超える従業員が1人でもいれば立ち入り調査していたが、年内に80時間に引き下げる予定だという。
 だがブラック企業の問題は長時間労働ばかりではない。低賃金や労働内容の過酷さ、名ばかり正社員や、名ばかり管理職、なにより非正規・派遣といった雇用形態にメスを入れる必要がある。そのためには労働者自身が雇用主に対抗する力を持たなくてはならない。一方で組合運動への規制や弾圧が進む中、残業時間を恩恵的に「監督」するだけでブラック企業根絶の実効があがるのだろうか、今後の推移を見守る必要があるだろう。

■日本の大企業、ケイマン諸島だけで
 55兆円の税逃れ、米国に次ぎ世界第2位

タックスヘイブンの仕組み 日本の大企業は安倍政権の法人税引き上げの恩恵を受けながら、その一方でタックスヘイブンを活用することによって世界第2位となる莫大な税逃れをしている。
 東証に上場している上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用し、ケイマン諸島だけの活用に限っても、日本の大企業は55兆円で、アメリカに次いで世界第2位の規模。続いてイギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本の大企業はタックスヘイブンを活用し税逃れをしている。
 これは『しんぶん赤旗』が有価証券報告書をもとに調べた数字で、みずほフィイナンシャルグループのタックスヘイブン子会社が45社でトップ。続いてソニーが 34社、三井住友フィナンシャルグループが27社、三井物産27社、三菱商事24社となっていて、銀行や商社が多くなっている。特に三井住友フィナンシャルグループはケイマン諸島だけで18の子会社を持っていて、その資本金は3兆円にものぼる。国が出資しているNTTやJTも多額の資産をタックスヘイブンに投じているという事実も明らかにしている。

■宮古島への自衛隊配備、地下水汚染問題で、
 市長が審議会に改竄要求

下地敏彦市長

下地敏彦市長
 宮古島への陸上自衛隊駐屯地の配備が地下水源に与える影響を審議していた市地下水審議会学術部会の報告書について、下地敏彦市長の指示を受けた長濱政治副市長が、地下水源を汚染する恐れから施設の建設・運用は「認められない」とする部会の結論を削除し、全体的に表現を弱めた文言に書き換えた修正案を作成し、職員が電子メールで「市長、副市長からの修正案」として中西康博学術部会長に送付、修正を求めた。中西部会長はこれを拒否、3月8日に最終報告書として原案のまま市に提出した。
 自衛隊配備計画を巡っては、周辺に島民の命綱とも言える飲料水の地下水源地があり、基地配備に伴う悪影響が懸念されている。下地市長与党の保守系市議と公明党も6月14日、「旧大福牧場」周辺への配備断念を求める要請書を市長に提出している。